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悪の刻印  作者: するめ
3/4

セシリア

3、セシリア

「イヤーーーッ!!!」

「ひゃはは、いいじゃねえか。気持良くしてやるからよ。」

「そうだぜ。大人しく股をひらいてりゃ、極楽を味あわせてやるからよ。」

「おお、いいねえ、いやがる女ってのはたまんねえなあ。・・・痛っ!けりやがったなこのアマ!」

数人の女たちに賊徒たちが集まって彼女たちの体を弄んでいる。

必死に抵抗する女たちであったが、やがて力尽きて泣き声を上げることしかできなくなった。

大人しくなった女の上で、悪臭を振りまきながら男たちが腰を振っている。

まさに地獄。

女は只その身に降りかかった出来事におののき、脅声を上げる。

男たちは己の中の獣を解き放ち欲望をむさぼっていく。

男たちの律動が激しくなるにつれて、女たちの泣き声は鳴き声へと変わっていった。中には快楽に負けて自ら欲望を満たそうとせがむ女までいた。

そんな獣たちの狂宴を暗闇から眺めていたケイは一人心が覚めていくのを感じていた。

彼の隣には彼と同じ年ごろの少女が膝を抱えて震えていた。

彼女は長くのばされた銀色の髪を涙と鼻水に汚しながら震えている。

そして小さな手でケイの服の裾をつかんでいた。



この日、ケイは5歳の誕生日を迎えていた。

彼自身は自分の誕生日などどうでもいいと考えていたが、頭領は執拗に彼の誕生日を祝おうとした。

もちろん、彼を祝福するためではなく、彼に嫌悪を刷り込むためである。

その日の朝、頭領はケイを蹴り起こすと彼の髪の毛を掴みながらこういった。

「いいか、今日はてめえの5歳の誕生日だ。祝いにてめえに女をくれてやる。まあ、てめえのちいせえブツじゃあ普通の女のはスカスカだ。だから、てめえと同じ年ごろのガキをやる。ちょうどいい獲物が今日の昼に近くの平野を通るって情報が入ってる。なんでもお貴族さまのご令嬢だそうだ。いいか。そいつを犯せ。そうすりゃあ、てめえも一人前の悪党だ。ぎゃはははは!」

そういうと頭領は仲間の男たちをひきつれて洞窟を出ていった。


そして辺りが夕焼けに染まること、男たちは数人の女を抱えて帰ってきた。

男たちの体は血で赤く染まっていた。

一体何人の人間を殺したらこれだけの血を浴びるのか、ケイには想像もつかなかった。

「おい、ジグ!ケイにガキを渡せ!」

「いや・・・でも。コイツぁ俺の獲物ですぜ、頭領。」

「ばかやろう!今日はケイの誕生日だ。今回の目的をわすれたか!?」

「忘れてはいやせんが・・・。何もこんなめんこい女をケイにやらなくたって・・・。」

「ぎゃははは、まあてめえの小せえブツはケイとドッイドッコイだからなあ。子供じゃねえと気持良くねえのはわかるがよ。ここはな、大人しく頭領のいうことを聞いてケイに譲ってやりな。大人の男として弟分に恩を売るのも一興ってもんだぜ!」

