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王と婚約者の夜

 ようやく投稿できます、なんか話が全然進まなくてここでギブアップかと真剣に

思いました、書き上げれてよかった…。

夜の戸張がようやくおり始めた頃、王は言葉通りアルフディアの元へやって来た。


 自分たちで陛下の寵愛を女狐から奪い取ってくれ、などと言っていたマリヤ達も、思いがけず早い王の渡りに色めき立ち、にこやかに出迎えていたが、部屋の主であるアルフディアは、複雑な気持ちで侍女と王のやり取りを眺めていた。


「では、陛下ごゆるりとおくつろぎくださいませ。」


 深々と一礼して去っていくマリヤ達と鷹揚に頷き人払いをすませた王のやり取りが終わるまで、アルフディアは一切口を開かなかった。

 

 今口を開いても、どうしようもないという事が解っていたのと、ぜひ目の前の男に確認しなければならないことがあったので、王が早々に人払いをした事にもむしろ好都合と一切口を開かなかった。



「さて、ディア?ものすごくいろいろ問い詰めてやろうっていう顔になってるけど、まずは

…俺が先だ。」


 にこやかな表情から一遍、厳しい表情で間合いを詰められた。


 慌てることなく、すぐに間合いを測り先手必勝とばかりに拳を振り上げれば難なくかわされ、ぐっと胸倉をつかまれた。


「ご挨拶だな、ディア、仮にも婚約者に対する態度じゃないだろう。」


 口調も一変し、魔力が絡め取ろうとするように、アルフディアにまとわりつく。


「ふざけるなレイ、俺はお前の物にはならない、何度もそういったはずだ。」


 きつい眼差しを向ける王にアルフディアも、厳しい表情でそう切り捨てる。


「聞けた話じゃない、俺はもう何年も前から言っていたはずだ、ディアを俺の妻にすると、解ってて、はぐらかして逃げ回っていたのはディアだけだ、俺はいつも本気で、ディアに結婚を申し込んでた。」


 その為に男同士であろうと唯一正式に男を妻に持つことの許される王の地位まで上り詰めた。


 そう言い切る男を、アルフディアは小さく笑う。


「ふざけた事を言うな、お前ほど魔力を持つ王族だ、元々王となる為に生まれてきたお前が俺の為に王になったなどと白々しいことを言うな。」


 そう言い切って、目の前の男を押しのけようとすれば、今度は腰に手をまわされきつく抱きしめられる、驚いて逃れようとすればますますきつく抱き込まれ、息すら苦しくなってくる。


「離…せ。」


 苦しげに抗議すればほんの少しだけ、その腕の力が弱まるが、どんなにあがいてもアルフディアの力では、王の腕から逃れられない、それを嫌と言うほど知ってはいるがそれでも逃れようと抵抗していれば。


「生まれなど…王族として生まれただけだ、王の甥などと言う立場、本来なら継承権が有るだけの穀潰しだ、たまたま魔力が高かったから、王位への道が開けた、それだけだ、それすらもディアが居なければかなわない道だった。」


 回される腕とは裏腹に、その声は弱弱しく、真摯だった。


 だからなぜそこで私が関係する…。


 ため息交じりに小さくそう言ってやれば、ぬくもりを確かめるように、額に頬に瞼に唇を落とされる。


「俺は幼い頃からそこそこ高い魔力を持ってた、それだけならいい、魔力の高い王族、ただそれだけならその内適当な公爵家か領主の婿にでも出されるだけだった、もしかしたらディアの所のナスターシャとでも結婚して新しい侯爵家でも立てたかもしれない、本来俺の存在意義などその程度の物だった…。」


 小さくため息をこぼす王に対し、突然出てきた長女の名に固まっているアルフディアの額にまた一つ唇を落とす。


「ああ、安心してくれ今まで俺の伴侶の候補にナスターシャの名が出た事は一度もなかったさ、ただ俺がただの王の甥であり続けた時はあったかもしれない未来だったと言うだけの話だ。」

 

「……別に何の心配もしてはいない、ただ可能性としては私が妃として上がるよりは十分ありうる話だと思っただけだ。」


 うっとりとした表情で唇を寄せてくる男から逃げるように、そういいつつ腕を突っぱねるが、王はなおも彼の事を逃がすまいと腕に閉じ込めてくる。


「つれないことを言う…、俺がナスターシャを妹程度にしか思ってないのはディアが一番よく知っているくせに。」


 クスクスと笑う男の言葉にアルフディアはふいと横を向く。

 

