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30 出会うべくして出会う人

合宿という名の遊戯を終えた俺らは街道を進んでいた、

途中道端に「この先、精霊の湖あり」と書かれた看板を見つけたので、俺は興味本位に「見たいから立ち寄ろう」と提案し、水の補給も兼ねて立ち寄ることが決定した。


「精霊の湖って何か大げさな名前だな」

「そうですね、でもちゃんと言い伝えとかもあるんですよ?」

「へぇ~ ユリアは物知りだな」

「本が好きな物で」

「いい事いい事、どこかの誰かさんにも見習ってほしいもんだな~」

「あら、そのどっかの誰かさんって誰の事かしら?」

「さぁ~ それよりかアレが目的地?」


前方にはめちゃくちゃ大きい湖、最早海でも良いじゃないかというぐらいデカイ。


「先客がいるっぽいな」


湖の畔に三台の馬車が止まっており、騎士らしき男達が十人ほど周囲を警戒していた。

なんといか、良い予感がしない。トラブル臭がプンプンにおう。


「なぁ、ワイは引き返す事を進めるで」

「わ、私も。です」


エセ関西弁とユリアは引き返す事を進言するが、


「面白そうじゃないの、行くわよ!」

「ふむ、どこの騎士か確認する必要があるだろう」

「そうですね、ここは我が国の領土ですし」


と、アリスは興味本位で、マリアとシャーリーは王族故の事情でこのまま進む事を押す。


そして五人の視線は俺に注がれた。

多数決じゃあ決まらないんだよな~ 六人だから。

ここで俺が引き返す方に入っても、半々だし、しかも跡が怖そうだ。

だけどユリアを見捨てるわけには……


「んじゃあ、ユリアとシャーリーは馬車内で安全が確認されるまで待機って事で」


俺は折れました。だって怖いんだもん、でも安全策は講じたからプラマイ0だよね?


ってなわけで、やってきましたトラブル!


「待て! 貴様ら何者だ?」


騎士が一人馬車の進路にふさがり、質問してきた。

そして俺は丁寧に質問に答えてやる。


「旅人ですが、何か?」

「全員降りろ」

「無理です」

「何だと!」


いや、つうか一国の王女様二人のってるですけど、それ知ったらこの人……可哀そうだな。


「貴方はシャール王国の騎士ですか?」


そこでシャーリーが言葉を掛けた。

なんで俺の背に隠れる?


「……いいから降りろ」


怪しい、怪しすぎるぞ。

ほら、マリアなんか剣に手伸ばしてるし、アリスは杖を握ってるし、一触即発じゃん。


「いい加減にお―――」


ドーンッ!


マリアの蹴りが決まった~!

騎士は湖の水面を一回、二回、三回とはねて沈んでいった~!


慌てて他の騎士達が助けに行ってるけど、死んでないよね?


「まったく、シャーリーの質問を無視するとはいい度胸じゃないか」


そこ? そこに怒ったの?

もはやシスコンを極めちゃった人だね、マリア…恐ろしい子!


「おいおい、まさかここで王女殿下に会おうとは」


前方にキザ男発見!

何か見てるだけムカつく! だってイケメンだもん!


「おや、貴殿は帝国の……なるほど姫殿下が御忍びで他国に旅行ですか?」

「まぁそんなトコですな」


火花が散ってるね、熱いね~ 御二人さん!


「姫殿下の護衛というだけで、帝国の聖人が出る必要があるのですか?」


シャーリーが荷馬車から降りてキザ男に声を掛ける。


「これは、これは、シャーリー王女殿下もおられましたか」

「挨拶は結構です。私の質問に答えなさい、オーディル侯」


シャーリーの威厳とまでは行かないが、王族としての雰囲気を感じたのか、オーディル(キザ男)は軽い感じの態度を改め、騎士として申し分ない雰囲気を纏った。


「私は現在第二姫殿下の近衛隊隊長の任に就かせて頂いておりますゆえ、たとえ城下町に行く時にでも同伴致さなければなりません」

「なるほど、その旨は解りましたが、他国に御忍びで行くとはいえ、一言も寄こさないというのはマナー違反ではなくて?」


シャーリーの厳しい質問にオーディルは少し迷うが、「別にそんな国際ルールはないでしょう?」と少女の声が響いた。


「あら、姫殿下。おひさしぶりですね」

「えぇ、そうですね。御二方もお元気そうで何よりです」

「挨拶は構わない、フェルト姫。第一王女として貴女に問います。何をしに我が国へ?」


マリアはその殺せそうな視線でフェルトを睨みつける。

だが、フェルトは動揺した様子も見せず。


「ただの旅行です」


と事も無げに言う。


「そうですか。と普段なら言えるのですが、今はそのような答えでは納得できない」


マリアは剣を構える。

それに応じるようにオーディルも剣を構える。


「ヤバイんちゃうん、聖人どうしの闘いなんて…戦争レベルやで」

「そ、そうですよ。コウヘイさん、止めてください!」

「そうよ、このままじゃ地形が変わるわ!」


うん。確かにマリアが二人いてその二人が大喧嘩したらそうなるだろうな。


でも怖いんだよね、神様は聖人の五人や十人は簡単だって言うけど、怖いんだよ。


「オーディル候、できれば剣を交えたくはない。私はただ聞きたいだけなんだがな」

「姫殿下の申される事が事実なんだが、信じて貰えないのは仕方ないとして…剣を向けられてはね。黙ってる分けには行かないでしょ?」


仕方ない。

俺が止めなきゃ、アレは止まんないね。

相手の姫さんも何か面白そうに見てるから止める気はないようだし、シャーリーは何かあの姫さん見てから機嫌が悪くてマリアを止めるどころか、応援しちゃいそうな感じだし、はぁ~ やっぱ引き返した方が良かったのか。

まぁとにかく、始まる前に止めますか。

俺は二人の間に光の如き速さで移動し、警告する。


「互いに剣を納めろ」

―予告―

   第31話 聖人VS聖人


剣は収まる事を知らず、天使の加護を受けし両者は前へ出た。

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