品定め
33.
「じゃあ、9時に恋愛公園でね!」
今日は休日。
ちかげは昨日、俺のせいで怒って帰ってしまったちとせとの仲を取り持つため、プレゼント計画を立てた。
内容はこうだ。
①『ちとせさんの喜ぶ物をプレゼントする。なるべく、形として残るもので!』
②『ちとせさんは、突然のプレゼントに喜ぶ。そこがチャンスよ』
③『渡すと同時に、お詫びついでで、ちとせさんのほっぺにキスをする』
ほうほう、ちかげにしてはしっかりまとまってて、分かりやすいな。
ん? ちょっと待て。
突っ込むところちょっとあるよな? 絶対あるよな?
3番のお詫びついでって、さりげなくやるように見えて、俺にとっては結構大事だぞ。
「いいのいいの☆ それぐらいしないと、ちとせさんと仲良くなれないわよ!」
いや、まぁ俺のためにやってくれるのは嬉しいんだが、いかんせんキスなど自分からしたことなどないぞ?
「まぁ、どうにかなるわよ☆」
このガテン系め、頼む俺の身にもなってくれ。
「じゃあさ、ちかげ」
俺はちかげをちょっと、からかうことにした。
「俺がお前のほっぺに、キスしたら、お前は機嫌直してくれるのか?」
「え?」
ちかげは困惑している。しめしめ上手くいったぞ。
「た、たけるは、私とk・・キスしたいの?」
可愛らしい上目使いで俺を見てくる。
「そ、そのマウストゥーマウスは、まだ早いっていうか、恥ずかしいっていうか・・・」
俺は何も言ってない。
なんかすごい話が進んでるぞ(ちかげの脳内で)
これもある意味暴走か?
とりあえずこのままじゃ話が進まんな。
「ちかげ、それで明日休日だし、明日プレゼント買いに行くんでいいのか?」
ちかげに問いかける。
「や、やだ、たける。私にキスのプレゼントだなんて・・・。どうしよう、私、ちとせさんのためにプレゼント買いに行くのに・・・」
どうやら一人の世界に絶賛浸かっているようだ。本当にこいつは頼りになるのだろうか。
まぁ、後でメールで集合時間送ってやるか。
とまぁ、そんな感じで今は集合場所にいるわけだが、俺からメール送ったのに、あたかも「私が主催よ!」みたいなテンションなのには、もう呆れモードである。
「んでプレゼントは何にするんだ?」
いつもと違う私服姿のちかげに、話しかける。
「え? プレゼント? 何の話だっけ?」
は? こいつは新種の記憶喪失にでも、かかっているのだろうか。昨日約束した内容だぞ?
「それより、どう? どう? 私の私服!」
白いワンピースをヒラヒラとさせるちかげ。
お前なぁ、今はちとせの話しなきゃならんだろう。
「で、どうなの?」
うっ、至近距離で近づくなよ。
こいつも一応美少女なんだからさ(超失礼)
でも、いつもと服違うだけで、こんなに変わるんだな。正直可愛いと思う。
既に、店内に入っていた俺たちは、暑さのため、それぞれ上着を脱いでいた。
よって、こいつがワンピースなのは、なんの違和感もない。絶対ないんだからね!(キャラ崩壊)
ここ恋愛デパートには、いろいろなテナントがある。
内装はジャ○コみたいな感じなので、服、アクセサリー、食品、おもちゃ、なんでも揃えることができる。つまり万能デパートである。
「ねーねー、たけるー。あっちで、濃厚ミルクソフトあるってー☆」
目をキラキラ輝かせながら、ちかげは俺の手を引っ張る。
ていうか、いつの間に俺と手繋いでたんだ? 猛スピードで見えなかったぞ。
「たけるは、何ソフトがいいの? 決めないんなら決めちゃうよー」
えーと、俺はチョコソフトー! ・・・じゃなくて、目的忘れてないかちかげ。
「とりあえず、チョコソフトで(キリッ)」
「了解致しました!(ビシッ)」
まぁ、急いだってしょうがないか。とりあえずソフトクリームでも食べて落ち着くとするか。
それにしても久々だな。ちかげと二人きりで出かけるなんて。
小学生時代に、双方の両親同伴で、訪れて以来かもしれん。
あいつは、いつだって俺と出かける日には、飛びっきりの笑顔で、喜ぶんだよな。
食品売り場で、両親らが買い物済むまで、おもちゃ売り場の階で一緒に積み木遊びしたり、手繋いで、あちこちに置いてあるおもちゃを見て回ったり・・・。
あぁ、懐かしいな。
今も同じような状況だけどな。
昔と違うのは、あいつが少しづつ大人になったことくらいか。
あいつのワンピース姿、昔は何とも思わなかったが、今のあいつはモデルかスポーツでもやってるかのように、スタイルがいい。
足も細すぎず、太すぎず。ワンピースから除くその美脚に、俺はドギマギしてしまう。
「たけるー?」
俺の横から声が聞こえた。
「たけるー? 聞いてるのー?」
え? なんだ?