 妹程度にしか思っていないなど、そんなこと百も承知だ、まだ自分たちがただの友人同士だったころ、彼を家に連れて行ったのはアルフディア自身なのだから、その時幼い娘を息子たちと共に可愛がっていた男の姿を散々見ている、あれは見間違い様も無く妹に向ける慈しみの目だった。


「それでも、こんな中年男を妃に迎えるよりは同じ家の人間なら娘の方が自然だろう。」


 そういって横を向いたままでいれば、力強い指先が男の方へとアルフディアの顔を向けさせる、そうして当然の様に唇にキスを落とされる、あがこうとすれば、腕を取られ逃げ出せないアルフディアは、男の舌に翻弄される羽目になる。


「…ふっ、う…、レイ…や、めてく、れ。」


 小さな抗議をものともせず、王の舌は大胆にアルフディアの口内を嘗め回す。


 あがいて、あがいて、かなわず崩れ落ち、ようやくその口元をほどかれた時は、息もたえだえで、ただ目の前の男を睨み付ける以外何もできなかった。


 そうして、アルフディアを散々身悶えさせた男は、厳しい表情でアルフディアを抱きかかえたまま、その指を薄い体に這わせていく。


「!レイ、何をする気だ!」

「何を?そんなことわかりきっているはずだ、ディアを抱く。」


 慌てて止めに入るアルフディアを完全に無視し、ジルフォートは這わせた指で帯をかけほどこうとする、必死に止めに入るアルフディアを見ようともせず、衣服をはぎ取ろうとするジルフォートの姿に、アルフディアは本気で戦いた。


「レイ、頼むからせめて婚儀の後に!その後ならこんな体どうしてくれようと構わない、だから今はまだ待ってくれ!」


「嫌だ、俺は今ディアを抱きたい、嫌々俺の妃になって、あきらめて体を投げ出すディアを抱いても意味がない、まだミリアンローズの夫で、五人の子供の父親のアルフディアを抱きたい。」

 

 非道ともいえる宣言に、茫然としていれば無理やり寝室へと連れ込まれる、抵抗しようにも先程から絡め取るようにさらされ続けた彼の魔力に充てられ、魔力酔いで、体の動きが鈍くなってしまっている、それでも嫌だと叫べば寝台の上に放り出され自身より一回り大きい体に伸し掛かられ、アルフディアは青い顔で首を振る。


「抵抗しても無駄だ、もう決めた、今からディアを抱く、そうでなければ意味がない、俺が愛した男は貴方だ、今からそれをあなた自身に解らせる、冗談にでも他の誰かの方が伴侶に相応しいなんて言わないように、全身全霊で貴方を愛しむ。」


 どうやら娘の方が良いだろうといったのが余程気に障ったらしい、突然の行為の理由を知り、そんなことで…、と思わず呟けば、激しい口づけが降り注ぎ、ようやく解放されれば今度は泣きそうな瞳に迎えられた。


「そんな事でじゃない、俺は貴方の横に立つのに相応しい男になる為だけに努力してきた、誰も見向きしなかった俺に目を向けてくれたのはディアだけだったから、従弟たちの誰よりも魔力が高くなる素質があるからと妃たちからは目の敵にされ、従弟たちからも散々嫌がらせをされ、父を亡くしても俺と言う存在の為に宮廷に縛られ続けていることに腹を立て俺に冷たく当たってばかりいる母と、なにより叔父自身が俺を疎んでいた、俺は王位などつける立場ではなかった、それどころか幼い頃から戦場へ行かされ戦死することを望まれていた厄介者だった、宮廷では家臣達にすら俺の事など居ないかのように扱われていた、真剣に俺と接してくれたのはディアだけだった、だから俺は貴方の隣に立てる男になる為だけに王になったんだ、他などいらない。」


子供の様に縋り付いてくるジルフォートにアルフディアは小さく髪をすいてやれば、また頬に唇を落とされる。


「レイお前がどんな人生を送って来たかなど私はわからない、私の知っている男はレイ・ジーンと言う名の騎士だった、息子と大して年の違わない、なのに戦場に死にに来ている、そんなふざけた子供だった、それが許せなくて私はお前を助けた、それがお前の未来を変えたというのか?ならそれでいいじゃないか。」


