“恋心その2”
『前夜』
あなたに逢える前夜は
ただ ひたすら
綺麗になることだけ祈る
明日 あなたが
「そんなにいい女だったっけ」
と思うように
いつまでも
さなぎでいたくないわ
『ひどい恋』
もう二度と
こんな恋はできない
あなたがそこにいるだけで鼓動が痛くて
何度も瞬きしてしまう
あなたを
必要とさえできない
そばにいすぎたら
窒息してしまう
ひどい恋
どうしてこんなに
波にさらわれるの?
感情(流れ)に抗えないの?
その視線が一瞬でも
わたしにそそがれたら
私は自分の醜さに
ぶつけられない赦しをこう
もう二度と
こんな恋をしたくないなら
この茨から放たれるすべを探さなければならないね
いっそ
私の前から消えてしまって
『執着』
ただ見つめていられるだけでよかった
よかったはずだった
あの人の横顔
吊り革を握る長い指
まっすぐな目線
名前など知らなくてもよかった
よかったはずだった
なのに
となりにあの娘がきてしまった
きてしまったから
どうして
どうして
そこにいるのが私じゃないの?
ささやかなキレイな恋が
鉛色に滲んでいく
とめられない
彼女がじゃま
あなたが好きな人を私が憎むなんて
「見つめるだけでよかった」
なんて嘘
愛してほしい
私を愛してほしい
気がつくのが
遅すぎた
ただの 臆病者だっただけ
『河』
向こう岸待っていてくれるのが
絶対にあなたなら
どんな深い河でも
渡ってしまいそうよ
流されるだけと
わかっていても