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魔王ゼロスの遺産

 いくら綺麗ごとを並べても、軍事力は必要になる。基本的な軍事力は、各魔将に任せるとして、俺は砦をつくり、戦線をなるべく本城から遠ざけなければならない。しかし、駐屯させるだけの兵を雇う事もできないので、何かしらの方法を使うしかない。そこで考えたのが、魔術によって、人を使役する方法か、そもそも人では無く傀儡を使う方法か、悩んだ挙句、【購入特権】で[魔核]の購入をする事にした。


 この魔王城は、歴代魔王が暮らしていた所であり、先日メルキの部屋に遊びに行ったときに面白いものを見つけた。

 黒いノートに、『グリモワール』~我が忠実な僕たちよ~という『臭い』タイトルが書かれたものを見つけた。『僕の考えた最強のモンスター』ばりのノリでいろいろ書かれた、いわゆる厨二設定資料だった。しかし、かなり精密に作られており、ただ単に突拍子もない能力だけでなく、地味目なものもあった。結構見てて楽しくなったのはメルキには内緒だ。彼女が遊び疲れて(俺の膝で)眠りこんでいたので、その間に結構読み進めた。そして気が付いたのだ。この厨二魔王さま、とんでもないことをしていた。実際自分で作りたかったようで、各魔獣の[魔核]から魔獣を錬成できるように研究していたらしい。2番目のノートには、カタログ形式(すべて手書き)に[魔核]の種類と、オプションを丁寧にまとめていた。しかも、値段設定付きで。

 例えば、[スライムの魔核]は、10Gで、たった1時間で、スライムを制作できる。魔素を材料に肉を形成して形を作るので、生贄の肉などは必要ない。それに、術者のマナを流し込むので基本的には忠実だ。[魔核]は大体掌サイズの球体であり、こちらが望み、マナを中に送ると発動する。基本的にはマナの補充を自分で行う(呼吸や通常の飲食等)。だからそうそう自然消滅しないが、魔核へのマナの補給不足や魔核の破壊により、その形を保てなくなる。

 魔核がある事で、魔術の行使も可能である、カタログに書いてあったオプションには、[魔核仁(まかくじん)]という小さな球体を魔核に溶け込ませることで、たとえだ【フレイムブレス】の打てるスライムの作成が出来たりする。しかし、通常のスライムでは、【フレイムブレス】一発ではマナが足りなくなり、すぐ消滅してしまう。そこで、[魔核仁]で《魔力増加》などを付けたり、《強化+10》などを付けて底上げしなければならない。当然お金がかかるようで、まるで課金アイテムの様な感覚だ。


 ただのノートかと思いきや、厄介な魔導書であった。全くどこに力を注いでるのやら、魔王というのは変り者しかいないのか。し、しかし、これは一時的に軍事力を底上げするのには使えるな。うん、カタログ形式のそれらを、【購入特権】に落とし込むことにしよう。


 結構ワクワクな感じで、【購入特権】に落とし込んだところ、大体カタログと同じ数値になった。[魔核仁]が結構高い値段設定になるかと思いきや、[魔核]とのセットでないと価値が発揮されないことから、カタログ通りの値段となった。


 そして、最後のページまで読み終わると、何やら陣が書かれていた。それに魔力を送ると、映像が天井に浮かぶ。片目に髑髏の眼帯を付けて、基本黒色の服をきた。少年がすわっていた。足何か組んで。


 『よくぞ、我が魔導書を開いた。同胞よ。汝、我が意思を継ぎ、そのグリモワールの完成を目指してほしい。我は、魔王ゼロス。血と混沌に飢えたもの。再び常世に舞い降りた時、汝を我が友として迎えよう。そして、我が魔導書に記された僕どもの力により、世界を手に入れようではないか。はーはっはっはっはー。はー!「ゼロスー。ご飯よー降りてきなさい!」待てよ今大事なとこだし、かーちゃん御飯って言っても出来てないじゃん。運ばせたいだけだろ!』


 そこで映像が消える。消えると同時に物凄い光を放った。しばらく周りの景色が分からないほどだった。

 ゼロス。名前が嘘ではなかった事にだけ、敬意を示そう。そして、お前と共には、世界征服したくないと思ったよ。彼のノートはそっと元の場所に戻した。母さんは大切にするんだぞ。


 激痛が残る目を見開いた瞬間、景色が一瞬変わった。メルキの頭の中に、核の様なものを見た。それは、[人狼の魔核]だったのだろう、すでに登録されているものだったので、特に何があるわけでは無かったが、魔核仁が何個かカタログに加わった。しかも、勝手に値段設定機能までついてやがった。【ゼロスの魔眼】まだ詳細は分からないが、取りあえずは、相手の魔核の情報を分析、収集できる。ふ、俺もついに混沌の仲間入りだぜ。絶対にマリアには見せられないな。……絶対笑われるし。

少し日常パートは待ってくだされ。

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