天使、敵が判明
領主の館に呼び出されたユニ達は応接室の前まで来ていた。
「ザッコール様、例の冒険者共をお連れしました」
「入れ」
中から返事が帰ってくると、執事が扉を開く。
ルーティ、私、サラの順で部屋に入ると、上品な雰囲気のまさにナイスミドルと言った風貌の老紳士がソファに座っていた。
「よく来てくれた、掛けてくれ」
「は、はい」
なんか想像してたタイプの人と違うなぁ…と3人が勝手に出鼻をくじかれていると、幸か不幸かザッコールと名乗った男は期待通り(?)の顔を見せてきた。
「お前がそのパーティーのリーダーだな?クームの木をどこにやったか正直に言えば、奴隷に堕とすのはそっちの双子だけで済ませてやるぞ」
「「「お〜〜……」」」
双子というのは私と見た目を変えているサラのことだろう、どうやら私達が奴隷に堕ちるのは確定らしい。
あまりにも勝手に想像していた人物像に合うセリフを吐くものだから3人共むしろ感心してしまった。
その声を舐められていると正確に察したのだろう、ザッコールはテーブルに手を向けると手に魔力を集中させた。
「ルイン」
小さく呟くと木製のテーブルは枯れるように崩れた。
その魔法を見て動揺しているのはサラ、忘れかけていたがこんなに可愛いのに魔王らしいので魔法には詳しいのだろう。
ルーティも私と同じらしく、何が起きたのかよくわかってない様子だ。
「舐めるなよ、今すぐこの魔法で貴様らをクズにすることも出来る、Sランクの冒険者らしいが知らない魔法には対応出来んだろう」
「ぐっ……!」「……」
ルーティは悔しそうに、サラは何か考え込むように下を向いている。
私はドヤ顔にムカついたので、怯えた表情を作りながらザッコールをこっそり魔力の実を食べる前の状態に『戻して』おく。
表情を作ったのは気になることがあったからだ。
私たちの顔を順に確認して優越感に浸りながら笑みを深めていったザッコールに質問する。
「そ、その、の魔法は、ななんなんですか?」
流石にわざとらしかっただろうか、目をうるうるさせているとザッコールは自慢気に語りだした。
「ふむ、そうだなぁ……まぁお前はペットにするつもりだし教えても構わんか。これは人間の考えた偽物ではなく本物の魔法だ」
そう、魔法の正体がわからないのである。
ユニは自分で言うのもなんだが、様々な賢者や魔導師から知識を吸収していたため、魔法に関してはかなり深い知識を有していると自負してる。
だからそんな自分が聞いた事のない魔法という物にかなり興味を持ったのだ。
ルーティに言うとこんな状況で興味を優先するんじゃないわよ!と怒られるかもしれないが。
(本物の魔法……?)
私たちが使っているのは偽物などユニは聞いたことがない。
ユニよくわかんなーいといった顔をしているとザッコールは話を続けた。
「くっくっ、やはり知らんか。魔法が何故魔法と言われているか考えたことはないのか?」
「……あっ」
神業とでも呼べばいいのに何故魔の法なのか、少し考えるとすぐに理解出来た。
「そうだ、これは元々魔族にしか使えない力だったんだよ。だから『魔の法』を使うには『魔の力』が必要なのだ」
「ならさっきの魔法ってもしかして…」
「……私はこの国を滅ぼそうとしている者……『魔王』と取引しているのだ」
百合百合する話が書きたいのに指が勝手にシリアスに書いちゃうので少しお休みします。数日前の自分をパンチしたいです。
復帰後続きを書くかまた別の物を1から書くかわかりません。ゴメンなさい。




