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あの日から僕は  作者: 稲荷 里狐
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2話 消えた住民と謎の存在

 七五三田印しめたしるしは転校生だ。

 彼は夏休みが終わりを告げた8月26日の翌日つまり、2学期が始まる27日に私立桂樹高校に転校してきた。しかも、僕のクラスにだ。

 『七五三田』と随分変わった苗字をしているが、千葉県から来たらしい。 

 茶髪で少しやんちゃそうだけど案外真面目な奴な気がする。多分。

 このことを天邪鬼に話したら、驚きそして真剣な表情になった。

 「どうしたんだ?急に真剣な顔をして」

 「その印とかいう子、すごく危ない気がする。君はあんまり彼に関わらない方がいい。死んじゃうから」

 天邪鬼はそれだけ言って、どこかに行ってしまった。どうせ夕里の家だろう。

 

 僕が通っている学校は夏休みが終わると、すぐに文化祭が来る。

 皆は夏休みにも関わらず、学校に登校して準備をしている。ちなみに、僕たちのクラスはまだ1年生と言うことから自分たちで食べ物を調理して売ることはできないので、『休憩所』を行うことになった。

 休憩所と言えば、サービスエリアやパーキングエリアとのイメージがあるだろう。まぁ実際そうなんだけど。

 休憩所では、飲み物やお菓子を売ることになっている。でも僕はいまだにその準備をしに登校さえしていない。もう8月も中旬だというのに。登校していないのは事情があったからだ。だって3日に天邪鬼によって鬼化し、しばらく体調が悪く家から出ていなかった。それは仕方がない。

 とりあえず、僕は制服を身に纏い愛用の自転車に乗り学校に向かうことにした。


 いつもの通学路は夏休みのせいか閑散としている。よく漫画である「シーン」というオノマトペが聞こえてきそうなぐらいの静けさだ。

 僕がいつも登校する時間帯だと、いたる所からテレビの音だったりだとか話声、食器の音がするのだけど今日に限ってその音が一切無い。まるで、僕を残して皆がこの世から消えてしまったかのようだ。

 「おーい!誰かいませんかー!」

 僕は自転車から降り、叫んでみるが反応無し。これで確証が持てた。今この場所、地域には僕しかいない。そして、住民を消した犯人もいること。ということは、僕がその犯人を見つけて解決しないといけないということだ。

 「はぁ~なんか面倒なことに巻き込まれちゃったな」

 僕はボヤキながら自転車を押していると一瞬、視界に何かが映った。

 それはあまりにも早くて何が映ったのかわからなかった。だがそれはすぐに分かった。

 それは僕の後ろにいた。それは明らかにこの世のものではなかった。

 

 僕の後ろにいたのは、頭から白い大きな布みたいのを被った人がいた。

 僕はそれを見た時にあるものを連想した。それは『一反木綿』だ。

 皆も知っているはずのとても有名な妖怪だ。だが、何かが違った。

 今僕の目の前にいるのは手足が生えている。

 それを見た僕はすぐに自転車に飛び乗り一心不乱に自転車をこいだ。


 「待ってるぜ。東雲蒼!」

 意気揚々と告げた男は桂樹高校の3階の空き教室にいた。

 

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