天使、怒る
「それで?その魔物どうするのよ」
「うーん、一応持っておこうかなぁ。これだけ色んな魔力を含んでたら色々使い道ありそうだし」
「完全に木材として見てるわね……」
ユニは収納した魔物を一部棒状に取り出してから鑑定し、性質等を確認していたのだが、どれだけ多種多様な魔力を吸い成長したのか状態が『神格』となっていた。
どれだけ凄いことかはよくわからないが、神と付いてるので凄いには違いない。
「ガジガジ……ユニ様!この棒!噛んでるとなんだか気持ちいいです!」
「そう〜?ちょっと貸して〜……ぽいっ!」
「わんわんっ!」
棒を投げて取ってきてもらうことのあまりの楽しさにユニは「神格凄い!」としか考えられなくなっていた、サラが可愛いので。
「次!次は空中でキャッチします!」
「よーっし!アンダースローー!」
「わーずるいです!」
わんわん!
ぽいっ!
わんわんっ!
ぽいーっ!
「……さっさと帰ってギルドに報告するわよっ!!」
「「わんっ!」」
ユニは、帰ったらルーティに棒を投げてもらおうと思ったのであった。
▲▲△△▼▼▽▽
その後、ワンちゃんの真似をしながらルーティと遊びながらギルドへと帰還した。
受付嬢に大木は魔物であったことを伝え「ギルド長と直接話がしたい」と言うと、よくあることなのか慣れた様子ですんなり通してくれた。
「それで?話とは何かね。私の時間は貴重なんだ、端的に済ましてくれよ」
この言ってること全て鼻につく人物はこの街のギルド長、名乗られなかったため名前はわからない。
もちろん3人共イラッとしたものの、わざわざ口に出すようなことはしない。
もっと貴重な私達の時間が減っちゃいますからねぇ!
「では単刀直入に、あの街の名物になってる依頼対象の大木に関してですが……」
一応パーティリーダーということになっているルーティが説明を始めると、ギルド長から驚きの返事が帰ってくる。
「あぁ、あれが魔物だって話か?あれは領主様が自身の魔力を高めるためあそこに植えた魔物だ。下で誓約書にサインすれば『特別報酬』を受け取れるようにしてある。ちなみに下手な考えは起こすなよ、他言すればどうなるかくらいはわかるだろう」
「「「え……?」」」
「ん?あぁ確かに珍しいか。あの魔物は特別製でな、人間一人生贄に捧げとある呪文を唱えると果実を一つ実らせるのだ。領主様はそれを2つ既に食べているらしいが数年前とは魔力の量が大違いだな」
……
ギルド長と領主は繋がってるかもな〜くらいに考えていた3人も流石にこれには言葉を失ってしまう。
その様子を見て何を勘違いしたのか、下衆な視線を隠すことなく3人に向け、さらに暴走し始める。
「よく見たら全員中々…お前らその実が欲しいのだろう?ここだけの話次の実はこれまで貢献してきた私が頂けることにっている。もちろん全員に1つずつというわけにはいかんから分ける分効果は薄まるが、どうだ?全員で『奉仕』する気はあるか?」
「っ!」
相当頭に来たのだろう、思わず立ち上がって手を出しそうになったルーティを手のひらで制止し、丁寧にお断りする。
「折角のお誘いですが、お断りさせて頂きます」
「ふん、そうか。まぁいい、今のやり取りも含めて他言無用の誓約書を用意させる、下がれ」
「失礼します」
興味を失った様子のギルド長の言葉を受け、2人の手を引き退室する。
しばらくして、ユニが何故大人しく退室したのか気になっていた2人は理由を尋ねようとしたのだが、開きかけた口を閉じ……震えた。
『元王子』のユニは静かに怒りを燃やしていた。
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