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32 帝国の姫君

「え、えーと」


姫さんは口籠る。

よほど複雑な事情なのか、それとも自身の我がままでここに来た事を恥ずかしくて言えないのか、俺的には後者だと思う。

なんかそんなキャラの予感がするから。


「ふむ、別に話さなくてもいいが……貴女は一応城へ招いた上で帝国側に連絡を入れるとしようか」


マリアは今後の方針を語り出したが、マリアの言葉を聞いて「ちょ、ちょっと待ってください!」と姫さんが反発した。


「どうした? 何か不都合でもあるのか?」


俺は挑発するかのような口調で問う、それに反応して姫さんは苦虫を噛み潰したかの様な表情を浮かべる。


「べ、別にそんな事…ありません」

「ん~ はっきりしないな~」


俺はこりずに続ける。

あれ、これって見た感じだけだと犯罪じゃね?


「詳しく話してくれないと分からないわ」

「言いにくい事なの?」


この姉妹は正反対のように見えて、実は根っこは一緒なんだよな~

ホント、アリスはツンデレの体現者だよ。

それに比べて、シャーリーは素直じゃないな~

話しかけたいのに、話しかけれないってか?

モジモジしちゃってさ。


「じ、実は」


おっ、やっと話すのか?

でも、なんで涙目。


「追われてるんです」


はっ?


全員そんな顔だった。

もちろん俺も例外なく、っていうか姫でしょ?

なんで追われるの? 皇位継承の問題か?


「でも、フェルト……あなたは第三皇位継承者でしょ? 追われる理由はないんじゃ」


お、やっと口を開いたなシャーリー。


「そうよ。でも、父は…いえ、皇帝陛下は私に皇位を譲ると、家族に」

「!  それはおかしいじゃない、現皇帝は実力主義者のはずよ。なんの力もない貴女に皇位を譲るなんて」


「そうだったんだよな~」


そんな気の抜けた声を発しながら、帝国の聖人は立ちあがった。


「どういう事だ?」


今度はマリアか、おいおい、そんなに睨んでやるなよ。


「テドラ公国のジェイス翁が亡くなったのはご存知ですよね?」


一応敬語なんだな、まぁ腐っても騎士だからかな?


「それは知っている。聖人最強と呼ばれた御方だったからな」

「その直後に姫殿下に"兆候"が見られたんです」

「! 覚醒は?」

「それはまだですが、近いうちに覚醒するでしょう。それを皇帝陛下がお知りになり、第一位皇位継承権を姫殿下に御与えになったのです」


骨肉の争いですね。解りました。


「それで、兄上達が…私を」


大粒の涙を零しながら、言葉を紡いでいる。

なんだかものすごく守ってあげたくなる画だな。

マリアなんか、もうノックアウト寸前だぞ!


「それで近衛騎士団を引き連れて逃げてた。と?」

「えぇ、シャーリー殿下」

「で、どうすんの? 俺には政治の事は良く解らん、その道の専門家はお前たちだし、決めろよ?」

「……私は保護がいいかと」

「ダメだ」


マリアがシャーリーの言葉を斬った!?


「御姉様……ッ!」

「それでは下手な争いが起きかねん、仮にも一国の姫なんだ。扱いには最大の配慮があらねばならん、下手に帝国側あっちを刺激しても碌な事にならんのだからな、民に被害が及ぶのは何が何でも避けたい」


さすが次期女王陛下!

尊敬できます! 一生ついて行ってもいいかもしれません。


「でも、シャーリーがどうしてもと言うのならば、仕方ない」


あー 結局そうなるのね。

あー はい。解ってましたよ、解ってましたとも。

貴女が生粋のシスコンで救いようのないシスコンだって事ぐらい承知してましたとも。


「しかし、この大所帯では目立ってしまうのでは?」


騎士がんばれ、今空気になり掛けてたぞ!


「そうですね、では貴方以外は近くの街でしばらく待機というのはどうでしょうか?」

「それなら、まぁ」


帝国の聖人は騎士達に今の話を説明しに歩いて行った。


「では、行きましょうか。フェルトちゃん」

「…そうね、シャーリーちゃん」


あれ、この二人…仲悪かったんじゃ?

なんで手つないでんの、まさか!?


「シャーリーが、シャーリーが、何であんなのと手を……ブツブツ」


「ヤバイ、やっぱ選択し間違えたかも」

―予告―

   第33話 教国の宣教師


ある村に立ち寄った際に、ミレ教の教会に立ち寄ったのだが―――

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