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“恋心その1”

『海辺』



「石が減らない」

あなたが言った

ふたりで海辺

ひたすら小石を波間に投げて


なるべくあなたの後ろを歩かないようにした

後ろ姿を見ると苦しかったから

あの頃の想いがこみあげてきて


あなたの歩幅が私をなぐさめた

それより広くても狭くても多分私はあなたを愛さなかった


何気ない言葉も私を射した優しいささやきさえ私を泣かした

その存在が胸を焦がした


どうしても

どうしても

どうしても

あなたを愛してる




『記憶を花束』



こうしてこの窓から一点の灯を見つめていると

たくさんのさまざまな想いが

浮き沈みうたかたにめぐってくる


…わたしは これからどうなっていくんだろう

愛しいひとの腕の中で

いつまで 眠り続けていられるだろう


やさしさを縛れない

心と同じように

あふれるばかりの記憶のすべてを 花束にできるなら


あの深い雪景色の中で

いつまでも立ちすくんでいたように

今のわたしは

あなたへの想いを抱くばかりで


ひとりでいてもあのひとを意識せずにはいられないのです




『戯れ』



木もれ陽に透ける赤い髪が涼風に揺れるのを

私は飽きずに眺めていました


いつかあなたの視線が

私の方へ移ってきたことも覚えています

教室の隅で


一緒に歩いたあの坂道

夏祭りやびしょぬれになったバスの中

夕焼けを背にうけてふたり乗りした自転車

なんだかいつも笑っていたみたい

幼くて たやすくて 本当に戯れのように


あなたの顔を見上げると

真っ白い歯がいつもほほえんでいて

それだけで 私は守られていたのだと今はわかります

こうして大人になった今でも

友だちでいてくれるあなたに

心から

「ありがとう」

と言わせてください

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