「ちぇ!しゃあねえな。その代り、一番若い女のケツはもらいやすぜ。頭領の抱えてる女ならいいケツしてるから、俺でも楽しめそうだ。」

「ぎゃははは。構わねえ!ただし、俺が十分楽しんだ後にな!」

そういうとジグは抱えていた少女をケイの前に投げつけた。

地面に少女の体が叩きつけられる瞬間、少女は小さなうめき声を出した。

ケイは今朝の頭領の言葉を思い返した。

そして、これから自分がこの女を犯すことになるのだと再認識した。

罪悪感は全く起きなかった。

それどころか、これから体験するであろう道の快楽に、彼の胸は躍りさえしていた。

早く、激しく打つ心臓の音に耐えながら、ケイは少女の顔を見る。

口元は気付く結ばれ、泣き声を上げるのを必死に耐えているようである。

銀色に輝く前髪の下には涙にうるんだ大きな青色の眼が輝いていた。

その瞳をみた時に、彼の胸にチクリと痛みが走った。

彼女の瞳は彼のペンダントの宝石を喚起させる。

そして、そのペンダントが彼を責めているように感じた。

「いいか、ケイ。ちゃんとこのガキを犯すんだぞ。後で確認するからな。もし俺様のいい突けを破るようなことがあれば、てめえを殺す。わかったな!」

頭領がケイを睨めつけながら恫喝した。

ケイは黙ったまま首を縦に振ると、少女の手を掴み、洞窟の奥の影の中へと引っ張っていった。


男たちから離れると、ケイは少女の手を放した。

そのとたんに少女は体の力が抜けたように地面に経たり込んでしまった。

ケイは光のない眼でしばらく彼女を眺めていたが、やがて大人たちの狂宴が始まり、様々な感情のこもった怒号が響きだすと、そのらんちき騒ぎの方へと目を向けた。

そして、目を細めて佇んで思考を始めた。

(僕はこれからこの女を犯す。何をすればいいのかははっきりとはしないけれど、きっとあいつらがやってるみたいにやればいいんだ。こいつは僕が生きるために泣いてわめくだろう。うるさいだろうけど、これは仕方のないことだ。僕が生きるためにはこいつを泣かせなければいけない。大人の女たちが泣き叫んでいる。痛いのかな。でも、すぐにみんなうれしくなって、自分からお願いするようになるんだ。いつものように・・・。だから、僕がこの女に何をしようと構わない。この女だってきっとすぐにうれしくなって、自分からお願いしてくるんだから・・・。)

そんなことを考えていたケイであったが、ふと背中側の服をひっぱられた感覚を覚えて、後ろを振り向いた。

そこには鼻水と涙に顔を汚した銀髪の少女がいた。

そして青い瞳が彼の瞳をまっすぐにとらえていた。

「た・・・ず・・げ・で・・・!!」

ケイは始め、彼女が何を言っているのかわからなかった。

ただ自分を守ってくれと懇願している意志だけは伝わってきた。

しかし、そんなことをすれば彼の身だって危ない。

ケイはため息を吐きながら首を横に振った。

この時のケイには罪悪感など一切なかった。

ケイにとってこの少女は、ただの捕食対象でしかなかった。

狼がウサギやネズミの鳴き声を気にしないように、また鳥が魚のわめきを意にもかいさないように、ただ少女を眺めているだけだった。

「えぐっ・・・エッグ・・・うわあああん!」

ケイが首を横に振ってしばらくすると、少女は大きな声をあげて泣き始めた。

その声はこの小さな体の一体どこから出たのかわからないほどの大きな声で、洞窟中に充満しようとしていた。

ケイはすぐさま少女の口をふさいだ。

少女はそれでも声をあげ泣き続ける。声は洞窟に響きわたる。

「うるせえぞ!!ガキどもがあ!!!」

頭領の声がこだました。

洞窟が静まり返る。

ケイが振り向くと後ろから怒髪天の頭領が迫ってきていた。

ケイは滅多打ちにされる自身の未来を予想して総毛立った。

このときの彼の思考は「痛い思いは避けるべきた」というものであった。

そして、必死になって回避方法を試行した。

その結果、ケイは少女の髪の毛を掴むとその頬を懇親の力で叩きつけた。

すると少女は驚きの表情を浮かべて泣きやむと、目を丸くしてケイを眺めた。

「ぎゃははは。てめえもなかなかの業の持主だな。まさか女を殴って遊ぶ趣味があるとはなあ。いいぜ、もっとやれ!ただし、ガキに騒がせるなよ。俺たちの邪魔をしないように静かにやれ!」

