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命を狙われた王子、全てが嫌になり天使風の女冒険者になって百合つきながら無双の旅  作者: ゆりようさーびす
犬(魔王)を愛でてたら蛇神が進化していた編
18/25

天使、くすぐり攻撃が得意


むに

むにむに


起きた後目を閉じて微睡んでいると、隣で寝ていた人物がごそごそ動きだし、私の頬をむにむにし始めた。


むにむに

むにむにむにむに


「……起きてるよ?」

「ぴゃー!」

目を開けると物凄い早さで奇声を上げてテントの隅にまで飛んでいった何かがいた。

「な、なんで寝たフリなんてしてたのよ……」

ルーティだった。


「眠たくて目を閉じてただけだよ……ふぁぁ。それで?私の頬触ってたけど何してたの?」

ちょっと意地悪かな?と少し思ったがついつい聞いてしまう。


すると顔を真っ赤にして後ろを向いたルーティはぽつりと一言

「……わ、私は何もしてません」

「ふ〜〜ん」

あくまでシラを切るつもりらしい。


ならばと私は手をわきわきさせつつルーティに忍び寄る

「そ、それに証拠も何も無いわ」

「そうですか、ではルーティに判決を言い渡します。……当然『有罪っ!』とりゃあ〜!」

「え?えっ?…ちょ、やめ、あっはっはっはっは!」


ルーティに飛びかかってくすぐり攻撃を続ける。

しばらくすると反応がなくなり、たまにぴくっぴくっと動くだけになったため、私はテントを出ながら汗を軽く手の甲で拭いふぅと一息。


「じゃあ朝ごはん作るから、出来たら呼ぶね」

なぜかへんじがない、蕩けた顔はただのしあわせのようだ。



▲▲△△▼▼▽▽



その後、復活したルーティと一緒に朝食を取っていた。

朝の献立は昨日買っておいたふわふわのパンでオークの燻製肉を焼いた物と酢漬けした野菜を挟んだ料理だ。


実はこんな保存用の物ばかりではなく、もっときちんとした材料を購入しルーティに手料理を振舞おうと思っていたのだが、肝心のお肉が少し痛んでそうな物しか売っていなかったのだ。


どうやら店で売られるお肉はそれが普通らしい、なのでお肉は旅の途中で狩ることにしてとりあえず食べられそうなものとパンと野菜を買い込んでいた。


食べ終えたルーティは癖なのかお腹をさすっている。

「にしてもユニってば料理も出来るのね、一家に一台ってやつだわ」

「お城で料理長に料理を教えてもらったりしてたからね。でも今日のはただ焼いただけだよ?」

本当はもっと手の込んだ料理をしたいユニは少し不満げにそう言った。


だがルーティは会話してる風で一切そんな話は聞いていない、全てはごはんを食べてる最中に思い付いた次のセリフを吐くための誘導であった。


「あらそうなの、ならそれでもこんなに美味しいのは『愛情』が入ってるからかしらね?」


もちろん朝のこちょこちょ有罪の仕返しである。

あれはくすぐったいのもそうだがその100倍恥ずかしい。

しかもくすぐってくる相手は悪魔のような美しさを持つユニだ、柔らかくて優しい手が気持ちいいのと恥ずかしいので爆発しそうになるあの気持ちを10分の1でも味あわせてやりたいと考えるのは仕方の無いことだろう。


……が、今回は冷静なユニの方が一枚上手、ルーティは墓穴を掘ることになってしまう。


「入れてないよ」

「え……?」

「『愛情』でしょ?私は入れてないよ?」

「うそ……」

余程ショックを受けたのか、目を見開き硬直して全く動かなくなるルーティ。


百面相が面白くてつい過剰にからかってしまうユニは、その様子を楽しんだあとトドメを刺しにかかった。

「だって愛情は食後のデザートに全部入れたからね!」

「デ、デザートに!?食べるわっ!」


先程の様子から一転、キラキラした目で身を乗り出したルーティだが、その目の前には手をわきわきさせたユニが……

「それではデザートをお渡しします、とりゃー!」

「ちょっとまたこのパターン!?まっ、アッハハハ!」


寝起きの時と同じようにもう一度飛びかかりくすぐり攻撃を浴びせる。

そしてまたしばらくすると反応が無くなるので、朝ごはんの後片付けを済ませてほっと一息。

爽やかないい朝である。



「ふぅ……じゃあ移動しよっか!」

へんじがない、ただのしあ以下略



▲▲△△▼▼▽▽



ルーティが復活(?)したあと、あと1時間程で到着する予定の街『フジシャンカ』を目指して再出発していた。


その道中ユニはこちょこちょでご機嫌斜めになっていたルーティの機嫌を戻そうとしていた。

「ごめんってー……機嫌直してよーー……」

「つーん」

口で「つーん」なんて言うくらいだから本当に怒ってる訳じゃないと思うんだけどなぁ…


「うーん、こうなったら追いこちょこちょして……」

「ダメに決まってるでしょっ!?」

「えへへ〜……」

ダメに決まってるらしかった。


「あ、そういえばルーティに相談したいことあったんだけど」

「……相談したいこと?」

ユニはまともな案が思い浮かばないため話を逸らす作戦に変更した。

それに相談したいことがあったのは本当である。


「うーんとね、私達ってパーティーメンバー組んでるでしょ?」

「……?そうね?」


ピンと来てない様子のルーティに続きを促されて、ユニはさらに話を続ける。

「初めてパーティーで受ける依頼ってどういうのがいいかなーって、あと私あんまり依頼の種類とかわからないし」


ユニの言う通り、2人はまだ一緒に依頼を受けたことが無い。

そのため「最初はルーティと楽しい思い出を作りたいなー……なんてー……」なんてことを言い始めたのだ。


それを聞いたルーティは一瞬悪い笑みを浮かべたあとすぐにそれを隠し、ユニに「次の街に良い依頼があるわよ!」と嬉しそうに教えてあげる。



ルーティが『ユニに仕返しなんて考えてはダメ』という結論に辿り着くのはもう少しあとのことであった。

2章始まります、今日はあと数本投稿する予定です!



評価とブックマークとっても嬉しいです!ありがとうございます…!

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