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あの日から僕は  作者: 稲荷 里狐
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15話 昼食と小人

 文化祭の翌々日。人生初の寝坊をし、自主休校も初めての昼盛り。僕は天邪鬼とキャットと食卓を囲んでいた。

 僕は残り物のご飯を電子レンジで温めてからボウルに移す。ご飯に卵をかけ、塩胡椒、醤油に鶏がらスープの素を入れて混ぜる。フライパンに油をひき予め切っておいた玉ねぎとソーセージを炒める。炒めた具材を取り出し、さっき作ったご飯を入れる。入れてからすぐかき混ぜないで少し待つ。焦げ目が付いてきたらほぐすように混ぜて、炒めた具材を入れる。よく混ぜたら完成。チャーハンだ。

 僕はカレー皿3枚にチャーハンをのせる。我ながらいい出来栄えだと思った。

 「出来たぞ」

 僕はテーブルにチャーハンがのったお皿を置くと、2人の顔が緩んだのがわかった。その顔を見た僕は急いで席に着く。

 「じゃあ、食べるか」

 僕たちは手を合わせて「いただきます」をすると、2人ががっついた。

 「むせるなよ」

 「ゲホッゲホッ」

 天邪鬼がむせた。キャットが心配そうに背中を擦る。

 「大丈夫かニャ?」

 「だ、大丈夫……」

 「いわんこっちゃない」

 キャットから水を受け取った天邪鬼は勢いよく水を飲む。

 「プハァ。助かった。ありがとう」

 「どういたしましてニャ」

 キャットはそう言うと、チャーハンを食べ始めた。

 「美味しいニャ」

 「よかった」

 僕たちはチャーハンを食べ終え、皿洗いをしていると天邪鬼がキャットを台所に来た。

 「ねぇ、従僕。キャットちゃんと外で遊んできてもいい?」

 「いいけど。七五三田には気を付けろよ。殲滅されかねないからな」

 「わかってるよ。じゃ、行ってくるね。行くよキャットちゃん!」

 「分かったニャ!」

 2人はそういうと仲良く玄関から出ていった。出ていったときに気づいた。帰宅時間を聞いていないということに。

 「まぁ、遅くはならないよな」

 僕は洗い物を終え、これからのことについて考えるために自室に行く。僕は机の引き出しから一冊の大学ノートを取り出す。そこには『妖怪ノート』と書かれている。

 このノートは天邪鬼から聞き出した妖怪のことが書かれている。

 僕はノートの中から『かまいたち』と『異形』のページを開く。もし、天邪鬼たちがどちらかと遭遇したときの対処方法を見ておきたかったからだ。

 前にも言ったことが有ったような気がするが、異形には目がついていなく、白布を被った妖怪だ。昔は貢物としてされていた白布はあらゆる邪気を消し去ると言われている。その白布が妖怪となっては消し去るのは邪気ではなく、正気の物を消し去ると僕は考えている。 

 僕自身、正気がなんだかよくわからないが、一応こう考えている。

 正気は邪なことを考えていないこと。自分に正直な人のことを指していると僕は考えるが、これはただの意見だからあまり信用ならない。僕は次に『かまいたち』のところを見る。

 かまいたちは、鎌のうな体のイタチ・3人組・鬼神の刃と言われている。風を操るとされていて、よく切れるらしい。このことを言ってるときの天邪鬼は完全に主婦の目をしていた。料理しないくせに。

 僕はこれで終わりにしなかった。キャットこと猫又のページも見ていた。

 猫又のページもかまいたちのページと書かれている情報量はさほど変わらなかった。

 僕はノートを片付け、ベッドに寝転がろうとした時、インターホンが鳴った。僕はカメラから誰が来たのか見るが誰もいなかった。イタズラかと思い戻ろうとした瞬間、また鳴った。そして、カメラに誰も映っていなかった。僕はドアを開けると、そこには小人が群がっていた。

 「え?何、この状況。想定外なんですけど」

 僕がドアを開けたまま狼狽えていると先頭にいた小人が話しかけてきた。

 「お主が東雲蒼か?」

 「そうですけど……」

 そう答えた瞬間、小人は嬉しそうな顔をした。

 

 僕はとりあえず小人たちを家にあげる。

 小人たちは食卓の上にあがり勝手に話し始めた。

 「儂たちは、七五三田印さまに使役されている『小人』です。以後お見知りおきを」

 (名前、そのまんまかよ!まぁ、キャットもまんまだったな)

 「印さまから、伝言を預かっている」

 そういうと、七五三田の話し方をマネしながら伝言を伝え始めた。

 「よぉ、蒼。元気か?お前に話がある。今日の午後5時、教室で待ってる」

 キャットの返却と酒吞童子についてのことだろう。

 「ありがとう。で、君たちはどう帰るんだ?」

 「徒歩ですが、何か?」

 不思議そうな顔をされた。当たり前ですね、分かってましたよ。徒歩で来たら徒歩で帰りますよね。

 「じゃ、気をつけてな」

 僕は半ば無理やり小人たちを家から追い出す。僕はもう一度玄関のドアを開けると、小人たちはゾロゾロと歩いていた。

 「何だったんだ?あの七五三田が小人なんて……」

 思い出しただけでも笑ってしまう。百鬼夜行なら、適切な妖怪がいたはずだろうに。なぜ小人をチョイスしたのか、謎だった。

 僕は口元が緩みながら時計を見ると、3時だった。おやつの時間だ。天邪鬼たちが帰ってきそうな気がするが、僕は自室に向かう。

 

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