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10 悪魔と王女と勇者様!?

悪魔との対峙の中、先に動いたのは俺だった。


「顕現せよ、"十拳剣"(トツカノツルギ)」


俺の右手に一振りの剣が顕現する。

この剣は日本神話でスサノオ神がヤマタノオロチを倒すのに使った剣と言われているのだ。


化け物退治には持って来いだろう、そう思ってイメージしたけど、上々の出来だ。


「ほぉ、人間如きが無から有を生み出すとは。お前本当に人間か?」


何これ、人外から同種と思われてるのか!?

笑えねぇーよ。


「俺は人類だ!」

「そうか、なら恐れるに足らんな!」


黒く巨大な腕が俺に向けて振り落とされる。が、そんな力押しで勝てると思うなよ!


十拳剣を腕目掛けて一振りすると、黒く巨大な腕は胴体とお別れした。


「さすが伝説の剣ってとこか」

「グァアァァァ!」


激痛で悲痛な声を上げる悪魔、傷口を残っている片方の手で抑えるが、黒い血液は止まる事を知らない。

その表情は迫りくる"死"で酷く歪んでいるように見える。


「何だ、爵位持ちの悪魔ってのはこんな弱いのか?」

「小僧、ふざけるなよぉ!」


口を大きく開けて黒炎を吐き出す。


「くっ」


イメージは万物全てを防ぐ最強の盾、創造するはギリシャ神話に登場するゼウス神の盾。


「顕現せよ、"アイギス"!」


黒炎が迫る中、悪魔と俺の間に光輝く盾が出現し、黒炎は盾の後ろに火の粉一つ到達する事はなく燃え尽きた。


「止めを刺してやるよ」


俺は十拳剣とアイギスを破棄し、目の前の悪魔の命を射抜く武器を"ソウゾウ"する。


イメージは彼の大蛇ピュトンを退治した神の弓、創造するは太陽神アポロンの弓。


「顕現せよ、アポロンの黄金弓おうごんきゅう


弓を引く動作をすると、光の矢が黄金弓にセットされた。


「じゃあな名も知らない悪魔」


一方的に別れを告げて矢を放つ、矢は悪魔の右胸を貫き、眩い閃光と共に悪魔は灰と化した。


「ふぅ、一件落着」


黄金弓が弾けて消えると、「何のよ今のは!」とアリアの飛び膝蹴りが頭部へクリーンヒット。


その瞬間、コウヘイは地面を二度、三度跳ね木にぶつかって止まった。

それを見たユリア、エセ関西弁、そして被害者であるコウヘイは同じことを想った。


「「「悪魔を倒したひとに対して今の行動を起こせるって、どんな神経してるのしてんだよ」」」と。


「さぁ、説明しなさい!」

「えーと、俺の実力?」

「具体的に!」

「想像した物を創造できる能力。かな?」

「……何それ! 無敵じゃん!」


まぁ仰る通り、でも


「欠点もあるっぽいんだよね」

「欠点? どんな事よ」

「弱点を教えるわけないだろ?」


「「「知りたいから教えて!」」」


ガサガサッ


質問と同時に茂みが揺れ動き、全員が臨戦態勢に移る。が、


「お主らは何者じゃ?」


出てきたのは金の刺繍が施された純白のドレスに身を包み、蒼いロングヘアの少女だった。

そして全員の思考は先程の悪魔の言葉を思い返し、一つの答えに行きついて、片膝を地面につけ頭を垂れる。

一人を除いて。


「し、失礼ですが、シャーリ王女様ですよ、ね?」

「なんじゃ、妾を知っておるのか?」

「え、えぇ、我が国の王女殿下ですから」


と謹みながらアリアは言葉を紡いでいたが、俺が堂々と立っている事に気がついた。


「こ、コウヘイ! 失礼でしょう!」


と小声で注意するが、「なんで?」と期待外れの言葉が返ってきて王女の顔色をうかがう。


「お主、妾が誰か分かっておるのか?」


少々御立腹の様子だった。


「あぁ、この国の王女様だろ?」

「礼儀を弁えんのか?」

「ここは魔物の巣窟だぞ、頭を垂れてる間に襲われたらどうする? 今みたいに」


王女は俺の視線の先が自分の後ろを見ている事に気が付き、後ろに振り替えると。

魔物が一匹、確かにこちらに向けて駆けていた。


「キャー」


なんだ意外と可愛い一面もあるんだな、っていうかこっちが本性か?


「一筋の光よ、敵を貫け」


人差し指を魔物に向けると、一筋の光が魔物へ伸びて魔物は塵と化した。


「お~ 凄い! 凄い! アナタ凄いのね!」


あ~ やっぱりこっちが本性だよ。

王女ってのも大変なんだな。


「キャラ崩れてるぞ?」

「えっ? あっ! えぇと」

「まぁいいさ、俺はコウヘイ。コウヘイ・タカバタだ」

「うん。私はシャーリ、シャーリー・フェルト・ティル・シャールよ」


事項紹介を終えて俺とシャーリーは握手を交わす。

これが俺とシャーリーの初めての出会いだった。

―予告―

    第11話 初めてのギルドはAランク!?


野外実習を終えて一週間、遂に新入生待望のギルドが解禁に。

待っているのは想像通りの現実か? それとも想像を絶する現実か?

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