侵食
か細く生きている。
息を吸うのもためらって、わざと息苦しい所へ移動する。夜中のカエルの合唱よりも、小さな声でお話しをする。
そんなか細い私にも彼氏が出来た。
野太く熱血漢溢れるスポーツマンの彼氏。私の太ったお腹や太ももがまるで生き返ったようにしぼみ始める。
声も少し野太くなった私。
彼の野太さの侵攻で、私の女性らしさは影を潜めてきた。割れた腹筋が鏡に痛々しく映る。
ベランダ庭に出るとトレーニングに励む彼がいる。血色のいい顔に滴る汗。彼が私に一緒にトレーニングをしようと手を差し伸べる。
彼の汗もまた私に侵食しようとしていた。