2/3
羨ましい
どうして、あの子はあんなに身勝手に振る舞えるんだろう。
羨ましい。妬ましい。
♬
どうして、私はあんな風に出来ないんだろう。
みんなに合わせられるあなたが、羨ましい。
♫
「おはよ〜」
『普通』の灰音が言った。
私は、言わない。『普通じゃない』から。
「おはよう、灰音ちゃん、汐音ちゃん」
私はその声を無視して、自席に座る。
「ちょっと汐音!挨拶くらいしたらどうなの?!」
灰音が私に向かって大きな声を出す。
「お前は母さんかなんかかよ!るっせえ、私は私がやりたいようにするんだよ!」
「どうしたらそんな考えになるのよ!挨拶くらいはしなさい、せっかく挨拶してくれた咲良ちゃんに失礼よ!」
咲良__華園さんが、灰音を必死になだめている様子が見えた。
大変そうだな、と思ったから、少しだけ手伝いをしてあげる。
「灰音も華園さんも、そろそろ着席したほうがいいんじゃねーの?もう27分だけど?」
その言葉で我に帰った灰音は、慌てて自分の席へと向かう。
その様子を見て、大丈夫そうだと判断した私は、机からノートを、鞄から筆記用具を取り出す。
「どうして朝が来るんだろう。朝なんて来なくていいのに」
その一文が追加されたノートを、丁寧に机にしまった。




