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【閑話休題】 ~直人と恵と黒助~ 白崎家にて

「ふーん、で、その男の子がこの子を病院に連れて行ってくれたんだ」

「ああ。ほとんど喋ったことない奴だったけどね。本当、助かったよ」

「お姉ちゃんとしては、大事な弟が危険なことしたのは見過ごせないけどね」

「もう十分過ぎるほど、母さんに叱られたって。もういいだろ」

「まあいいけどさ。あ、ひっくり返った。すごく人懐っこいね、この子」

「最初は怯えてたんだけどな。自分のことを助けてくれたって、理解してるんじゃない?」

「私の匂いは直人と似てるだろうしね。安心してんのかな。えーと、この子の名前何?」

「まだ決まってない」



「ふーん、直人ネーミングセンスないもんね」

「そんなことないって。じゃあ、格好良いのつけてやろうじゃんか。えーと、うーん……煉獄の浄化獣クロム」

「……ん? クロムってこと?」

「違う違う。煉獄の浄化獣クロム」

「あ、そこ一括りなんだ」

「当たり前だろ」

「百却下だね」

「なんで!?」

「本人に聞いてみる? ねえ、煉獄の浄化獣クロム? おーい」

「反応しろ、煉獄の浄化獣クロム!」

「……反応するどころか、すごい睨まれてない?」

「な、なんでだ。すごく格好良いのに」

「お姉ちゃん、直人の将来が心配だわ。うーん、そうだなー、無難なところで《黒助》なんてどう?」

「にゃあ!」

「お? 気に入った?」

「そんな名前、格好良くない……」



「名前は格好良さが全てじゃないでしょ。ねえ、黒助」

「にゃにゃにゃ!」

「おおー。ほらほら、すっごい上機嫌。床でころころ転がりながら返事してるよ。直人も呼んでみ」

「……く、黒助」

「にゃあおー!」

「くそ、めちゃくちゃ反応してくれる……」

「じゃあ、決定! 今日から君は黒助だ!」

「にゃんにゃんにゃー!」

「あはは、立ち上がって飛び跳ねてる。よっぽど気にいったんだね」

「……煉獄の――」

「直人、しつこい」

「にゃ!」

「――くぅ」



「よし、名前決定祝いにパーティしよう。ママに言ってくる」

「おいおい、そんなことで騒がなくてもいいだろ」

「何言ってんの。名前だよ、名前。一生、自分のことを表現するためについてくるもんだ。それが決まって、祝わない方がどうかしてるって。あんたは覚えてないかもしれないけど、直人の名前が決まった時だって、白崎家は大はしゃぎで、夜通し騒いだもんよ」

「……そう、なのか? 確かに、そう言われてみれば、名前って、大事、なのかも」

「にゃにゃ!」

「……うん。黒助、祝おう。お前が生きて、名前が出来て、それを盛大に祝おう」

「うんうん。ママー、名前決まった! 黒助! パーティの準備しなきゃ!」

「――ん? うわ、親父からのLINEだ」

「なに?」

「『黒助命名おめでとう! 会社早上がりして今すぐ帰宅します!』だってさ」

「あはは。早すぎ。ママ速攻LINEしたな。興奮し過ぎだっての」

「にゃあ?」

「首を傾げるな! 可愛いな、こいつめ!」

「姉ちゃん、やり過ぎだって。でもまあ、確かに可愛いな」

「にゃにゃにゃ――!」

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