06 初めての魔法授業 (後)
……で、ただいま我らSクラスの面々はクリフ広場なる場所にいる。
何でもここで魔法の実習をするそうだ。
俺的には闘技場的な場所ですると思ってたから、少しテーションが下がっちゃって、はぁ、、、
しかも些細な切っ掛けで生徒同士がケンカを始めて、先生はそれを収拾し、五名を指導室へ連行、その間残された生徒には『待機』という名の自由時間が与えられた。
「はぁ、面白くない」
「溜息を吐くと幸せが逃げるって知らないの?」
声を辿って後ろを向くと、なんという美少女がいるんでしょうか!
前言撤回。面白くないことなんてない、やっぱり面白いです神様!
「いや、初めて聞いたよ」
「ふ~ん、私はアリス・フォン・ファネル」
「ファネル? 確か」
俺は視線を泳がしてあの子を探すが、「そうよ、あの子の双子の姉なの」と答えを丁寧にも出してくれた。
「へぇ~ 似てるね」
「まぁ双子だからね、あの子はオッドアイだけど」
「あれ結構印象的だった」
「そうね。私もそう思うわ、所で貴方本当に人間?」
いきなり人外発言ですか?
結構ストレートに聞いてくるな。
「一応人間なんだけど、何に見える?」
「まぁ人間ね、でも人間が水晶を壊せるなんて思えないんだけど」
「俺もそう思いたくないんだけど、現実って厳しいんだわ」
アリスは、そう。と呟いて丸で覚悟でも決めた顔つきで俺を見る。
「私と勝負しましょう」
「……はぁ?」
「いやだから、私と勝負しましょう。って言ったの」
「でも先生は待機っつてたじゃん」
「バレなきゃいいの」
「よくないって」
「ファイヤー♪」
ボウッ! と火の玉が俺に急接近!
それを俺は神速を用いてよける。
神様、このキャラ設定はないだろ。
双子で性格が正反対ってのは納得できるけど、この子らにそれを適応して欲しくなかった……かも。
「危ないだろ!」
「避けれたんだから文句言わない♪」
「戦闘狂か」ボソッ。
「何か言った?」
「何でもねぇーよ」
おい面白そうな事してるぞ!
いいぞ、やれやれ!
などのヤジが飛び交う、ってか妹止めろよ。
妹はオドオドとどうすればいいか迷ってた。
「さぁ、行くわよ!」
と授業用の練習杖を掲げるアリス。
あ~ イメージ、イメージ。
俺はやればできる子なんだ。うん。
「ファイヤーボール!」
とアリスが唱えると、サッカーボールくらいの火の玉が飛んできた。
「我、拒む!」
俺がそういうと、ファイヤーボールはまるで壁にぶつかったかの様に止まり、消えた。
「「「……」」」
静寂が場に流れ、
「「「うぉぉぉぉぉぉぉ!」」」
と歓喜?に変わる。
「な、何したのよ!」
とアリスは興味津々に目をキラキラさせて問い詰めて来やがった。
「攻撃ヲ防イダダケデスヨ」
「ふざけないで、よっ!」
と腹にケリを入れるアリス、痛いよ。
「アリスの攻撃を拒みました。以上です」
「もっと簡単に分かりやすく説明!」
「空間に干渉して攻撃を防ぎました。サー!」
「…どうしたの?」
「ノリ」
「そう、で空間に干渉……へぇ? えぇぇぇぇぇ!」
「神級魔法」
誰かがそう言った。
―予告―
第7話 騎士見習い (前)
隆平に新しい友達ができた。
双子の彼女たちは頼もしく、彼は面白い男。
そして金が絡んで―――