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信仰

「ふぅ……。葬送演舞終了です」


「いつ見ても綺麗だね。君の踊り」


「拍手ありがとうございます。ではおひねりをいただきましょうか」


「……いま手持ちが少ないから、このくらいで」


「本気にしないでください。あなたから貰ったところで私の総資産は変わりませんから」


「そっか……いや待て」


「あーあ、戦いに続けて踊ったせいで少し汗かいちゃいました。こういうとき水浴びできないって最悪ですね」


「いま吹きかけたそれは消毒液?」


「これですか? うちで売っている香水です」


「へぇ、君の教会こんなの作ってるんだ」


「神様のご加護がありますよ」


「ハ」


「お? いま鼻で笑いましたね。信じられませんか」


「いやだって、ご加護って。具体的にどんな恩恵があるんだよ。どうせ幸せになった気がするとか、そういうやつだろ」


「汗の匂いを誤魔化せます」


「当然のごとく実用的だった。でもそれ神様とか関係ないだろ」


「神様を信じない人には効きません」


「つまり全部気のせいじゃん! 汗の匂いを誤魔化せる気がする水じゃん!」


「使ってみればわかります。タダとは言いませんが、あなたでしたらお安くしておきますよ。一個一〇〇〇クロナです」


「うえたっか! 一週間分の食料買えるし!」


「本当は一個二〇〇〇クロナします」


「……ボッタクリだろ。神のご加護とかありもしない付加価値つけて信者から金巻き上げてるだけだろ」


「なっ!? ありますよご加護! そんなに疑われるなら試しにつけてみてください。一〇〇〇クロナです」


「試しなら金を取るな」


「もー、仕方ないですねぇ。私の使いかけでよければ、はい」


「顔面に吹きかけるんじゃない! ……あ、でも匂いは確かに良いな。いつも君から漂ってくる香りの正体はこれか」


「ほら、効果あるでしょう? わかったらあなたも神様を信じなさい」


「なんで香水ごときでとんでもない奇跡見せたみたいな態度なんだこの人。元々良い材料使ってるだけでしょ」


「わかりますか。私含め、教会の女僧侶たちが三日三晩眠らず祈りを捧げた」


「ああ、やっぱりそういう系ね」


「――際に着ていた衣服を洗濯したときの水です」


「排水じゃねぇか!」


「は? 聖水でしょう。実際、製造方法は公開していますがそれでも皆さん行列作って買っていかれます」


「どんな人間が君の教会の経済的基盤を支えてるのかはわかった。でもそれで良い匂いするっておかしくない?」


「私たち僧侶は動物のお肉を食べないので、体臭がほとんどないのです」


「君が焼き豚にむしゃぶりついてるとこ見たことあるぞ」


「私は宣教師として特別に非常時の殺生を許されています。空腹は非常時です」


「僕のほうが僧侶の君より誠実に生きてる気がしてきた」




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