19 六人の探求者
―翌日―
俺達はシャーリーの私室に集まっていた。
なぜまだ探求の旅に出てないのか? それは我がまま王女のせいなんですよ。
「いやいやいやいや~! 私も一緒に行きたいもん!」
と。シャーリーが駄々を捏ねたんだ。
しかも、マリアもシスコンという事が発覚、そのせいで出るに出れないでいる。
なんたって俺が「シャーリーはほっといて行こう」って言ったら、
マリアは「あんなに泣いているシャーリーをほっとけと貴様は言うのか!?」だったからな。
さすがに驚かずにはいられなかった。
キャラ的にこの人は絶対シスコンじゃない、って思ってたからな。
ほんと人はみかけによらんよ。
あとえせ関西弁、鼻息荒くして「ユリ、ユリなんか~!」とか言うな。
で、今現在シャーリーの対応で会議中。
「では、多数決という事で」
とマリアは司会進行を務める。年長者だからね。
「私としてはシャーリーを連れていく事に賛成だ」
「ん~ 別に私も良いと思うわ」
「わ、私は危ないと思うから。ここで待っていたほうが、良いと思う」
「ワイはエエで~ 可愛いからな~ 一緒に旅ができるなんて、ホンマ幸s「手を出したら、殺す……ッ!」りょ、了解や」
「では、決まったな」
「おい、待て。俺はまだ投票してないぞ?」
「賛成が三人、もう決定だろ?」
「うっ、ま、まぁ、俺も賛成に入れるつもりだったけどね~」
―そして旅立ち―
城下町を囲んでいる壁。
街の中と外を結ぶ東西南北の門、俺達は今南門に来ていた。
勿論徒歩で、だが長旅になるので門で荷馬車を受け取る手はずになっていたんだ。
「にしても、王女様が二人。しかも荷馬車なんてね~」
「なんだ。貴様は不満か?」
「いや、少し見直したと思ったんだ。王族っていったら傲慢なイメージしか浮かばなかったから」
「なるほどな」
俺とシャーリー、ユリアにアリス、そしてマリアは荷台にいる。
エセ関西弁が手綱を握っている。
荷台もなかなか過ごしやすい、雨風がしのげるようにテントっぽいからな。
まぁ寝れるほど大きくないから、野宿は確定だけど。
まぁユリアとシャーリーは確実に荷台で寝るんだろうな、姉組が絶対そう誘導する。
「で、方角はこっちであってんだろ?」
「勿論、私のアンテナはそう言ってる」
さて、俺がなぜ今話していたマリアではなく、シャーリーに話しかけたかと言うと、
シャーリーが「役立たずは嫌だから、せめて何か仕事を」と、涙目で懇願してきたので、
じゃあレーダー係な、という事になったのだ。
「距離は?」
「う~ん 分かんない。でも結構遠いかも」
何とも半端な言い方だ。
それにキャラも素が完全に出てるし、まぁそれは良い傾向だけど。
「で、アリスとユリアは何で寝てんだ」
「疲れたんじゃないか? 王族と話すなんて事はそうそうないからな」
「あー そういやこの二人は貴族だっけか、なる」
「? でも、あの人は疲れた素振りなんて見せていませんよ?」
と、シャーリーはエセ関西弁を指さす。
「あいつは変態だからな、美女四人と一緒に旅する。ってテーション上がって疲れ知らず何だよ」
「まったく、私としてはあんな奴とシャーリーを」
「お、落ちつけよ。まぁ仲良く行こうぜ」
「おい、エセ関西弁とやら。エリーゼへ向うから分かれ道では右に進め」
「わっかりました~」
はぁ、ほんとに分かりやすい奴だよお前は。
―予告―
第20話 道中の危険
ほのぼのな時間は終わりを迎える。何事も上手くはいかないのだから。