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42 信仰を集める愚者の最期 (2)

15日ぶりの更新、、、、時間が、時間が無かったんです(泣)

―教会内・エントランスホール―



そこは教会というよりかは、有らん限りの芸術を納めた美術館の様な空間だった。

光を浴びたステンドグラスは神秘的で、名も分からぬ人が書いた絵画は幻想的で、天井に掘られた彫刻は芸術的だった。

おまけに床もそれは美しい絵が描かれていた。

きっとこれが地球にあったら間違いなく『世界遺産』に認定されているだろうなぁ~ とかコウヘイは一人い思っていた。


「なぁ、思ったんだけど…こいつら弱くないか?」

「そうだろうな、ここにいる衛兵らは実戦なんて今回が初めてだろうし、何よりお飾り部隊みたいな集まりだしな」

「酷い言い様だな」

「事実だしな」

「もう…二人とも、少しは自嘲してください、相手が可哀そうです」


シャーリーは物言わぬ骸となった(死んではないよ)を見ながらコウヘイとマリアに声を掛ける。


「そんなこと言うなよ、第一事実だから仕方ないだろう」

「はぁ~ まぁそうなんですけ―――」

「シャーリー!!」


突然マリアがシャーリーへと突進して、シャーリーを押し倒し、コウヘイの脳内に「あぁ、ついにココまで着てしまったのかマリアよ」と、眼前の事実を受け入れようとしていたが、刹那にその考えを破棄してマリアとシャーリーの前に立つ。


「絶対守護領域 展開!」


言葉と同時に紫が空間に侵食し、コウヘイら三人と世界とを一時的に隔離・遮断した。

展開終了と同時に何かが飛来したが絶対守護領域の前に無意味と化し、ただの灰となり果てる。


「武器は一級品なんだろうけど……使う奴がド三流じゃーな」

「だが、私にとっては最悪の相性の様だ」


マリアに不図視線を落してみると、顔色が優れないのがよく分かった。


「まさか、聖人殺しの」

「聖人殺しって、あのクソデブが使った杭みたいなモンか?」

「え、えぇ多分コウヘイさんが思っている物と同じ効果だと」

「マリアは聖人だから、ソレが近くにあるだけでも影響を受けるのか?」

「はい。体調が著しく害われるようで、喋るのも辛くなるんです」


シャーリーはマリアの背をさすりながら懇切丁寧にコウヘイへと説明する。


「んじゃ解決方法は単純経過だな、あのクソ坊主どもが持ってるモンを一つ残らず壊せばいいわけだ」


ニカッ、と笑みを浮かべる。


「絶対守護領域 解除、続いての演目は…絶望の終焉フィナーレでございます!」


『影鎖ノ戒メ(えいさのいましめ)!』


コウヘイの影から黒い"何か"が聖人殺しの聖具を手に携える者共へと伸びて拘束する。


「な、なんだコレは!」

「う、動けないぞ!?」

「化け物め……ッ!」

「隊長! 聖具が、聖具が溶けています!」


黒い"何か"に触れた聖具はチョコレートの様に溶け始めていた。


「そりゃー 地獄の最下層にある魂すらも溶かす最期の泉を概念に持ったコイツに溶かせないモンはないからな、人間・・何かが作った聖具何て一発さ、なんせ神が作った魂すら溶かすんだからな。まぁ俺は優しいから、人体には何の影響もない様にちょこっと改良してあるけど、感謝しろよ?」


「それはそれは、大した武器ですな」


上階へと続く階段から一際高位そうな服に身と包んだ歳食った男が姿を見せた。


「ほ、法王様!!」

「へぇ~ アンタが法王か、思ったよりスマートな体型してんな」

「体は資本ですからな」

「んで、獲ったモンを返してもらおうか?」

「はて、何のことやら」

「痛い目見ないとお前も分かんない。ってか」


『図に乗るなよ若造』


法王の言葉には見えない重圧が乗り、辺りに凄まじいプレッシャーが掛る。

だが、色々と規格外なコウヘイには何ら意味を成さない。


「で、言いたい事はそれだけか?」


法王は法衣を脱ぎ捨てて、身軽な格好になると、腰に携えていた剣を手にした。

その剣はずいぶんと錆ついた貧相な剣で、一度でも剣を交えれば折れてしまいそうに見えるが、コウヘイにはそうは見えなかった。神の籠を直接得ているコウヘイには。


「また、大層なモノを持ってんだな。神を信仰している癖によぉ、神g---」

「はぁっ!」


法王が剣を一振りすると、コウヘイの右腕が吹き飛んだ」


「グッ!」


「この剣は人には無害だ。だが、神にとっては有害も有害…唯一その身を破滅へと導く事ができるのだからな、この"神殺しの剣"はな!」

―予告―

    第43話 信仰を集める愚者の最期(3)


神殺しの剣の前にコウヘイは―――

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