“道標その7”
『絶対値』
あなたに逢える日の朝は
目覚めた途端
私の全細胞が
あなたを求める
あなたに逢える時間が
時計の針が動く度近づく
私の全細胞が騒ぎ出す
沈黙さえ五月蝿い
鼓動がざわめく
もうすぐ
もうすぐ
あなたが目の前に
きっと私は
あなたと逢えなくても
それなりに
歩いていけるけど
きっと私は
あなたを失うなら
歩いているだけで
そこに意味を見出だせない
どれくらい
あなたに焦がれて
どれくらい
あなたを絶対値か
私の全細胞が知らせる
私からあなたを
葬ることはできない
この心が
どうか執着じゃないように
もうすぐ
もうすぐ
あなたが私の前に
『冬の人生』
あなたと手をつなぎ
寒い街を歩く
私の手はいつも
あなたの中にいる
その手の感触に
あまりにも慣れた私
でもね
爪の形も
指の長さも
掌の大きさも
きちんと答えることは
できないわ
…心が見えないように
…言葉だけでは伝わらないように
つないでいない方の手は
路頭に迷い
空をさまよう
でもね
その横顔は
その話し方は
その歩き方は
…この肩の擦れ合いは
確かに存在もの
絆を
深めてゆくように
愛情を
紡いでゆくように
寒い歩道さえ
私に気づかせる
冬のような人生
あなたに導かれて
ふたりいつか
この手のぬくもりのような春の人生をゆく