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命を狙われた王子、全てが嫌になり天使風の女冒険者になって百合つきながら無双の旅  作者: ゆりようさーびす
天使になって女神様と百合つくついでにSランク冒険者編
15/25

天使、女神と旅立つ


「うぅ……ぐず……ユニぃ……大変だったねぇ……」

ここはユニが泊まっている部屋、そこでルーティは号泣しながらユニに抱き着いていた。

事の発端はルーティの「そう言えばユニってこれから先どうするか決めてたりするの?てかなんで1人で旅してるの?」という何気ない質問であった。


ユニは別にルーティならば話してもいいかなーと思っていたため、すらっと話せた。

最初は冗談だと思っていたようだが、次第に事実ということを直感的に理解し始め冒頭に至る。


「あ、あはは……でも今はルーティもいるし幸せだよ。それに王になるより私は何かを学んでる方が楽しいみたい」

これは本心だった。

そしてそれがルーティにも伝わったのだろう、一層強くユニを抱きしめ(この子は甘やかそう)と誓うのであった。



▲▲△△▼▼▽▽



「ええっ!?旅に出るんですか……!?」

「はい、そうしようと思います」

これは朝の会話の後ベタベタしながら2人で話し合って出した結論だ。


ユニは別に大した旅の目的はない、あえて言うなら困ってる人を助けながら恩人である執事を探すという目的はあるが、それはどこの街でも良い。


なのでユニはルーティの『とにかく色んな強い物と戦って強くなりたい』という旅について行くことに同意した。

ちなみにこの街は冒険者が多いのとそもそも王都が近いということもあり、強い魔物の討伐依頼等もない。

そういうのを求めもっと辺境に行きたいのだとキラキラした目で語っていた。


言ってることはよくわからないがユニが「じゃあそれっぽい辺境に行こっか!」と了承したため早速今日出よう!となったのである。


そして今は街から出る前に軽く知り合い達には挨拶をしておこうということでギルドに来ていた。

ちなみにルーティは防具を買い直したりユニの分の馬を買いに行ったりしている。本人曰く「お世話にはなってない」そうだ。


「そうですか……もう戻ってくるつもりは無いんですか?」

「そうですねぇ……ルーティの目的を達成したらまた武闘会に出場しに来ようかとは思ってます」

「えええ……もうあの黒いのは出しちゃダメですよ?」

「あはは、わかってます。じゃあ」

さよならーと手をひらひら振ってギルドを後にする。



「なんだか怖がられてたなー…ちゃんと『戻して』あげたのに」

もう少しウィーリィとお話したかったが、震えてる数人の男が今にも倒れそうなくらい顔を青くしていたので仕方なく早めに切り上げたユニなのであった。



▲▲△△▼▼▽▽



ギルドを出た後自分が必要なものを購入し宿の部屋に戻ると、ルーティは既に荷造りを済ませて槍の手入れをしていた。


「あれ?もう挨拶終わったの?」

「うん、私も数日しかいなかったしね、ウィーリィとちょっと話しただけだよ」

「そう、ならおじさんとおばさんに挨拶して出ましょうか」

「そうだねー」

ユニはルーティの荷物をアイテムボックスに収納し最後の挨拶に向かう。


「おじさーん」

「おーユニちゃんか、どうかしたかい?」

「あ、私たちこの街を出ることにしたんです、なので挨拶に」

「ええ!?もう!?」


おじさんはオーバーなくらいに驚いて見せると何やら考え込み

「まぁ数日とは言えかなり儲けさせて貰ったしな……本当はもっといてくれると助かったんだが……」

「あっ……す、すいません……」

確かに受けた恩を全て返せたかは怪しい、儲けたと言っても私はかなりご飯を食べる方なので正直トントンくらいな気が…。


「あっ!」

「うん?何か忘れ物かい?」

「い、いえ、そう言えばおじさんとおばさんにプレゼントがあるんですよ!」

そう言ってユニはアイテムボックスに収納していたとある指輪を取り出す。


「これは?」

「これは『魔除けの指輪』です!2つ共どうぞ!」

そう、これはお金が無くなったらすぐに売ろうと思ってた余り物と最近まで付けていた物だ。

便利だなーと思って付けていた指輪を外した理由はただ一つ。


ルーティとお揃いの指輪とデザインが合わない、それだけであった。

それに武闘会の優勝賞金のお陰でもうお金には困ることは無いだろう、ユニにもルーティにももう必要ない物なのだ。


「こ、こんな高価な物…ありがとうっ!!」

感極まったおじさんがちょっと涙目になってて気まずい。

「は、ははは……」

「アンタねぇ……」

ルーティはユニが「これやだなぁ…いーらない!」とアイテムボックスに収納してる現場を見てたためジト目だ。

ち、違うよ、処分じゃなくて役に立つところにあのその……とユニが目をうろうろさせていると、ちょうど裏から出てきたおばさんと目が合う。


「ユニちゃん」

「あ、おばさん!」

「話が聞こえてきてね、飯作ってきたから持っていきな!収納持ちだと馬に乗っても邪魔にはならないんだろ?」

「あ、ありがとうございます!」

そう言っておばさんから手渡されたのはランチボックスだ、中にサンドイッチが入っているのが少し見える。


「いいのよいいのよ、気合い入れて具はユニちゃんの好きな『ゴブリン煮込み』で作ったからね!」

「ありがとうございます……」

1度も食べたくて頼んだこと無いのに……


「じゃあ、元気でやんなさいよ、あと男には気を付けな!」

「気を付けてねユニちゃん、何かあったらまたタダで泊まっていいからうちに来てね」

何だかんだ最初から最後までよくしてくれた2人からの優しい別れの言葉に、少しだけ胸が暖かくなる。


「お世話になりました」

あまり長いこと口を開いてると寂しさから違う物が込み上げて来そうだった、なので短く別れの言葉を済ませる。

「良い宿だわ、今度は私も泊まるからよろしくね」

私の言葉にそう続けたルーティと共に宿を出る。



▲▲△△▼▼▽▽



「寂しい?」

「え……?うん……」

街を出て馬に乗馬用の鞍を付けているとルーティがいきなりそんなことを言ってくる、鞍を付けるのに少し苦戦してるため顔は見えないが、少し気分が落ちてる私を気遣ってくれているのだろう。


「寂しがり屋さんだもんねぇユニは、でも大丈夫よ」

聞いたことのない優しい声音に反応してルーティの方を見ると、彼女は女神と見違えるほど慈しみに満ちた表情で微笑んでいた。


「これから先、ユニはずっと私が構い倒してあげるんだからそんな暇ないわよ!」


第一章、完!

思ってたより早く区切りの良い所まで書けました

全てブックマークや評価を付けてくれた方達や、初めての感想を書いて頂けた方のおかげです。

冗談抜きでこれらの存在は大きくて、モチベーションを保てました。

改めて感謝です…!



ここから何話か閑話的なものを投稿して2章に突入します。

閑話では兄弟達ざまぁの話と2章で出会う新キャラの話を用意してます!もしかしたら急に書きたい話が出来て追加するかもしれませんが…

もし良ければこれからもよろしくお願いします…!

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