そういうと頭領はケイの頬をありったけの力で殴り飛ばして、女の元へと帰って行った。

ケイは吹き飛ばされて壁にぶつかった。

その際に肘をぶつけてスリむてしまい、血が腕を伝う。

大人たちの狂声が再開される。

ケイはしばらく何が起こったかか分からずに放心していた。

しかし、肘に生暖かい感覚を覚えて我に返った。

肘を見ると、なぜだろうか、少女が彼の出血部にしゃぶり付いていた。

「・・・の・ん・け」

彼女は何かを呟いているように聞こえる。

何を言っているのか気になりよく耳を澄ましてみた。すると

「いたいのいたいのとんでけ」

その言葉を聞いた時、彼の胸に痛みが走った。

それはペンダントの宝石がある当たり、まるで現在の彼をたしなめるように、その痛みはチクチクとかれの胸を刺した。

「ありがとう。私をまもってくれたんだよね?あのままだと私が殴られてたから・・・。」

彼女の漏らした言葉にケイは更なる痛みを覚えた。

それは自分の体の内側から湧き出してくるような、そう、あたかもこれまでの彼の生命を支えていた憎しみがわき出るところと同じ深い場所から生まれるような、そんな痛みだった。

(違う・・・違う!そうじゃないんだ!)

彼は必死に首を横に振った。

しかし、自分自身でも否定しきることが出来ない。

その痛みは優しく温かく・・・、ケイの凍った心を溶かすような痛みであった。

「ありがとう・・・。ありがとう・・・。」

ケイの心情など知らずに少女は言葉を続ける。

その瞳は、優しく青く、澄んだ空のように輝いていた。

その光はケイにはあまりにも眩しく、彼は思わず顔をそらしてしまった・・・。


気が付くと洞窟は静まり返っていた。

ケイは眠りに落ちてしまっていたようだ。

懐かしい暖かさを背中に感じる。

そっと振り向くと、彼の背中に少女が寄り添うように寝息を立てていた。


大人たちの狂宴も終わったようで、何ひとつ物音はしない。

ケイは何かにせかされるように少女の服をはいだ。

しかしそれは決して乱暴なしぐさではなく、彼女を起こさないように優しく気遣った動きであった。

彼女の身ぐるみを剥ぐと、彼は壁の鋭利な部分に自身の腕を当て思い切り引っ掻いた。

彼の腕から血が流れ出す。

それを彼女のズボンで拭うと、さらに彼女の内股の部分にこすりつけた。

そした幾ばくかの血が付いたのを確認すると、また静かに眠りに入って行った。



翌朝、彼は腹に鈍痛を覚えて目が覚めた。

いつものように頭領が彼を蹴飛ばして起こしたのである。

朦朧とする意識の中で、彼の近くに安らかに眠る少女を確認すると、なぜか安心した気持が起る。

「ぎゃははは。てめえもなかなかやるじゃあねえか!見てみろよ、処女を奪われたガキがこんな幸せそうな顔でねてやがるぜ!てめえ、どんな言葉でこのガキを誘惑したんだ?ああん?」

ケイはにやりと不敵な笑みを浮かべた。

それは憎しみなどとはまったく違った感情から起きたものだ。

優しい、ひだまりの中にいるようなそんな温かい感覚だ。

「へっ!いっちょ前に男の顔しやがって!まあいい。これでてめえも俺らの仲間入りだ。ぎゃはははは。」

頭領は汚らしい笑い声を上げながら、ケイから遠ざかって行った。

ケイはその後ろ姿を見ながら、初めて頭領に対して仕返しができた気がして、満足感に満たされていた。


「・・・セ・・シ・・リ・・・・ア」

それは彼が久しぶりに発した言葉だった。

昨日おぼろげな記憶の中で、聞いた言葉。

隣で寝息を立てている少女の名前。


ケイは自分にだけ聞こえるように何度も何度もその言葉を呟いた。

彼の手には、ペンダントがしっかりと握られ、その手の中で青色の宝石がキラキラと輝いていた。


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