表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/18

分銅鎖

「はーい、埋葬完了。まったく、襲われておいて弔ってやろうだなんて、あなたもお人よしですよね」


「……こういう提言って普通は僧侶である君がするものだと思うけどなぁ。何事もなかったかのように人骨放置して立ち去ろうとするから驚いたよ」


「生憎うちは生きておられる方をお相手にお祈りさせていただいておりまして。金もなければ口も利けない死体はお客様になりえないんですねぇこれが」


「どんだけ商売気前面に押し出してるんだ。宗教って本来そういうものじゃないだろ」


「こっちも慈善事業でやってるわけではないのです」


「いややれよ、慈善事業で。このままだと僕の中の宗教に対する良いイメージが瓦解していくんだが。僕が言うのもなんか変だけど、もっと清廉になれ」


「ぺっ」


「汚い僧侶だなホント」


「それは私に馬鹿になれと言っているのと同義です。賢しくなければどの業界ものし上がれませんよ」


「…………」


「もう、仕方ありませんねー。最後に弔いの舞でも舞ってあげますか」


「なんだ、ちゃんとそういうのあるんじゃん」


「葬儀用のもので、本来は高いお布施をいただいていた方にしかやりませんが、あなたに免じてタダでやってあげましょう。タダで」


「……お願いします」


「さて、葬式用の鈴錘はどこにしまいましたかねー、と」


「あ、その分銅鎖って、さっき武器に使ってたやつだよね?」


「ええ。元は祭祀用に使っている祓具を武器として使ってるんです」


「そんなことしてバチ当たらないのか」


「宣教師は非常時の防衛行動を許されています。身を守ろうとしたとき、偶然にも手元にこれがあった、ということで」


「設定か。なんていうの? 名前は」


「正式名称はブルムルルーガです。言いにくいので分銅鎖でいいでしょう。演舞用に両側の分銅を球体にしたときはタマタマと呼んでます」


「その呼称はやめたほうがいいと思う」


「当たると結構痛いですよ。練習用の軟錘で喰らってみますか?」


「遠慮しとく」


「賢明ですね。いかに軟かくても本気で殴れば骨が折れたりするので」


「おい、いま僕拒否してなかったらどうなってたんだ」


「このように、先端のすいと呼ばれる部分はいろいろ付け替えられるようになっているのです」


「無視か」


「いつも付けているのは普通の錘で、使い勝手は良いですが決定力に掛けます。これが打撃特化の重錘です」


「武器として使う気満々じゃねーか」


「大きいだけでなく素材も鉛を混ぜた重い金属でできています。そのぶん軟らかいのが玉に瑕、いやタマタマにキズでしょうか」


「やめて」


「で、こっちは斬撃特化の剃刀錘。鎖がしなる分、錘の最高速度は通常の斬撃よりもずっと速くなるので面白いくらいスパッと斬れます」


「ああ、さっきスケルトンの首切断してたやつか」


「アレにはあんまり意味ありませんでしたけどね。これは傷口をズタズタにできる蓮華錘。それからこれは拷問および尋問用の」


「なんで僧侶が拷問器具そんなもの持ってるの?」


「便利ですよ」


「なにをするのに」


「不信心な人間を戒心させるとき用に、ですかね」


「邪教過ぎる」




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