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俺たちの監督!  作者: ぴーやま
3/5

練習始動!!

 ハチのせいで新監督は激昂していたが、チーム全体のことを考え全部員の把握をはじめる。ハチを含めたメンバーの自己紹介を聞き終えると、監督の表情に変化がみられていた・・・・

緊張感漂う中、注目の大きな男、新監督はメンバーの前にそびえ立った。

背筋がピンと伸びており肩幅は中学生の1.5~2倍はありそうだ。髪は半分が白く、顔をみると40代前半ぐらいだろうか。切れ長の目、鼻筋が太く長い。唇は大きく真一文字。眉尻が少し上がり、眉間には・・・・・・大きな皺が2本入っている!!!

 (やっぱり怒ってる。)野球部員一同。

みんなの顔が引きつる。

「今日から監督することになった秋田健介だ。おめーらまずよ。なんであーいうやつがチームにいるんだ?たるんでるんじゃねーか。なあ。たるめるほど余裕あんのか。聞いた話だとそんな場合じゃねーと思うけどな。勝ちたくねーのか。あーいうことしてて試合で良いプレー出来んのか。人数少ねーから試合できねえ。しょうがねーとか思ってんのか?人数集まったらしっかり出来るように勝手になると思ってんのか?まー時間がもったいねーからこの話はまた後だ。まず、チームを把握しないと始めらんねーから。今から名前と今年の目標、全力で発表しろ。全力だからな。」

 ハチの失態による連帯責任を取らされることにならなかった安堵の気持ちと怒れる新監督のとの初対面の緊張感から、部員一同は誰から自己紹介を始めるかざわめき始めた。

「誰からいく?」

「左端からいったらいいんじゃない?」

「じゃあ、ダテから?」

「いや、右端からでいいよ!」

「いや、いいから!ダテからいけよ!」


「っっつ!誰でもいいから早くはじめろ!おめーらの間にフライ上がったら、そうやってグズグズお見合いすんのか!!そうやってる間にランナー全部帰んぞ!」

監督は部員たちの態度を野球の試合の状況に例えた。試合のケースで2人の野手の間に、バッターが打った打球がフラフラとフライになり、2人の野手がお互いだれが取るか譲り合っている間にボールが地面に落ちることがある。これが俗に言うお見合いだ。

 本日2発目の怒声に、ビクッと体を硬直させながら自己紹介が開始された。

部員たちが緊張する中、ダテと呼ばれる少年が平静を装いながら自己紹介を始めた。

「大館大志。キャッチャーやってます。目標は県大会優勝です。」

「キャッチャーか。はい。次!」

「鷹巣隆也。ショートやってます。目標は全県大会出場です!」

小柄で色白の少年が少し緊張しながら言った。

「次!」

「井川孝之。ライトやってました。目標は全県大会出場です。」

「次」

「小坂孝則。センターやってます。目標は県大会優勝です!」

「男鹿和海。目標は県大会優勝です。」色黒のメガネ少年だ。

「小坂一止。ピッチャーやってました。目標はまずは公式戦1勝です!」涼しげに端整顔のおしゃべりが言った。

「井川哲太。外野やってます。目標は県大会出場です。」

その場の全員の自己紹介を聞くと、なぜだかほんの少し満足気な顔を浮かべた。

「・・・わかった。これと遅刻した奴で全員か。」

「はい!!」部員がそれぞれ緊張しながら返事をする。


「じゃあ、あいつも呼べ!」

(ハチのことか?そうだよな。)

「は、はい。ハチー!!集合!!」

男鹿が大声を出しながら、大きく手招きをする。

声に反応し、レフト方向からファーストのダックアウトまで全速力でハチが駆けてくる。


「ハアハアハア、ッ今日は、遅刻して本当に、すみません!」

「もうおめーを説教してる時間ももったいねーから。自己紹介しろ。今年の目標も言え!」

「は、はい!!ハチ、八峰ケッ健太郎です!県大会に出場できるようにがんばります!」

 それを聞き、監督はなぜだか、眼光を鋭くし、真一文字の唇をより広くした。眉間の皺もいつの間にか消えていた。

「わかった。大体わかった。まず、おめーらから勝ちたいっていう言葉が聞けて安心した。人数少ないのは今はどうしようもない。それとは別でチームで勝つためには練習しねーといけなくて、練習するには先導する人間が必要だ。ひとまず、男鹿!大館!この2人で仕切ってやってく。いいか!」


「はいっ!!」みんながそれぞれ呼応し、男鹿はいきなりの指名に少し驚きながら、大館は当然とでもいうように返事した。

「じゃあ、おれがそれぞれポジションにノックしていくから、守りたいポジションに散れ!」

男鹿はサード、大館はキャッチャー、小坂一止はマウンド、鷹巣はショートに、井川孝之はライト、小坂孝則、井川哲太はセンターのポジションに散っていった。八峰はセカンドのポジションに向いながら自分が自己紹介した時の監督の表情について考えていた。

(おれがしゃべった後、けっこう鋭い目してたよな。怒ってたのかなー。後で説教あるかなー。でもなんか安心したって言ってたしな。大丈夫だよな?とりあえず、監督に良いとこ見せよう。がんばろう!!)

 それぞれがポジションについたのを確認しながら、監督がノック用バッドを持ちながら、バッターボックス付近に立つ。

「今の所、ファースト守るやついないようだから全部バックホームな!!」

「はい!!!」


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