【閑話休題】 ~直人と圭 教室にて~
「なあ、猫の名前なんだけどさ」
「まだ言ってんの? 圭には無理だって、ネーミングセンスなさ男だもん」
「お前のそれも大概じゃね? じゃあ、勝負しようぜ」
「勝敗が曖昧過ぎでしょ」
「俺からな」
「聞いてないし」
「エンペラーキャット」
「うわぁ――」
「引いてんじゃねえ! ほら、次直人」
「……漆黒の――」
「たんま!」
「なに?」
「いやいや、え、ちょまっ、お前、マジか」
「こっちがマジか、なんですけど。まだ言い終わってないのに」
「分かる。言わなくても分かる。そして、言わない方がいい」
「――は? 意味わかんない。今のが気に入らないなら……顕現されし――」
「だから言わなくていいって! ごめんって! 俺が悪かった!」
「謝られる意味が分かんないんだけど」
「分からなくていい。お前はそのまま、そのままでいいんだ。もう、名前とか、そういうのはよそう」
「圭がいいならいいけどさ」
「直人ってさ、漫画とか好きだろ?」
「超好き。なんで分かったの? 暇な時はほとんど漫画読んでるか音楽聞いてるかだね。ちなみにおすすめのアーティストはsuperbeaver」
「ふーん、知らないなー。どういう系? J-POP?」
「ロックバンドで、結構人生の芯をついたような歌詞が多くてさ。歌も上手いしメロディも切なかったりノれたりするんだよね」
「へー、YouTubeで見てみっかな。それにしても、人生の芯、って。まだ高校生のくせに。熱い番茶とか好きそうだな」
「熱いお茶と羊羹の組み合わせは神だから。ゴッドだから」
「ビッグマックとコーラの方が神だろ?」
「いやいやいや」
「いやいやいや」
「油と砂糖の塊じゃん」
「言ったな! お前は今、世界に溢れかえるほど存在しているマック愛好家の方たちを敵にしたぞ!」
「ならば圭は、世のワビサビを楽しむ茶室の間の方々を敵にした」
「茶の間に出された羊羹を、チーズに塗れたハンバーグに変えてやる!」
「なにおう! こっちはバンズの間に羊羹を挟んでくれる!」
「くそう! それはただのあんぱんじゃねぇか!」
「こっちだって、チーズに塗れたハンバーグは、ただのチーズハンバーグだ!」
「びっくり、だな」
「ドンキー、だね」




