“星屑その5”
『追憶』
またあんなふうに
笑えたらいいと思う
またあんなふうに
みんなで騒げたら
でもそれは無理
あの頃だからこそ
楽しかったんだ
後先ない日々を
ただきみと過ごした
何にも縛られていなかったから
きみのことだけ考えられたんだ
何も決めていなかったからきみのことだけ見ていられたんだね
…あの頃気付かなかったけれど
『切望』
小さな路地
傷だらけの犬が
おじいさんに連れられて
歩いていきました
一歩出る足も
つらそうなのに
それでも外へ
行きたがるのだそうです
懸命に
足を運ぶその姿は
“勇姿”以外には
呼ぶすべがありません
…私は
あきらめばかり
身につけているんじゃないかな
…私も
もしかして もう少し
遠くまで 行けるかも
…行けるかも
『代わりはいない』
ときどき
本当にときどきだけど
あなたが
私の前から消えたら
いなくなってしまったら
…と考える
人間はしょせん
独りなのだと
かたくなに
信じてきたけれど
もしかしたらそれは
いいきかせていただけかもしれない
誰にも大切なものは
あるはずで
でも私には
あてはまりたくなかった
孤独を知るのは
守るべきものを
失ったあとだから
あなたを大切
あなたが寒さに凍えたら
私は毛布になろう
…あなたは
もっと温かいもの
私に与えてくれたから
この愛しさより
かけがえのないもの
あなたの代わりはいないよ
どこにも代わりはいないよ