02 アンティーク店の記憶
―少し前、現代―
「あ~ 何で俺はこうも厄介事に好かれるんだか」
俺は悩んでいた。
自分の不幸体質を、某主人公の幻想を壊す人に比べたらまだマシかな。なんて思う事もあるけど、実際いい勝負だと俺は思う、何せ今日一日だけでも既にお財布の中は空っぽ、朝は福沢さんが一人居たってのに、なんだこの不幸は。
しかも俺が原因じゃない、第三者のせいで被った被害だ。
正直堪ったもんじゃない、訴えたら絶対勝てる気がするよ、まったく。
そんな思考を下校中の俺はしていた。
しかしネガティブまっしぐら中の俺に興味を引かせるものが目に入った。
「あれ、あんなトコに店なんてあったけ?」
十メートル程先に赤レンガ造りの店が建っていた。
店の目の前に来ると、俺は思わず笑ってしまう。
「魔法のお店。ぷっ、えらくストレートな店名だな」
ネガティブ思考の俺に笑いをもたらしてくれたんだ。
入ってみっか。
瞬間。
白い光が俺を包み込んだ。
暖かくて、眩しくて、天にも昇る思いだ。
でも、どこか寂しい。
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やっぱ覚えてんのはそこまでか。
まだ試験中なのだが俺は全問解き終わって暇なのでここまでの記憶を辿っていた。
え? 字は読めたのかって?
そうなんだよ、なんでか読めてしかも問題の意味も理解できてチョイチョイっと解いちゃったんだよ。
俺って案外やればできる子なんだな。て思ったんだけど、なんかチートっぽいな。なーんて答えに行きついたんだよね結局。やっぱ異世界に飛ばされたんだから多少チートあってこその異世界物だと思うんだ俺的には、だから難しい事を考えるのは止めにして、今は窓の外で飛んでる小鳥さん達を観察中。
それにしても、ここに案内してくれたアイツ……かなりお人好しだったな~
今度会ったら何かお礼とかした方がいいかな?
でもこの世界の通貨なんて持ってないし……学校って金掛かるよね?
どうすんの俺! もう試験受けちゃったんですけど、全問解いちゃったんですけど!
これ、これ間違いなく合格だよ!? 急いで消して―――
「はーい 皆さん時間です。テスト用紙に触れないでください」
あぁ終わった。 色んな意味で。
―予告―
第3話 合否
休憩室で休んでいる隆平に声を掛けたのは初めて会った騎士、彼が告げる事とは?