45 信仰を集める愚者の最期 （終）
「はァァァ！」
まずコウヘイは邪神の右腕を胴体とお別れさせる。
だが、邪神も伊達に『神』を名乗ってはいない。
『神』と呼ぶにふさわしい反撃はしてきた。
残った左腕でコウヘイの腹を突き破る。
だが、コウヘイは「ふっ」と悪戯が成功した子供の様な笑みを浮かべた。
「幻影カ！？」
「ピンポ～ン、触れた者の神経に侵入してあたかも実物の様に見せる、特殊機能付きのな」
コウヘイは邪心の背後から種明かしをしながら、邪心の両足を切断する。
「グゥゥゥ」
悲痛な声を上げる邪神、その背中から翼を出して空へ逃げるが、コウヘイは階段でも登るかのように空を歩く。
「逃げられないって、だって俺を怒らせたんだからなァァ！」
途中でコウヘイは空を蹴って邪神の眼の前まで跳躍して、神殺しの概念を宿す聖剣を振りかざして残った左腕を斬り落とし、勢いそのままに両翼を根元から抉り、翼をもぎ取る。
余りの痛みに邪神は眼から涙を零した。
これって凄い事じゃね？ と内心コウヘイは思っていたりする。
実際とても凄い事だが。
「さてと、できれば君のボスがどこに居るか教えてくれると…とても助かるんだけど」
「ダ、誰ガ…貴様風情ニ教エルモノカ……ッ！」
「その貴様風情にやられた奴の利く口じゃねぇーだろうが」
と、言い終えると剣を邪神の頭部に突き刺して無へと帰す。
「この剣なかなか使えるな、（これってあの神様すらも）」
『それは無理ですよ～』
人の心を覘かないでください、プライバシーの侵害です。
『神様に人の方は通用しません。エッヘン！』
せめて一般常識は持っててください。
『善処します♪』
ところで、なかなか辿り着けないんですけど。
『そりゃー ラスボスですからね～ 簡単に辿り着けたらツマンナイでしょ。私が』
そー ですよね（怒）
『まぁ、まぁ。そんなに怒んないでくださいよ。実際楽しいでしょ？』
楽しいですけど、痛いんですよね。いろんな意味で。
『痛みをともわないで何が英雄か！』
……どうしたんですか？
『変な電波が、まぁいいや』
っていうか、ラスボス倒したら、どうなるんでしょうか？
『どうする？ 元の世界に帰るもよし、この世界に留まるのも良し、違う世界へ行くも良し、まぁ考えといて」
分かりました。
『アディオ～ス』
「考えといて。か、どうするかな～」
そんな風に思考していると、不意に法王の姿が視界に入った。
「そんな事考える前に、現状の処理だな。さすがに法王が死んだら大騒ぎになるし、つうか…後任俺が決めれるんじゃね?」
―次回予告―
第46話 新しい法王と宣戦布告
コウヘイによって命を失った法王の後任は、枢機卿らにとっては余りにも許しがたい選択だったが―――
