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モン娘だって女の子

――魔王城・城内廊下


 ドラゴン娘の後ろ姿。マントの下は、背中が大きく露出しており、二つの翼が見える。

その翼は、非常に小さいが、おそらく戦闘の際は、大きくなるのだろう。暫く歩くと、城から出る小さな扉があった。そこを抜けると、城の裏手。木が生い茂り、禍々しい雰囲気を醸し出している。大部分は蔦に覆われており、日中でも日があまり差し込まないようだ。そこを抜けると、町の様なところにでる。人の気配はあるようだが、皆戸を閉め切っている。さすが、魔王の城下町、雰囲気が半端ない。


 少し大き目な建物が見えてきた。小さな村の宿屋くらいの大きさだ。なんの為に、ここに連れてこられたのだろう。不思議に思っていると、ドラゴン娘は、何のためらいも無く扉に手をかざし魔導ロックの解除を行う。


「念のために聞くけど、ここがお前の館なのか?」


「そうだ。それに、お前ではない我の名は、ポルトセルミ。ポルセと呼ばれている」


「そうかポルセ、ポルセの館か……」


「立派であろう。四魔将の中では、特にこだわったからな」


 自慢げに語るが、そうか、これでこだわったんだな。少し遠い目になるが、ポルセには気づかれていない。部屋の中は、ラウンジ風の場所があり、天井には空気を巡回させるプロペラ、魔導灯が淡く輝き、木のぬくもりが感じられる良い家だ。だが館ではない。部屋は六部屋あり、ダイニング、応接間、寝室、書斎、物置、浴室と一通り生活するには十分である。書斎に簡易的なベットを作り、そこで休ませてもらう事にした。一見、脳筋馬鹿だと思っていたが、結構な勉強家であるらしい。本の一冊を読んでみる、歴史書であった。他は、自伝や、戦術指南書、上司との上手い付き合い方など、多岐にわたる。マナの蓄積量を増加させるという眉唾ものの本を読んでいると、下の階からポルセの声が聞こえる。


夕食(ゆうげ)ができたぞ」


 その声を聴き下に降りてみると、ダイニングに料理が並んでいた。


「自分で作ったのか?」


「当たり前だ。勝手に料理はできんぞ」


 確かにそうだ、椅子に向かい合うように座って、彼女が食べ始める前に何か言葉を紡いでいる。俺もそれを真似てから、料理に手をつける。魚のムニエルと、コーンスープ、固めのパン、野菜の盛り合わせ。かなり上手い、手が止まらず懸命に食べてしまう。そんな姿を、ポルセに見られて、少し顔が赤くなる。彼女は、嬉しそうに話す。


「腹が空いていたのだな。遠慮なく食べろ」


 料理を誰かの為に作る事はあまりなかったのだろう、食べる人が美味しそうに食べていると、やはりうれしいものなのだろう。厳格な雰囲気はあるが、ふとしたところで女の子らしさも見せるのだなと思いながら、料理をふたたび口に運ぶ。

 食後は、俺も手伝って食器を洗う。その後は、ポルセからお風呂に入る。お風呂といっても浴槽につかるわけでは無く。スプレー状の魔導具によって、体の洗浄を行う。


 意外と、スプレーで洗浄しただけでも、シャワーの後の様な、爽快感は味わえた。風呂上がりに、書斎で本を読んでいると、ネグリジェの様な姿の彼女がノックもせずに入ってくる。入ってきた瞬間、彼女は驚き、俺が居る事を思い出す。


「きゃっ!」


 体を包むように座り込む。大きな胸が、更に強調さる。純白の下着が見える。白か……。よろしい。健全健全。超健全。普段低めの声なのに、驚いた時は、声が高くなるようだ。

 それから、机にあった本を手渡した。手渡した際に、彼女は胸元を隠し、正面を見る事が出来ないのであろう、少し横を向いて礼を言ってきた。顔がだいぶ赤くなっていたようだ。よく考えたら、魔人とはいえ年頃の娘と二人きりというのは、結構興奮するシチュエーションだ。そんなワクワクタイムは、すぐに終わってしまう。何故なら、疲れに任せて寝てしまったからだ。


 翌日、外で素振りをする音が聞こえ、俺は目を覚ます。ポルセが朝の鍛錬を行っていた。少しその様子をみてから、服を着る。下に降りると、すでに食事が用意されている。それを平らげてから、髪をセットしたりするだけだったが、帰る準備をする。

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