天使、試験を受ける1
試験官目線多めです。
翌朝、ユニは早速ギルドに足を運んでいた。
昨日は登録しただけでしたからね、今日からは困ってる人のためじゃんじゃん働きますよ。
「いや、ユニさんはまだ『仮登録』ですよ?まずは冒険者に適正があるか、あるならランクはどれか、というのを査定致しますのでうちの実力テストを受けて頂きます。そのあと軽く依頼に関する注意事項などを説明する説明会がありますので、それらを経て『登録』となります。運良く今テストを行っている最中ですが参加しますか?」
受付嬢の言葉に出鼻をくじかれる。
ちっ…ごちゃごちゃ言ってっとやっちまうぞおらぁ!と悪魔ユニが脳内で叫ぶが、現実のユニは「そうでしたか、ではお願いします」と笑顔で返事した。
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〜試験官目線〜
「はい失格、次」
私は淡々と自分の足元で涙目になってる男に不合格を告げ次を促す。
(ちっ……ギルドからの『指名依頼』とはいえ、こう連日クズの相手をするとストレスが溜まるな)
彼女の名前はルーティ、1週間前この街に到着してすぐにギルドから『実力テストの試験官』という指名依頼を受けていた。
依頼にはギルドに張り出されている依頼と指名依頼の2種類あり、後者は冒険者を指名するため依頼内容が同じでも報酬は数倍になる。
では何故その指名依頼をこの街に来たばかりの冒険者に出すのか?理由は2つある。
まずこの試験官というのは上から数えて2番目のAランク以上でなければならない、これは試験官に実力が無いと受験者達の力を測れないからという理由から法で定められているためである。
そして2つ目の理由だが、Aランク以上の冒険者というのはとても少なくこの街にはいなかった。
Aランク以上は冒険者全体の上位3%しかいないと言われており、1番上のSランクともなるとこの国には7人しか存在しない。
そのためギルドは街へ来たばかりのルーティへと急いで指名依頼を出したのであった。
ちょろい仕事に高額の報酬、ギルド側も依頼が解決される可能性が上がるためwin-winの関係……のはずだった。
(あー!クズクズクズクズクズばっかり……イライラするなぁ…………イライラすんなぁ!)
ごんっ!
次の受験者の顔を殴りながらルーティはこの依頼を受けたことを後悔していた。
どいつもこいつもなっちゃいない、こんなんじゃゴブリンにすら手も足も出ないだろと感じる程度のやつしかいない。
たまにマシなやつはいたがそれでもギリギリ合格ラインと言うだけだ、こんな奴らに聖槍を振るうなどプライドが許さないし、ずっと素手でクズの相手をしてると腕がなまってしまうし結果ストレスも溜まる。
「はい次ー!」
今度の受験者も顔にパンチを食らわせて失格を告げるとメソメソ泣き始めた。
(はぁ……!一人くらいは見どころのあるやつがいるかと思ったけど……)
今日の受験者も残り数人、1週間で200人以上顔にパンチを食らわせて来たが誰一人防いだり躱したり出来るやつはいなかった。
(『確実に顔が狙われる』ってわかっててこれだ)
そう、ルーティは『顔にパンチ』しかしていないため受験者もそれくらいは察していたのだが、それでも防御すら出来ずメソメソ泣くという人間が後を絶たない。ちなみに涙目にもならなければ合格させていた。
また1人、1人、1人。
最後の1人も失格にさせて「はい、お疲れ」と挨拶をしてさっさと帰ろうとしたところで受付嬢が声をかけてきた。
「すいませーん!もう1人追加でお願いしますー!」
(飛び込みか……まぁパンチ1発くらいすぐ終わるしいいけど)
これが終わったら魔物を狩りに行って鬱憤を晴らそう、ルーティからは既に受験者への期待など消え失せていた。
「いいですよ、受験者の子はこっち来て」
「はい、お願いします」
受験者の方を見ずに手をヒラヒラ振りこちらへ呼ぶ、声から察するに女のようだが私も女だ、手加減等はしない。
そしてルーティは天使のように美しい銀髪の美少女の顔に思い切りグーパンを放つのであった。
試験を受ける2は夕方頃更新する予定です。
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特に感想を書いて頂いた方には嬉しすぎて泣きそうになっているこの気持ちをどうお伝えしようか昨日の夜中から考えてましたが、全然纏まらなかったためここで感謝を…!
評価はどういう仕組みかよくわかってませんが、数字が増える度に小さくガッツポーズしてます!ばんざーい!
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