表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
48/53

48 帝国の使者

翌日、コウヘイが起きてみれば場内は騒がしかった。

何か"嫌な事が起こった"といよりかは、思いもしなかった客が来た感じだ。


ドアを開けて通りすがったメイドに聞いた話では、帝国から使者が来たとの事で、その対応に追われていた。


コウヘイは取りあえずマリアかシャーリーと話し為に、場内を歩いていると。

どう見ても、偉い人ですよ~ という格好をした女性を発見した。


「丁度いいや、お前。謁見の間まで案内を頼む」


と、開口一番の台詞がそれだった。

しかし、生憎とコウヘイは場内の造りに詳しくはなく、結局


「すいません。生憎と城の造りは分からなくて」

「なんだ。お前も客の類か?」

「はぁ、まあそんな所です」

「そうか。だが、客にしては大層な実力者だな」


(この人、バトルマニアの臭いがする!)


「どうだ。私と一手死合わないか?」


(言葉が物騒だ~)


「ジェリー皇女殿下! 探しましたよ。勝手に城内で迷子にならないでください」

「何を言うカイト、お前らが勝手に迷子になったのだろう」

「全く。早く来てください、国王様を待たせてどうするんですか、我々が訪ねてきたというのに」


ため息交じりに騎士の格好をしたカイトという男はジェリーを連れて行った。

ジェリーは去り際に、「いずれ戦場で」と、恐ろしく不吉な事を言い残して。


「笑えねぇーな」




―謁見の間―


やっと帝国のじゃじゃ馬姫の到着か、相変わらず自由奔放な性格をしている。


「それで何用かな?」

「言わなくたって分かってんでしょ、通らせなさいよ。珍しくフェルトもやる気みたいだしさ」


全く、簡単に首を縦に振れんという事が分からんのか。

ゼノンやギルバート辺りに何も言われなかったのか?

あの二人なら礼儀作法の注意くらいしてもいいものだが、時期が時期だけにその暇も無かったか。


「残念ながらすぐには返答しかねるな」

「言い訳は結構、王なんだkら独断しなさいな」

「部屋を用意しよう、今日は休まれよ。長旅で疲れたであろう?」

「チッ、ちゃんと考えとけよ」


ようやく引き下がったか。


「父上」

「マリア、あまり殺気立つな」

「すいません」


全く、この性格さえ直れば一皮剥けるのだが、まぁ今後に期待するか。

私も早く隠居したいな、胃が痛い。


しかし、本当に困った。

断れば帝国と国境で一戦交えるかもしれんし、許可すれば民が許すはずもない。

どうすればいいのか、戦ともなれば……実に三十五年ぶりか、私も年老いた物だ。

この年では最前線には行けんな。


「はぁ~」



―客室―


「殿下、あまり無礼な事は控えるようにとフェルト殿下に」

「うるさい。私はこういうのには向いてないんだよ! 兄上か姉様、ルーベンに来させれば良かったってのに…なんでアタシなんだよ!」

「そう言われましても、フェルト殿下がお決めになった事ですから」

「そもそも、あんな甘ちゃんに王が務まるのか?」


どうにも返答しかねる質問にカイトは黙り込む。


「まぁいい。明日には帰れそうだしな」

「王が許可すると?」

「いや、戦争だよ」


と、ジェリーは嬉々とした笑みを浮かべる。



―ユーウェル―


困った。

本当に困った。

何故戦争が起こったのだ。


私は何もしていないのに、いやいや、それ以前に人が争い死ぬなど、ミレ神が嘆かれる。

法王として何かできる事はないのか?


言葉を発した所で帝国には届かぬだろうし、公国も翁を亡くしたばかりで沈黙を貫くだろうし、打つ手なしか?

それともコウヘイ殿が何か事を起こすだろうか?

あの方ならば戦争の一つや二つ、どうとでも出来そうだが……政務官は外交で休む暇がない、枢機卿らも結界の構築に尽力しておられるし、私には何ができるのだ?


一体、何ができるという。



―コウヘイ―


あー 戦争の臭いがする。

こりゃー 近くでっかいのが起こるな、どうするか。

なるべく人は殺したくないが、最善の手は一つだけだしな~


どうしようか、本当に。

―次回予告―

     第49話 加速する情勢


帝国、王国、教国の三国を取り巻く緊迫した情勢は一気に加速する。

進む先にあるのは、戦争か? 和平か? それとも―――

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