 お前は今ここに王としている、それはお前の努力の結果だろう、その切っ掛けが私だったというだけだろ?それを恋慕と勘違いしてしまっただけだ。


 優しく語りかけるアルフディアになしかかったままジルフォートは小さく首を振る。


「確かにそうだ、でもディアは勘違いをしている、俺が本気で王位を目指したのはミリアンローズが亡くなって、戦場でディアが死のうとした時だ、怒って引き留める俺にディアはなんて言ったか覚えてるか?」


「…いや、正直あの時の事はほとんど覚えていない、気付いたら天幕の中で傷だらけで横たわってたから。」


 正直にそういえば、頬に手を寄せられ、困ったような表情のジルフォートと目が合う。


「ミリアンローズが居ない人生なんて意味がない、そう言ったんだ、あれほど領民と子供たちを愛してやまないディアにそこまで言わせることに、本気で驚いた、そしてこうも言っていた、伴侶と言う者は半身だと、半身を亡くした自分がここに存在するのはおかしい、そう言って無謀な切込みを繰り返していた、だから俺はとっさにこういったんだ。

俺がアルフディアの半身になる、だから絶対に死ぬな、と、その時の表情、俺は今でも忘れられない、心から安心しきった美しい笑みだった、それこそ一気に恋に落ちるに十分すぎるほどの…、おかしな話だ鎧姿のむさ苦しい髭の男の笑みがこの上なく美しく見えた、誰にも渡すものか、一生自分の隣に置く、そう決意するほどな。」


 その時からだ、俺が王位を目指したのは、ディアを妻に迎えたいがために俺は王になったんだ。


 呆れるかもしれないがそれが本心だと言われ、何も言い返せなくなった。

 そうして、恥ずかしげに目を泳がせれば、また深く口づけられる。


「…抵抗しないの?」


「…そこまでの想いを打ち明けられて、惚れた男を拒めるほど意志は固くない…。」


 恥ずかしげに告白すれば、伸し掛かっていた男が硬直する、直視できずに横を向いていれば震える手がそっと男の方へといざなう、観念して見つめた男はまだ信じられないと言った表情で、茫然としたままアルフディアを見つめている。


「ディア、俺の事を好いてくれていたの?」


「……。」


「俺はディアに嫌われたと思っていた、最後に会ったとき無理やりキスをしたから、そのすぐ後に、ダンフォルトに領主の座を譲って隠居してしまったし、以来王都にも戦場にも一度も顔を出さないから俺を避けているのだと…、本当にどうしようもなく嫌われたのだとばかり…。」

「嫌ってなど居ない、ただあの時はお前はただの騎士だと思ってたんだ、私など伴侶にもなれないし子を産んでやることもできないのにお前の手を取ることなど出来ないと思っただけだ。」


 お前の輝かしい未来にこんな男妾はいらないだろうからと…。


 気まり悪げな表情でそう言って、アルフディアはとうとう顔を真っ赤にして、もじもじと身をよじった、恥ずかしくていたたまれないのだ、出来ればこの目の前の愛しい男の目から隠れたくてしょうがないのに、伸し掛かられたままではそれもままならない、そして一方の伸し掛かったまま硬直し続ける男は今まさにようやく聞けた、片恋の相手からの返事を、ゆっくりと頭に浸透させ理解しようとしていた。


 嫌ってなど居ないと言った、惚れた男と言った、子が産めないからと…、男妾…?


 そんなもので我慢できるか!!


「ディア!愛してる!」


 がばりと抱き着き、顔と言わず手と言わず、全身に唇を落としていく、焦った声すらも可愛い、愛おしい、と祝福の笛の鳴り響く頭で考えながら、口に出しながら全身を唇で愛しんでいく。


「レイ待ってくれ、だから婚儀の後にと!」


「待てるわけがないっ!」


「ふ、やああああ!!」



 あらぬ所に唇を落とされ、羞恥のあまり泣き出すアルフディアを、ジルフォートが優しくなだめる。


 


 ようやく両思いだと伝え合った、王と婚約者の夜はこうして更けて行った。









 R-15だとどの程度までOKなのか真剣に悩んだけど、開き直ってもこのざまです。

 所詮私に色気のある文は無理でした。

 これよりこの二人はところ構わずいちゃいちゃし出します。

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