11 初めてのギルドはAランク!?
野外実習で王女様と対面してから早一週間が経つが、
やっぱ可愛かったな~
さすが王族、あと五年したらきっと可愛いから綺麗に変わるな、将来有望株筆頭だ、間違いなく。
「それにしても御褒美に貰ったのが、なんでギルドの依頼書なんだよ」
そう俺、高畑隆平……いや、今はコウヘイ・タカバタか。
とにかく、俺が貰ったのはギルドの依頼書。
なんでもギルドの受付でこれを渡すと指定された依頼を受けれるんだと、
俺の力を見込んで。って事だったけど、これ"パーティー限定"って書いてるんだけど大丈夫なのか?
パーティーって事は七班を御指名って事だろうし、でも王族の依頼って難易度高いらしいが、アイツら生き残れるかな?
「ま、俺が居るから大丈夫か」
放課後、俺はさっそく三人を集めて事の詳細を話した。
「で、王女様は七班を御指名な分けよ。OK?」
「えぇ、大まかな事は分かったわ。でも大丈夫なの?」
「私不安です、王族の依頼って最低でもAランクって噂ですし」
「でも、報酬はえぇらしいで」
「ってな訳で、早速ギルドに行こうか。今日解禁日だし」
結局アリスもユリアも折れた。
さすがに王族の御指名だからだろう、それに将来の雇い主の意向を無視できなかった。って訳だな。
「ようこそギルドへ、初めてのご利用ですね?」
「はい」
「では、この書類に記入をお願いします」
四人分の書類を受け取り、生徒証明証を見せてギルドカードなるものを受け取った。
「そのカードにはギルドに関する様々な機能が備わっておりますので失くさないように気を付けてください。お客様方は初めてのご利用ですのでFランクからのスタートとなります。依頼は後方の掲示板に貼ってある依頼書をコチラまで持っていただければ依頼を受けれますので、何かご質問はありますか?」
「あのー これ」
俺は王女様からのご褒美を受け付けのお姉さんに差し出すと、お姉さんんも笑顔が驚きの顔に変わった。
「こ、これ、王族の指定依頼書。す、少しお待ちください!」
お姉さんは裏方へダッシュしていった。
「かなり慌ててたな」
「そりゃー 初利用者が王族の指定依頼書持ってきたら誰だって驚くわよ」
「そやで、世界が滅ぶくらいの確率やで~」
「それは少し大袈裟なような気がします」
「お、お待たせしました。依頼内容はサウペクト平原に大量出没した黒い魔物の殲滅。Aランクとなっております。受けられますか?」
「受けます」
「受けません!」
「そりゃー ムリやで」
「え、遠慮します」
一対三か、さてゴリ押ししてもいいけど関係がギクシャクしそうだから、説得か。
「なぁ三人とも、これは王女様からの御指名なんだぜ? 騎士を目指す者としては断れないよな~?」
俺の言葉に三人は顔を顰める。
遠回りだが俺は将来仕える者の願いを踏みにじるのか? と言っているんだ。
ふふ、断れまい。
『あなた、意外と腹黒いのね』
神様、何の用ですか?
『いや~ だってあの悪魔に御堕神(元神)の居場所聞かなかったから、なんでかな~ って思って』
あっ。
『忘れてたの?』
まぁ。
『先が思いやられるわね。まぁその方が私としては楽しめるんだけど』
どっちが腹黒いんだか。
『何、か、言った?』
……イエ、何モ言ッテアリマセン神様。
『まぁ、いいけど。とにかく面白おかしくやってよね』
「分かったわよ! 受けます。受けますよ~」
「しゃあないか」
「私、頑張ります!」
お~ みんなやる気出たな。
若干一名はやけくそな気がするけど。
「で、サウペクト平原ってどこにあるの?」
―サウペクト平原―
シャール王国の南部に広がる大平原、近年魔物が増加中らしい。
そこで王女様からの依頼って訳さ。
魔物を殲滅か、雑魚が大量にいたら三人でも倒せるだろう。
「なんて安易な俺がバカでした。ってか」
目の前には黒い物がウジャウジャしていた。
「これなんて魔物?」
「えーと、スライム。ですかね?」
「突然変異ってやつちゃうんか?」
「スライムって確か青っぽかったよな、んでFランクの魔物」
「はい、でも突然変異では数ランク程あがるらしいですけど」
「強そうに見えないわね」
雑魚は雑魚ってやつか?
それとも見た目で判断するな。が、この場合は適用されるのか?
「まぁ攻撃してみれば分かるんじゃないか?」
「そうね。で、誰が攻撃するの?」
アリアの問いにユリアとエセ関西弁は俺を見る。
まぁ適当な選択だな。
「分かった。俺がやろう」
一歩前へ出て右手を黒スライムに向ける。
イメージは敵を一掃する炎、放つは業火の黒炎。
「ヘル・フレイム」
右手に黒炎の球体が現れたと思えば、瞬く間に前方に大波の如く奔った。
結果、あたり一面に黒炎が燃えている。
もちろんスライムなんてひとたまりもなく、蒸発していた。
「やり過ぎたな」
「やり過ぎよ! どうするのこの状況! 炎止まる気配ないじゃない!」
「そのうち消えるって、炎だから」
「あ、あの!」
珍しくユリアが声を上げたのでユリアを見てみると、何処かを指差していた。
指先を見てみると、
「何あれ」
とアリアは固まった。
ユリアが指していたのは、グリードの森に居た悪魔なんて比べ物にならない覇気を見に纏った人型の悪魔だった。
黒く燃える平原の上に立つその姿は一層不気味さを増している。
「こりゃー Aランクってのは間違いだな」
俺は歓喜する。
自分の力をぶつけてもコイツならやり返してくれるのではないか、そんな期待を抱いて。
そしてアリア、ユリア、エセ関西弁は恐怖しているだろう、自分よりも遥か格上の存在を見て。
―予告―
第12話 辺境伯の悪魔
現れたのは魔界の上級貴族、迎え撃つは神の加護を受けし人、異なる種族の行く先は"戦い" か "話し合い"かは誰も知らない。