魔王「世界の半分をやろう?」勇者「固定資産税高そうなんでいりません」
――続・謁見の間
「はぁ、分かったよ」
「君には悪いことをしたから、何でも一つお願いを聞いておこうかな?まあ、叶えられることだけだけどね!あはははは」
この娘は、自由だな。まあ、大きなお願いをしても、結局からかわれるでけだろう。ここは、依頼料の返還ぐらいでいいか。
「では、あの仕事で得られていたであろう賃金と、大陸へもどしてほしい」
「え~つまんない。そんなものでいいの?世界の半分とか望まないの?」
なんか、グデり具合が、更に強くなった。デフォルメされた二頭身キャラみたいになってきた。しかも、どこの竜王だよ。
「では、この城にあるお金の半分を要求する!」
やけくそに言った。言ってやった!言ってやりましたとも。
「いいよ」
「いいの?」
「うん」
「馬鹿!」
「あー馬鹿って言った人が馬鹿なんだ!」
プンスカしている。子供か!レイベが宝箱を持ってくる。そこには、総額数百万Gの貨幣が詰められていた。一気にお金持ちだ。嬉しさに跳ね上がりたい。幻覚ではないのだな。どうなんだろう?一枚つまみあげて、マナへ還元してみる。すると深層領域まで溶け込み。「購買特権」が発動する。偽物ではないようだ。
「本物か……」
「ああ、でもね収穫期の前だから、あんまりお金ないんだ」
「待てよ。これで、この城の貨幣の半分なんだよな」
「おっ!いいね。疑っちゃう?これだけもらっても、求めちゃう?」
「ではなく、残りこれしかないのか?」
「うん」
「うん。じゃない!どうするんだこいつらの給料とか?兵士の給料とか?施設の手入れだってあうんだろう?」
よく考えてみたら、この禍々しい雰囲気は、ただ単に修繕に手を付けられていないのではないか。
「我は、主に仕える事が最高の喜び!それ以上の物はもとめぬ!」
ポルセ利口説崩壊。
「わたくしは、マリアのそばにいられればそれでいいのです」
憂い奴とか言いながらマリアが、レイベを撫でる。超顔が赤い。百合百合しやがって!緩いんか?百合なんか?
「うちは、お酒と稲荷寿司さえ、いただければ何の不満もありゃしません」
稲荷寿司とは、東方の食べ物らしい。
「メルキはね!ごはんくれるからマリアの事大好き!」
ああ、ああ子供を餌付けして……。
「ちなみに、この城には兵士はいないよ。なぜか皆やめちった。他の臣下は地方でそれぞれ治めているし」
「それはやめるだろう!ろくに賃金も払わないで、何が魔王だ!」
「忠誠心に欠ける奴らだ」
「忠誠心じゃ生きていけない」
「いや、忠誠心こそ……」
「黙れ!」
ポルセがシュンとなっている。
「分かった!要求を変更する。この魔王城の帳簿を見せろ!」
「帳簿?」
「お金の出入りを記録したものだよ!」
「無いよ。適当になんかやってるし」
頭を抱える。どうやって魔王城を維持しているんだ。
「分かった。再度要求を変える。俺をこの城の財務担当兼御用商人して雇え!俺はこの国の事業におけるあらゆる物品の調達を受ける権利と、それに必要な予算を組む権利を貰おう」
「何それ?そんなんでいいの?」
「魔王様、意味わかってんの」
「全然?」
呆れと怒りで、魔王を睨みつける。二頭身魔王は、目に涙をためて、レイベの影に隠れる。そして、この場の誰もこの権利の有用性を把握していない。
「紙とペンはあるか?」
先ほど、書き物をしていたポルセが、ペンを渡してくれた。サラサラと、条項を書きしたためて、俺の名前と最後にアークマリアの名前を自署させた。血判を押させる。【コントラクト】各項目が光を放つ。
「さて、これでこの契約にマナが宿った。この条項をたがえた時、罰則として、相手に財貨及び命の全てを相手に渡さなければならない」
さて、これである程度の事は、自由にできる。経済状況、軍事業況、隣国の状況を確認しないといけない。まあ、まずは商人として、産業の状況が気になる。後で、外出して周りの様子を見ていこう。
「お金の面は、この俺に任せろ!」
歓喜の声と共に、皆から、盛大な拍手をもらう。君たちこの状況が分かっているのかね?