天使、Sランク冒険者(仮)
昨晩は色んなことがあった。
ルーティさんとパーティを組んで残りのお互いの隠してる技や魔法を朝披露しあう約束をし、その後一緒にお風呂に入って一緒の部屋に泊まった。
おほほ
そして今は冒険者ランクの結果を聞くため一緒にギルドへと足を運んでいた。
「それにしてもアンタ隠し玉多過ぎよ……全部覚えきれなかったわ…」
「私も知らないのがありました!うへへ〜」
そう、昨日の約束を果たすため自分の使える技などを改めて確認していると新しい魔法が見つかったのだ。
知らない間に使える魔法が増えるなんて聞いた事ないとルーティも言っていたため願いの影響だろう、ちなみにルーティには流石に願いの話は言えてないが、いつかは伝えるつもりだ。
「あら?なんだかご機嫌ねーユニ。何かあった?」
「なんでも〜」
これまで友達と呼べるような存在はいなかったユニはルーティにべったりなのだ、そして強い物と可愛い物が好きなルーティも満更ではないため「こらこら」で済ませているものの、傍から見ると少し『アレ』である。
「あの…お2人って前から知り合いだったりしたんですか?」
その様子をじっ……と見ていた受付嬢が尋ねてくる、昨日の空気を読まず「すごいすごーい!」とか言ってた受付嬢だ、ちなみに名前はウィーリィと言うらしい。
「いや、昨日私とコイツでパーティ組むことになったの。それだけよ」
「はい、それだけですよ〜」
「そうですか…」
何か腑に落ちないといった表情のウィーリィだったが、とりあえず先に仕事を済ませる方向に思考を切り変える。
「ではユニさん、ギルド長のところへご案内します。こちらへ」
「え?ルーティは?」
「うーん、ユニさんが良ければ一緒でも良いですよ」
「はーい、行こ、ルーティ」
「わかったわ」
一晩過ごして完全に懐いたユニはルーティを呼び捨てにしていた、パジャマは無いがパジャマパワーである。
イチャつきながら階段を上り廊下を進んでいくとウィーリィが立ち止まる。
「では中へ」
ここが応接室なのだろう、無駄に高級感のある扉をウィーリィに開けてもらいルーティと共に中に入ると、ギルド長らしき男性から歓迎された。
「2人ともよく来てくれた!私はトーマス・ゼフィラ、ここのギルド長をしている、気軽に名前で呼んでもらって全然構わない」
どこかのタイミングでルーティが一緒だということが伝わっていたのだろうか、ギルド長はルーティを見ても一切特別な反応を見せず普通に応対していた。
「「ありがとうございます、トーマスさん」」
「はっはっは!仲が良くてよろしいね」
私とルーティの言葉がハモリトーマスさんは笑う、なかなか気さくな感じのいい人っぽい。
「では2人ともそこに掛けてくれ、さぁさぁ」
2人が言われた通り座るとトーマスも座り、早速ランクについて話し始めた。
「さて、ここに来てもらった理由なんだがね。ユニくん、君はAランク『以上』というのが決定した」
「『以上』ですか?」
どういうことだろう、ルーティに勝った時点でそうなるとは聞いていたし、その言い方じゃまるで
「え?まだ決まってないんですか?」
ルーティがツッコミを入れる。
ユニは「明日来てくれたら決まってますんで〜」と聞かされて帰ったのだ、それを知ってるルーティも当然の反応であった。
「いやぁすまないね…僕個人としてはSランクに一番近い人間に勝ったんだ、当然ユニくんをSランクに推薦させて貰った。だがまぁSランクスタートなんて前例が無いって怒鳴られてね…」
どうやら魔道具を使ってどこかと通信していたらしい。
「それでね、明日の武闘会でユニくんには上位3位に入って欲しいんだ。あれには毎年10人くらいはAランク冒険者が出場してるから、そこで条件を達成出来たら君をSランクに認定しようという話に落ち着いた」
「10人って……ルーティみたいなのがそんなにいるなら難しいですよ」
というか明日開催というのも初耳なんです。
「あはは、さっきも言ったようにルーティくんは今もう一押しでSランクに上がれる実力の持ち主だからね、流石に同レベルのAランク冒険者となると少ないよ」
「うーん……」
「不満かい?」
条件が不満というかなんというか…
「私は別にAランクのままで大丈夫なんですけど……Sランクになる理由があまり無いと言いますか……というかルーティと一緒の方がいいです」
「あらあら」
あらあらあらあらと言いながらルーティはユニの頭を抱き寄せよしよしと撫で始める。
2人の雰囲気が出来上がりつつあったのでギルド長はごほんっと咳払いをして話を進める。
「ちなみになんだけど、ルーティくんも同じ条件でSランクに昇格だよ。ルーティくんの実力なら問題なく昇格するんじゃないかな」
「絶対優勝します!」
ルーティの腕の中で大きく手を挙げて返事をする。
「『優勝』だぁ??あんな初見殺ししといてまーた勝つだなんて言うねぇこのこの〜」
「うへへぇ……」
言葉の意味に気付いたルーティが私の頬をぐりぐりしてくる、気持ちいい。
「それにもしユニくんが優勝したら特別プレゼントも用意している」
「特別プレゼント?お金とかなら別にいらないですよ」
ユニは特別余裕がある訳ではないが、宿屋の人がよくしてくれているためお金には困ってないのである。
「いやいやそんな下品なプレゼントは贈らない、プレゼントするのはお揃いの綺麗な指輪だ。」
「お揃いですか!?」
「指輪だと!?」
2人とも反応している部分は違うが、やはりどうもこれはやる気を出させる効果あったなとほっとするギルド長。
「うへへぇ…お揃いだって〜」
「あ、あぁ、うん」
『そこ』まで考えていたのは自分だけだったらしいとすぐに察したルーティは少し顔を赤くしつつユニを撫でる。
「ご、ごほん!ではよろしく頼むね、私も応援してる」
「「は〜い」」
そう言って仲良く部屋を後にする2人。
バタン
扉が閉まり、足音が遠ざかるのが聞こえてしばらくすると…ギルド長はガッツポーズを取った。
「よし…!うちのギルドからSランクなんか出した日にゃ依頼は増えてガッポリだろうな…しかも見た目も間違いなく1級だ…!よし!よしよーし!勝っただろこれ!優勝だーー!!!」
実は用意していた指輪はひとつだけだったのだが、2人の様子を見て『ペアルック作戦』に切り替えた自分を褒める、職人にはすぐに連絡して徹夜で作ってもらうしかないがユニの分が1日で作れたのだ、問題ないだろう。
その後、ユニの指輪を作るため徹夜で作業をしていた職人は、もう1日徹夜が確定する連絡が来て心が死んだのであった。
総合ポイントが3桁に…!
とっっっっっっても嬉しいです、そして次の話はこの感動がこもってちょっと熱い話になります!
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