23 エリーゼの暴動(鎮圧編1)
―エセ関西弁―
ワイは規格外の二人に無理やり連れて来られ、その挙句二人は勝手に行ってしまいおった。
なんちゅー事やろう、こんなか弱い男の子を置いていくなんてな~
「ホンマ、ついてないわ」
こんな所で魔法を使うなんて事が。
「居たぞぉぉぉぉ!」
「「「「「うぉぉぉぉぉぉ!」」」」」
来おったか、今日はアレか? 祭りですか?
祭りやったら女の事と回りたいわ~
「せやけど、白目剥いた娘はお断りやな。風よ、逆巻き仇名す者をけちれ"ソニックブーム"]
空気が一点に凝縮され、音速の壁を越えて空気の塊を射出。
暴徒は轟音と暴風の中、吹き飛ばされる。
「まぁ、ワイは人殺さん主義やから安心してや」
でもまぁ、今しがた吹き飛ばしたんやけど。
もう湧いてきおったか、女の子に痛い事するんは気が引けるけど、堪忍な。
「風よ」
吹き荒れるんは暴風、ワイの専売特許は風。
風やったら誰にも負ける気はせん、まぁ規格外には負けるけどな。
ちゅうか、あれは反則や。
人の領域を軽々と越えて行きよる、聖人までなら解らんでもない。
でも、コウヘイ。お前がおるん場所は何処や?
天使の加護を受けとるんが聖人やけど、お前のは天使っちゅうにはあまりにも強大過ぎるで、ひょっとして神様か?
いや、でもミレ神は癒しの神のはずや、戦神は確か堕ちたはずやし。
!? まさかな。それはあらへん、悪魔と契約したら自我が無くなってしまうからな。
全く、このメンツは退屈せんで。
これやったら村から出て来た甲斐があるわ。
「オ前、強ソウダナ」
「ん?」
あれは、人か?
「君、何者?」
「俺カ? ククク簡単ダロ、オ前程ノ実力ガアルノナラバ」
「いや、そう言われてもなぁ。人間でもあり悪魔でもある存在なんてあり得へんやろ」
気持ち悪いでぇ、コイツが放つ魔力。
人間のようで悪魔のようで、でもどちらでもない魔力。
「ナラ戦ッテミレバ解ルダロ!」
「チッ! いきなり攻撃なんて酷いな~ 思わず跳んで避けてしまったやんか」
「死ネ!」
くっ、今度は闇の中級魔法か。
エライ大サービスやないの、こいつには魔力の節約っちゅう概念がないんか!?
ならワイも少しは本気で挑まんと、ホンマにヤバイわ。
「四季を運ぶ風よ、祝福と共に絶望を運ぶ風よ、暴風の如く敵を蹴散らし、そよ風の如き安らぎを我に! "終焉の嵐"」
どうや、一応ワイの最大級の魔法やけど……効くか?
「フー マサカ人間ニココマデヤラレルトハナ」
「効いた、みたいやな」
「アァ、コノ器ジャアモウダメダ。マタ殺リ合オウゼ、人間」
最後は灰になるんか、成仏失せぇよ。
名も知らぬ人。
「さてと、あの二人はどないしとんやろか。まぁ心配するだけ無駄か、ワイの役目は終えた様やし、帰ろ」
―予告―
第24話 エリーゼの暴動(鎮圧編2)
エセ関西弁が人ならざる者と対峙している時、マリアもまた人ならざる者と対峙していた。一体彼らは何者なのか?