プロローグ 魂蝕の傀儡窟
#初投稿作 #ダークファンタジー #裏切り復讐
冷たく湿った石壁に、松明の揺らめく光が不気味な影を刻む。ここは「魂蝕の傀儡窟」――そのダンジョンの名を聞くだけで、屈強な熟練冒険者でさえ一瞬間沈黙をしてしまう。
ダンジョンの奥から響く不協和の唸り声、床石に隠された毒針、突如襲いくる人知を超えた存在。すべてが侵入者を試し、嘲笑う。ほんの一瞬の油断が命を奪い、奥に進めば進むほど後戻りはできなくなる。だが、このダンジョンが放つ暗い魅力は、まるで呪いのように数多の冒険者たちを引き寄せつづける。
「魂蝕の傀儡窟」の奥深くには、禁断の力が眠ると囁かれる。不死の兵を従え、生と死を操る秘術。かつて名もなき剣士がその力を手にし、一夜で軍勢を率いたという。だが、代償は重い。このダンジョンの奥深くへ一歩進むということは、一歩怪物に近づくということだからだ。冷酷な弱肉強食の理に染まり、外の世界で行われている人間的な営みからは切り離されていく。
それでも冒険者たちは富、力、あるいは栄光を求め、己の命を賭けて勝ち目の薄い賭けに挑みつづける。なぜなら「魂蝕の傀儡窟」は、試練を越えた者にのみ、神々の領域に触れる力を与えることを約束するからだ。
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