“道標その3”
『再会』
快楽の海に身を沈め
あなたの腕の中を泳ぐ
誰よりも愛おしいひと
やっと逢えたしあわせの夜
ホワイトクリスマス
今夜は時計を気にしない約束なのに
やっぱり切なくて
窓からの雪あかりは
やがて来る朝をなぐさめる
今度 いつ逢えるの?
今度 いつ抱きしめてくれるの?
また ふたり
長い長い一人の夜を越えて
夢の中でさえ
逢えたら嬉しくて
でもつらすぎる現実に
堪える心が今は欲しい
『桜の下』
きみよ
春が来たらあの色の下
ただ 立ちすくみ
風をうけなよ
きっと なぐさめられる
その孤独
その木の下には
必ずあるはずの白い灰
生きとしいけるもの全ての体液まで吸い上げ
夕焼けのまどろみを
思わせるその花の色は
やがてきみを
安らぎへと導く
両手を広げ
あの日差しにとけて
きみは
小さな葉の一部となる
鎖から放され
憎しみも忘れ去り
全てを葬り 眠りにつく
だからあの色は
ひとを狂わせるのに
なぜ哀しみにきづかない
きみよ
春を苦しがった頃も遠く
その涙は宙を舞う
塵のごとくさ
“せめて一度だけでも
泣き叫ぶことを許されてたら こんな風に心を閉ざさずにいたかもしれない”
あの色の下
あるはずのところへ還る
『ごめんね』
あの約束を
果たせそうにない
あの海まで
戻れそうにない
寒くて
とても寒くて
なのにまだ
あたたかさを待ってる
もう 歩くの疲れたのに
…ごめんね
あなたの言葉
信じられない
あなたの言葉
守れない
こんな私で ごめんね