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アスカンテ北西砦、防衛戦

 北西砦の陥落は、すぐさま王都に報告された。北西砦の戦力自体は、たいした事は無かったが、敗戦は、重税に苦しむ民の心を蝕むことになる。決して、国王はその情報を漏らさないように大臣に伝えた。


 そこで、大臣は点数稼ぎの為に、北西砦の奪還に、部隊を一部あてる事にした。蛮族の討伐を名目としていたので、そこまで大掛かりな部隊は出せないが、騎兵3百、歩兵5百、魔導歩兵2百の千からなる部隊を送った。華々しく行進して、北西砦奪還のため、進行してきた。


 砦奪取後、俺は反撃を予想していた。正確に言うと、防衛戦を望んでいた。一国を責めるのには、戦力が足りない事、戦力強化まで、奇襲と防衛を繰り返そうと考えていたためだ。


 大群で攻め寄せてくることはないと考えていた。一つに、敵兵全員が無事に帰還しており、国民感情として、俺への抵抗を高めたり、国が弔い合戦を仕掛けてくる可能性が低かった事。


 それと、アスカンテ自身も複数国と国境を接しており、戦力を分散させておかなければ、ならない事が分かっていたからだ。


 狼の斥候を放っていたので、相手の出方は分かっていた。砦への攻撃に、騎兵を出す馬鹿が指揮をしている事に、数の脅威は全く感じなかった。


 【購入特権】《魔導地図》を購入した。しめて1百万。《魔導地図》は、マップメイキングのできるマジックアイテム。地形を変更したり、建造物を建てたりする。俺は、この地域に落とし穴を作ることにした。その罠は、俺が発動の魔力を送らないと発動しないため、相手を引き寄せての発動が可能であった。


 相手も幾度となく、斥候を送ってきているが、《魔導地図》の事は感づかれていない様子だ。一瞬にして作成でき、なかなか出回っていないアイテムであるから、ここまでの想定はしていなかったようだ。


 その代わり、敵は、俺が狼のほかに“ねずみ魔導師”を大量に、使役している事をしった。数としては1百。《強化20》《ヌーサ》《メラメ》を付けた。500万G位したと思う。


 目の前まで、大臣は進軍してきた。陣もそこそこしか作らず、正面から突撃するように命令をくだす。楽な戦だと伝えられていた敵兵は、非常に士気がひくかった。


 開戦と同時に、圧倒的な数の敵が攻め込んできた。しかし、俺は落ち着いて、その様子を砦の屋上から見ていた。この戦い、俺の勝利に終わるだろう。砦とはいえ、施設攻撃時に、見栄を張って、騎兵などをよこしているからだ。彼は大臣であって、軍人では無い。


 十分引き付けるように、指示をを下す。狼たちが、騎兵の速度に合わせて後退を行い、砦の南方面へ、おびき寄せる。少しづつ固まって後退する。相手も徐々に広がった部隊を、狭めてきた。


「今だ《ヌーサ》を集中的にかけ続けろ!」


 《ヌーサ》とは幻覚を見せる魔術。霧のようなもやがかかり、敵兵を幻覚の世界に陥れる。更に、相手を砦に近づける。既に、幻覚にかかってしまっているので、不自然な前進を始める。抵抗力のある者も、集団の中では立ち止まっていられない。立ち止まった途端に、圧死してしまう。


「今だ!《魔導地図》展開!」


 突如、落とし穴が出現する。そして、敵兵のほとんどがその穴の中に消えていく。身動きが取れなくなっている彼らは、自分の装備を手放して、穴から這い上がろうとしているのだ。しかし、粘ついた粘液の様なもので、彼らは上がる事はおろか、装備を完全に脱ぎ捨てる事も出来ないでいる。



「魔導部隊。やれ!」


《メラメ》は、野球ボール大の火の玉を敵にあてる魔術である。着弾後は燃え広がる性質を持っている。


 一斉にねずみ魔導師が、《メラメ》を唱える。その様は、さながら火の雨であった。一撃一撃は、小さなダメージだが、量がそれを補完する。消費マナは、少ないので、連続使用が可能であり、息をつく暇も無かった。


 それと、粘液の正体は、油であり、《メラメ》着弾時に、延焼した。火は劫火となり、敵を焼き尽くす。数人が転移し始めた。どんどん敵の所持品の所有権が、俺に移ってくる。そして、耐久性のある兵が、最後まで残った。油は燃え尽きてない。


 敵の数は2百まで減少した。煙が立ち込めむせかえる中、皆憔悴しきっている。後方に待機していた大臣は、数体の近衛を連れて、逃げ出そうとしていたが、200匹の狼はそれを見逃さなかった。


 延焼による大きなインパクトによって、敵の目は、前方に釘付けになっていた。その隙に、後退してきた狼を、左右1部隊づつを側面から、敵背後に回らせていたのだ。


 当初は、傲慢な大臣は、真ん中にいるとみていたが、存外臆病なのか、慎重なのか不明であるが、セオリー通り後方に待機していた。


 ほぼ無傷で、大臣を撃破した、狼たちが、残った敵兵2百の後方詰める。敵は完全に挟み撃ちになってしまった。しかし、噂通り俺が殺さない事をしって、安心しているのか火が収まってからは混乱していなかった。


「ただ、やられる恐怖は味わってもらおう」


 側面の部隊の、数人が数メートル投げ出されて転送された。死なないとはいえ、皆驚愕した。竜の鱗を持った巨体。そう[ドラール]である。彼らは、悲鳴を上げながら、ドラールに攻撃を加える。多くが、炎属性の魔術を撃っていた。


 しかし、ドラールは物理防御力はもちろん、炎属性の攻撃に強い。2体に攻撃が集中する中、狼たちも援護に向かう。咬みつき引っ掻く。


 さすがのドラールも、数には敵わないが、狼の活躍で、徐々に敵の攻撃は分散する。そして、俺も直接戦闘に参加する。蹴り技によるノックバックで、敵の注意をドラールから引きつつ、数人を同時に攻撃できるように立ち回った。


 開戦後、2時間の後、そこには複数の魔物と、男が一人立ち尽くしていた。

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