“冬情景その3”
『望郷』
冬の田園の光景は
心の奥 もろい部分を
震わせ 高ぶらせる
朝もやの白は
まぼろしを思わせる
私は幻影の中に
遠い昔を見る
友達との帰り道
帰りたい 帰りたい
一番素直だった頃に
戻りたい 戻りたい
あの頃の笑顔に会いたい
凍てつく霜は今でも
あの音を奏でるだろうか
かの友達は今でも
あの優しさを
持ち合わせているだろうか
届くなら 届くなら
今でも友情は
変わらないと
いつまでも いつまでも
この世の果てまで
変わることはないと
伝えたい 伝えたい
…言葉にしなくても
わかりあえた想い
ひとり遠い土地
向かうべき
人生の途中で
あの頃の私たちに遭った
『秘密』
あの頃自慢だったのは
きみのその顔を
私だけ知ってること
あの頃自慢だったのは
きみとした話が
ふたりだけの
秘密だったこと
…大好きだったんだ
きみのこと
だから友達でもよかった
きみが他の子と
歩いていても嬉しかった
幸せそうな笑顔だけで
満たされた
…胸が痛かったけど
喜びの方がそれを越えてた
私たちの秘密は
永遠に
私たちだけのものだよね
あまりに秘密すぎて
誰も知らなすぎて
もはや自慢じゃないね
…きみはまだ
憶えていてくれてるかな
もちろん
忘れていても責めないよ
…友達だからね
きっとこの先も
…2度と会えなくても
君との秘密は
私の誇りだから