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消えたα波

作者: 一日一説

 α波が健康にいい。

 というのは、なんとなくみんながわかっていたうっすーい共通認識だったんだけど、ある日それが気がついたら細菌レベルの爆発的繁殖力で我々日本人のなかの深層心理の奥深くまで蔓延というか浸透しきってしまっていた。


 そうなってからの日本は早くて速くてはやかった。まあ日本にかぎった話でもないのかもしれないけど。

 まず手始めに、肩慣らし程度に、「浴びるα波」なるものが登場。厳密にはその前に「聴くα波」とかいうのがあったけど当たり前過ぎたというか、当時熱気むんむんだったみんなの興奮MAXな期待値を1ミリも超えてないから安定のスルーで、処理された。「聴くα波」ざまあ。あぼーん。


 でもって「浴びるα波」はそこそこ売れた。もちろん物じゃないから、売った。買った。というわけではないんだけど、「α波置いてます!」的なノリで瞬く間にα波のお店が増えに増えた。日本の市街地の夜景は怪しいネオンにまみれた東南アジアの夜みたいになった。


 でも「浴びるα波」は序の口だった。もちろん流行具合でいったら満場一致で文句ナシで「流行語大賞いけるんじゃないすかへへ」って感じなんだけど、肝心の「モノ」自体が強烈で激烈に進化した。もっともっと取り返しのつかない感じ。インパクト的には麻薬かよお前はってのが登場した。

 それが「食べるα波」と「飲むα波」だ。


 もうなんでもありだな、なんて思ってしまうけど、案外これがスッと受け入れられた。「ああ、これこれ。待ってました。一日三回服用しています。飲みやすくて飲むと体がスッキリするんだよねえ。お通じもよくなった気がするし、もう毎日欠かせません」なんて、やらせCMみたいなのが当たり前に流布して感想が、あっちで聞こえる、こっちで聞こえる。SNSのタイムラインもハッシュタグもみんなα波のことばっか、みんな気持ち悪い笑顔でα波を褒めてんの。

 世紀末っていうのは筋肉もりもりのモヒカンがのさばったからTHE・世紀末っていうわけじゃなくて、ほんとは気付かないうちに隣りだったり目の前だったり足元だったりに転がっているものなんだよね。


 でも安心して。α波なんてしょせん一時の流行。気の迷いみたいなもんだから。昨日まで自分のことを好いてくれてた女の子が明日は違うイケメンを好きになってるのとおんなじだって。

 今は「出すヘモグロビン」の時代だよ。知らないの? おっくれってるぅー!

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