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揺れ動く気持ち

12.


「ちょっと今度お礼しちゃうかも」の言葉があれから気になっていた。

 届けたのがサイフとはいえ、そんなに大層なことをしたつもりはないし、人として当然のことをしたまでだと思う。

 だから、お礼なんていらないさ。とか言いながら少しの見返りを期待していたりするのも正直なところである(本音)。

 それにしても、ちかげのやつが昼休みを皮切りに、頬をプクーッと膨らませながら、一言もしゃべってくれなくなってしまった。

 何が原因か詳しくはわからないが、きっと千歳が来たのがきっかけだろうな。

 と、時間的に態度が急変したのがそうだからという理由で、決めつけていた。

 午後の授業も終わり放課後になるころには、ちかげは教室からいなくなっていて、真意は未だ謎のままである。

 学生もほとんどいなくなり、ほんの数人しかいなくなったこの教室で、俺はそろそろ帰宅しようと思っていたのだが、その時、後ろから突然肩を叩かれ、サッと振り向いた先にいたのは、

「おまえさー、あの娘だれだよー」

 となぜか恨めしそうな目で俺を見ながら話しかけてくるマサトだった。

 あ、ちなみにマサトは俺の友人だからな。忘れるんじゃないぞ。

「あの娘って、あぁ青空 千歳のことか」

「そうだよ。なんであんなかわいい娘と知り合いなんだよ、ていうかどんな関係なんだよ」

 と、マサトは変わらぬ態度で俺に質問を投げ掛けてきた。

「どんな関係って、単に落し物拾って渡しただけだよ。それに・・・」

 と、言いかけて、俺は慌てて自分の口を塞いだ。

 危ない危ない、あの時のことは秘密にしなきゃいけないんだった。

「それに? なんだよ?」

 と、マサトがジリジリ俺に詰め寄ってくる。

「い、いあ、なんでもないよ」

 と冷や汗が出そうになりながらも、冷静さを保ち、マサトに特に理由がないことを説明した。

「そっかぁ、そんならいいんだけどさ。とりあえず一つ言いたいことあるんだよね」

 言いたいこと? 一体なんだろう? 

 するとマサトは少しマジメな顔をしながら、

「千歳ちゃんだっけ? あの娘お前のこと好きなんじゃねーの」

 え? なんだって? 

「だからお前のこと好きなんじゃねって言ってるんだよ」

んなわけあるか。会って一週間も経ってない内に人のどうこうがわかるわけないだろう。

 マサトは続けて言った。

「いや、俺もなんとなくだから確信は持てないんだけど、お前に話しかけるときの雰囲気見てさ、そう思ったんだよね」

 と、マサトは少し風の吹く窓際に腕を置きながら、視線を上に向けていた。

「青空 千歳が俺のこと好きなら、なんだっていうんだよ」

 と、マサトに言葉を返した。

「まぁ、別にいいんだけどさ。とりあえず、お前の周りに美少女が2人もいるなんて、羨ましすぎるの一言に尽きるぜまったく」

 と、マサトは結局何が言いたいのかわからないセリフばかりを言っていた。

 あぁ、なんか、また頭が痛くなってきた。

「とりあえず、俺もそろそろ帰るわ」と、話が終わったのか、マサトは階段を駆け下り、

 教室から姿を消した。

 俺もそろそろ帰ろうかな。なんか変な方向に話進んじゃったし。

 と今日一日3度も頭を悩ませた俺は、頭の疲労を回復すべく、マサトの後を追い、家路へいそいそと向かうのであった。



13.


 家路までは実に長かったような、短かったような、そうでもないような、そんな想いを巡らせながら家に着いた。

 千歳を恋愛対象としてなんて、全く見ていなかったのだが、外見だけで言うと、正直好みな方ではある。

 だが、あの性格を知ってしまった以上、なんかそういう風に見ることはできないんだよな。

 なんかちかげと似てる所あるし、外見だって同じロングストレートでキレイだし・・って俺は何を妄想しているのだろう。

 あぁ、なんか意識すればするほど、頭がおかしくなってくる。

「これじゃあ学校で起こった出来事の二の舞だ」

 と頭をポリポリと掻きながら、一人ずっと部屋でボソッと声にだしていた。

 はぁ~もうなんなんだろう、ほんとよくわからない。

 なぜ俺がマサトの言葉に、こんなに惑わされているのだろう。

 誰かに物事を言われて、これほど深くため息を着いたことなど、生まれてから一度もない。だから余計に悩んでしまう。

「きっと悪いもんでも食べたんだろう」

 解決策が見いだせない俺は、一人部屋の中で実に簡素な決意を決めた。

 実際はそんなんじゃないのはなんとなく察しているのだが、原因がことのほかわからないのだ。

 わからないことが、わからない。なんでわからないのかが、わからない。とにかくわからない。

 デジャヴのように繰り返す俺自身の心に飽きれつつも、今日はどうしようもないと、やはりあきらめをつけた。

 あまりの回りくどさに、自分も正直あきれている。

 だから、寝逃げでリセットした方が良いと、体と心が無意識に判断したのだろう。

 こうして俺は、4度も頭を悩ませた日を、ゆっくり、ゆっくりと時間をかけ、終わらせるのであった。

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