「チョコソフト届いたよー。ほら」
三言目で我に返った。
「す、すまん。サンキューな」
俺はちかげから、チョコソフトを受け取る。
「はーい。お待たせしましたー☆(ウインク☆)」
うっ。
思わず目線を逸らしてしまうくらい、ちかげが可愛く感じてしまった。変な妄想するからだ。俺のバカ! バカ!
頭をポコポコ殴る俺に対して、不思議そうな顔をするちかげ。
「なんか変なたけるー」
ち、お前のせいだちきしょう。
まぁ、今は恥ずかしくて、口では言わないけどな。
「次どこいくー? 私は、たこ焼き食べたいなぁ!」
また食べ物ですかい。
というか、ちとせの件はどうした? プレゼントを買うのではないのか?
「んじゃあ、金ダコ行くよー! あそこの照り焼きマヨは至高なのよー☆」
再び俺の手を猛スピードで掴んで、引っ張るちかげ。あのー、ちかげさん。俺の話聞いてくださーい。
「ハフハフ。あっつーい! けどうまーい☆」
おいしそうに、照り焼きマヨを食べるちかげ。
よく見ると、たこ焼きを食べるのに邪魔だからなのだろうか、ちかげの髪型はポニーテールに変更されていた。
「たけるー! これおいしいねー!」
たこ焼きを(照り焼きマヨ)を口に含みながら、満面の笑顔で俺にしゃべりかける。
うっ。
なんかさっきの大人っぽさと、今の無邪気さのギャップがあって、ムチャクチャ可愛い。
なんか口にマヨネーズついたまんまだし。
「たけるも1個食べなよ、ほら! あーん」
つまようじに刺したたこ焼きを、俺に差し出す。
バ、バカ。恥ずかしいだろう。
「ほらほら、あーん」
構いもせず、たこ焼きを突き出すちかげ。
ち、今回だけだからな。
「あ、あーん(マヌケ面)」
「はい、あーん☆(無垢な笑顔)」
パクッ。
「あっちゃああああああああ!!!」
でも、ウマー。
これはおいしい! 屋台のやつもうまいが、デパートの店に入ってるたこ焼きも、うまいんだなぁ。
「もう、たけるったら大げさなんだから。まぁ、熱いの分かるけどねw」
すまんすまん、咄嗟に大声だしてしまった。これは失敬。
「フフフ、楽しいね、たける」
首を可愛く傾げながら言うちかげ。
「フッ、そうだな」
そんなちかげに答える俺。
時間を経て、ちかげと一緒に買い物かぁ。
なんか新鮮さを感じるな。子供のころと違ってまた違うし。正直楽しい。
この後、俺とちかげは正午を回るまで、一緒にいろいろなテナントを見て回った。
ちかげは終始楽しそうな顔してるし、一緒にいる俺も楽しい。
あと、ちかげに対していろんな発見もあったしな。
今日はとてもいい日になりそうだ。




