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“冬情景その2”

『半月の祈り』



夜なのに空が高い

星の瞬きが

凍てつく心をよけいに刺す

月は何もかも見透しながら何もかも語らない

……何も映さない


あなたをひたすら想う

どうかあなただけは

寒い思いをしないように


月よ星よ風よ

あの人からだけは

体温をうばわないで

私がそのぶん凍えるから

身体を丸め縮こまるから

心も萎ませ縮こまるから


それでも私は

温かみを知っている

あの晩あなたに抱かれた時冬ゆえに

温かみがすべてに滲みた

半月の夜

愛しいあなたを

抱いて抱いて抱いて


寒くないわ

本当の寒さは心の貧しさ

私には

あなたを恋する想いがある

愛しているわ

あなたの空に

明日も太陽がいるのを

どこまでも信じる


今夜の月のやさしさに

私の中の氷が溶ける

…ひとり夢の中で

抱いて抱いて抱かれて




『ブランコ』



誰もいない公園

ブランコに乗った


揺れる 揺れる

このままどこまでも

遠くへ


あなたへの

想いだけでも

この空へ飛ばそう


揺れて 揺れて

このまま飛び降りて

運よく死ねたら

あなたは


私を笑うかしら

ブランコから

鳥になろうとした私を


子供っぽいみじめな私を




『肌の毛布』


ベッドの中

先に眠ったあなた

私はそっとその指を

私の頬に重ねる


…あたたかい

重ねた毛布より

あなたのぬくもりの方が


…生きているのね

あなたも私も

重ねた手の中には

情熱と同じ深紅が流れる


そして朝になったら

もうひとり

家族が増えると伝えよう

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