28 のどかな一日
小鳥が鳴いている。
それが俺が目を覚ました時に聞こえて来た音だった。
「どれくらい寝てた?」
「丸一日やな」
全く、その間荷馬車で俺が寝てたのか。
ユリアが地面で寝た…のか?
「心配せんでえぇ、寝るときにアリスがコウヘイを地面に投げ捨てたから」
「人の心を読むな! それと何その扱い、酷くね!? お前も止めろよ!」
「無理言わんといてなぁ~ ワイにアリスちゃん止められる分けないやん、美女がルールなんやで」
「だったら世界は腐ってるな!」
こんな、こんな仕打ちって。
俺仮にも意識不明のけが人って扱いでしょ、それなのに。
「せめてもの救いわ。ユリアちゃんがお休みのキスしてくれた事やろな」
「! それマジ! ほんとか!」
「ウ・ソ♪」
「おい、そこにナオレ…俺が根性叩き直してやるよ」
「あ、アレ? コウヘイく~ん、目が笑ってないで?」
「何言ってんだよ、俺は今までないくらい満面の笑みのはずだけどな」
「あは、あはは、冗談やて…いつものことやないの」
「ふぅ、まぁいいや」
今思えばコイツのキャラってこんなんだった気がするし、短気はよくないよな。
「それにしても、いきなり倒れた時はビビったで」
「あ? あぁ、少し疲れただけだ」
「ま、ワイはそれでえぇけど、ユリアちゃんにはもっとマシな言い訳せなな」
「そんなに心配してたのか?」
「そりゃー 涙を流すほど」
うっ、言い訳できないだろそれ!
俺、神様降ろしたから疲れたんだ。とか言わなきゃいけないって事だよ!?
痛い人って思われるじゃん、ってかこの世界の神様に天照大神っていないから、俺の正体とかも明かすってことでしょ!
それ無理、それだけはムリ!
どうするオレ、どうすんのオレ~!
「何呻いてんのよ」
「アリスか、つうかよくも地面に放り投げてくれたな」
「なっ、なんでコウヘイが知ってんのよ!?」
「さぁ、どっかの方言君に教えてもらったかな?」
俺の言葉を聞いてエセ関西弁を睨むアリス、エセ関西弁からは裏切ったな~って感じの視線を感じる。
まぁお返しだ。
その後、エセ関西弁はアリスと"お話"していた。
某魔砲少女並の魔砲をエセ関西弁に満面の笑みを浮かべて撃っていたのを見た時は正直、罪悪感で一杯だったな。
「それにしても、この旅。途轍もなく難易度高いよな」
「そうですよね、私なんて全然役に立ってなしい」
「ユリアは傍にいてくれるだけいいんだよ」 (癒されるから)
「えっ、そ、そうですか///」
「だが、シャーリーとユリアは多少鍛える必要があると私は思うぞ、才能はあるのだからな」
そこでマリアは会話に参戦する。
確かにユリアもシャーリーも魔法の才能は申し分ない、残るは努力とメンタルの向上。
でもそこが一番難しんだよな、ユリアはこの性格が一番だと思うし、メンタル向上してアリスに似るのだけは避けたいしな。シャーリーは…どうでもいいや。
「ねぇ、今酷い事考えなかった?」
おいおい、こいつらはエスパーか?
人の思考勝手に読みやがって、閲覧料払え!
「そんなことない、俺はただ事実を見極めていただけだ。それより鍛えるとして誰が鍛えるんだ」
「そりゃー コウヘイかマリアさんやろ」
エセ関西弁の言葉にユリアとシャーリーは顔を青める。
俺が二人の立場なら同じ事をしてるな、何せ俺もマリアも人と呼べる領域を超えちゃってるからな~
加減の仕方間違えると、マジで危ない。
「さすがに二人は、ね?」
「そ、そうです。ね」
二人とも目を逸らして言わないでくれないかな、マリアなんて「私の、私のシャーリーが~」何て言ってるぞ。
「じゃあ、俺が最低限の攻撃魔法を。アリスには剣術を教えて貰うって事でどう?」
アリスが俺の提案に目を輝かせ、二人の返事を待つ。
その姿をみたユリアとシャーリーは断るに断れず、「「わ、分かりました」」と俯いて返事をした。
さて、ここは幸い平原だし。
ちょっと暴れても大丈夫だろう。
「よし、もう一日ほどここに留まろうか」
「えっ、でも賊を追いかけなくていいんですか?」
「そうですよ、私達の目的は儀式剣を取り戻す事なのよ?」
「シャーリー、一日くらい大丈夫。それに遠のく気配がないだろ?」
「……言われてみれば、でも何でわかったの」
「はは、少し心当たりがあるんだ」
「ふーん」
という事で始まった。
平原強化合宿 ~ユリアとシャーリーは一日で強くなるのかスペシャル~
さて、我儘な子供の為に面白おかしい強化合宿にしますか。
―予告―
第29話 強化合宿という名の遊戯
さっそく始まったコウヘイによる攻撃魔法の授業、しかしコウヘイが課す内容は―――