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序章 LOST
三〇年前、世界を突如襲った化け物
人は彼らを「サウロン」と呼称した。
サウロンに一般武器は効果がなく、人は滅ぶしかないのかと誰もが諦めた時、家族を殺され、何も守れなかった一人の女が立ち上がった。
女は憎しみを糧に生きる術を世界で初めて見出した。
生まれてくる子供の遺伝子に敵の遺伝子を移植させる。其れは倫理にも悖る行いだった。
けれど、敵のコアを持った子供達は同じく敵のコアを取り入れた特殊な武器での攻撃はサウロンに効果があった。
彼らは後の「ソルダ」と呼ばれる。
そして女を始めとするソルダ開発者、サウロンを破滅させる為に作られた組織をクリミネルと名付け、人は生き残る為の足掻きを始めた。
長く辛い戦いの始まりでもあった。
世界から本当の意味での平和は消え去った。故に人は知ることとなる。
「希望」は「絶望」がないと生まれないことに。
「絶望」は「絶望」でしかないことに。
人は知るだろう。
他者を犠牲にしなければ得られない救いは確かに存在するのだと。