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命を狙われた王子、全てが嫌になり天使風の女冒険者になって百合つきながら無双の旅  作者: ゆりようさーびす
天使になって女神様と百合つくついでにSランク冒険者編
1/25

完璧王子


タイトル通りです、TSモノのため苦手な方はご注意下さい。






▼▼▽▽▲▲△△






深夜、真っ暗な森の中で息を切らしながら走る青年がいた。

その青年は何かから逃げるように走っていたが、何かに追われているわけではない。


「はっ……はっ……はっ……」

青年は上等な服を着ていた、青年からしてみれば持っている中で1番地味な物を選んで着ていたのだが、むしろその無駄を排除したシンプルなデザインが平民やそこいらの貴族が着ている服と一線を画しているのを明らかにしている。


青年はこの国の王子であった。

過去形なのは逃げ出したからだ。

別に王子になるための勉強や剣の稽古が嫌になったわけではない、むしろそれらは好きな方であったし、教えてくれる人達も才能があると言ってくれていた。

最初はもちろんお世辞かと思っていたが、稽古を付けてくれていた人達から教わることが無くなってくるにつれ、才能を自覚していった。


逃げ出した理由は別にある。

それは王位継承戦にあった。


この国の王は王位継承権を持つ者全員で総当り戦とスピーチを行い、その後国民の投票で決まるのだ。

王族が平民の前に姿を現すことは少ない。

そのため基本的には総当りでの姿や能力などによっての人気投票となる。

そこで問題になってくるのが青年の容姿と能力であった。


爽やかに短く切り揃えられたサラサラとした銀髪、女と見間違われるほど整った目鼻立ち、スラリと伸びている長い手足と容姿はまさに理想の王子様。

能力は剣は先程の通りであり、魔法も趣味でお抱えの魔法使いに教えて貰っていたためその腕は既に一流である。

加えて性格も穏やかで上級使用人どころか下級使用人にも優しいため人望があり頭もキレる、完璧だった。


ただ兄弟達からは嫌われていた。

なんのことはない、全てを持っている人間は中途半端な者から妬まれる宿命にあるというだけのことだ。

そしてこの場合それが最悪であった、兄弟達はこぞって兄の妨害工作を企んだ。


最初は酷い噂を流した、次は青年が信頼していた執事を攫った、その次は魔法による睡眠妨害、次第にエスカレートしていき毒を盛られそうになったり、部屋に火矢を放たれたこともあった、もちろんどれも犯人は捕まり尋問にかかったが、結局何も吐くことは無かった。


結果、次第に心が荒み、果てには完全に折れてしまったのだ。


元々王という地位にはそこまで執着していない、こんなに毎日嫌がらせを受け命まで狙われるならむしろ嫌だ、王になんてなりたくない。それで今に至る。


「はっ……はっ……ふぅ…今日は、ここで、休むか」

青年は森の中で綺麗な湖を見つけ、ここで野宿をすることに決めた。

本来であれば危険な行為だが、城から拝借したいくつかのマジックアイテムの中に魔物避けのテントもあるため無問題だった。

貴重な物を盗むという行為には抵抗があったが、兄弟へのささやかな復讐と考えると痛む良心はすぐに消えた。


ぼんっ!

小指ほどの大きさの丸い玉に魔力を込め地面に投げると5人用程の大きさのテントが現れる。


「明日は街に着くのかな……ははっ……わかんないや…………」

水を飲み、水浴びを済ませ携帯食料を食べていると涙が出てくる。

自分に期待してくれている人全員の気持ちを裏切り、捨ててこうして逃げ出して来たのだ。自分の今の知恵や剣や魔法の腕等は全て与えられた物、それにとびきりの期待が込められていることもよく理解していた。


後悔の涙を出し切ったあとは兄弟への怒りの涙が出てくる。

怒りの涙も出し切るとみじめな気持ちだけが残る。


「ははっ……不甲斐ないや。僕はどうしようも無いやつだな、だが違う形で恩は返せるはずだしそれを目指して頑張ろう」

青年はこの腕と知恵で困った人を助ける冒険者になろうと考えていた、そうして違う形で人々へ恩返しをしようと。


そう決意し、寝る前にと持ってきたマジックアイテムの整理を始める。

1秒でも早く城を離れたかったため選別する余裕はなかったからだ、鑑定の魔法は使えるためマジックアイテムを発動せずとも何の魔法が込められているかは理解出来る。

持ってきたアイテムは多かった。


魔除のテント

魔力上昇の指輪

魔除の指輪×2

魔除の首飾り

温度調整の指輪

聖剣

名称未設定


魔除のシリーズは全て魔物避けの効果だ、確かに強力ではあるがこんなにも必要ない。

魔力上昇の指輪はすぐに付けた、効果は流石王家の持っている物と言ったところで力が溢れてくる、今日は疲れているので明日の朝試し打ちをして確かめてから出発しよう。

温度調節の指輪は自分の周りだけ好きな温度に調節出来るという指輪だ、これは一見地味な効果だが役に立つ貴重な物だ、これもすぐに指にはめた。


そして残りの2つ

まずは聖剣。

実は聖剣珍しい物ではない、スキルが付いていれば聖剣と呼ばれるため、全て数えれば5千本程度はあるだろう。

だがこの聖剣は不思議なことにスキルが見えなかった、玉に魔力を込めて剣の姿にすればわかるらしいが大きい魔力が必要になるらしい。

なので気になるものの今日はパス、これも明日の朝確かめよう。


最後のマジックアイテムは名称未設定、鑑定スキルで見てみても『願いを3つ叶える』としか書いていない。

マジックアイテムではよくある『ハズレ』という奴だが、青年にはもしかしたらという予感があった。


『願いを叶える』なんてありえない。

ということはこれは一目で嘘だとわかる、つまり『ハズレ』だ、何故こんなものが城にあったのか。


実際『ハズレ』であっても損をするのは少ない魔力だけだ。

青年は願いと魔力を込めた


(この姿のままでは目立つ、一流の冒険者になりたい、僕に良くしてくれた方たちに幸福を…)


瞬間、青年の魔力は全てマジックアイテムに吸い取られ、青年は気絶した。


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