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“2007別離”

今私の前に、もうすぐ旅立つ父親がいます。私は父親との確執を埋められそうにないのですが、せめて静かに見送りたく、日々過ごしています。

『愛を乞う』



その()は何処へ

何を求めて


いつかあなたは

深い彼方へ


この手を離れてゆく

私が

その手を拒んだように


あなたはとうとう

最期まで与えてくれずに

河を渡る


…許しを乞う

あなたを愛せなかった

見送る道は

流れて流れて


…果たせなかった愛を

いつか会う世に

託しましょう


夢はうつつに

その両手から零れ落ちる

水の雫のように


互いに

相入れあえない運命(さだめ)

互いに

受け入れ認めましょう


それをただひとつの

契りの紐と

あなたは知らなくとも

私は持ち続ける


…果たせなかった心を

いつか交わす世に

こめましょう


…さよなら

最期まで愛を乞うひと



『三途に捧ぐ』



その人は

彼女に見守られている時

とても とても

幸せそうでした


その人は

彼に少し褒められただけでとても とても

嬉しそうでした


どんなに憎み合い

どんなに蔑んでも

二人はとうとう

ここまできました


尊い人生(みち)

永遠(とわ)の別れ

もうすぐ

その手の流れは止まる

冷たく凍る


彼女の温かいまなざしが

どんなに彼を

そして私を

救っていたか


無償の優しさを注ぐ

妻として

母として

彼女はいつも今でも


遠い三途に歩き出す

彼は一秒ごと

どうかその先が

現世(いま)より

穏やかでありますように


そして彼女を

いつまでも見守って

くれますように

どうか

ふたりで歩いたことを

悔いてませんように

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