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白虹の愛し子は猫に懐かれる  作者: もんどうぃま


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20 選択


「シロ、どうした?」

人型のコウとクロが現れた。共に待機していた碧と紅、眷族三匹も一緒だった。

「すまない。制御できなかった。今から魔力を止める。結界も消える。あとは頼む。」

シロはニーナを抱きしめた。場を満たしていた高魔力が一瞬で消える。同時に結界も消えた。


 地震。


 浮遊感。


 人々は異変に悲鳴をあげた。


 落ちる。


「行くぞ!コウ!」

クロは龍の姿になって王宮から飛び出した。

クロは地面を土魔法で固定した。だが落ちていく地面を止めることはできなかった。


 コウは広範囲の精神魔法を使って、人々を眠らせた。浮島の下に行くと既に紅、碧、ルリ、シバが居た。碧とルリが水魔法で地面の下を覆い、落下の衝撃を和らげようとしていた。紅とシバは魔力を送って碧とルリを支えていた。ロウも追いついて、水の内側の土を補強した。


「シロ、ありがと。もう大丈夫。」

「龍玉!出てこい!ニーナを苦しませるな!」

ニーナの体から龍玉が出ると、今までが嘘のように楽になった。シロは龍玉から余分な魔力を取り出して、龍玉を解放した。龍玉はニーナの中に戻った。


「シロ、私はもう大丈夫。人々を守りに行こう!今落ちているんでしょう?大地で暮らしている人々の上に落ちたら大変よ。」

「分かった。ニーナ、一緒に来て。ジャンも補助を頼む。」

シロはニーナを抱きしめたまま転移した。結界魔法で浮島を覆う。


「シロ!来たか。」

「すまないクロ。また手を煩わせた。」

「今更だ。どうする?もう浮かせられないのか?」

「無理だ。もう気持ちがない。浮かせる理由もない。」

「そうか。」


「大地の人々を避けたい。どこかあるか?」

「あの山はどうだ?」

「ニーナどう思う?」

「え。街は無さそうね。衝撃が少ないようになるべくゆっくり着地させたいわ。」


「シロ!クロ!下で紅たちが衝撃を和らげようとしている。」

「うぅ。」

「シロどうした?」

「急に大地に引っ張られる!強い力だ。コウ!紅たちに逃げるように、うわぁぁ!」


 落下が加速した。


 コウが紅たちを見に行くと、ロウが紅の尾で弾き飛ばされたところだった。

「紅さま!碧さま!」

ロウが叫ぶ。浮島は山に落ちた。一瞬の衝撃波を結界が相殺する。山は崩れずに耐えた。幸運なことに周囲にも被害はなかった。


 呆然とするコウとロウ。シロとクロが来た。

「どうした?」

「紅さまたちがまだ。」


「気配はまだちゃんとある。力を使いすぎたんだろう。今は魔獣と猫族の事をなんとかしよう。シロ、ネオコルムに結界を張れ。ジャンとニーナも手伝え。コウは猫族の動向を決めろ。実は今まで言わなかったが、大地に猫族はもう居ない。ロウ、魔獣を滅する。ついてこい。『皆、動け』」


 動揺したままだったが、クロの指示通り動いた。クロとロウは魔獣を助けるつもりだったたが、結界の外では生きられなかったようで、捕獲しようと少し攻撃しただけで消滅していった。


 ニーナは龍玉の力も借りて、ジャンと共にシロを補助してなんとか結界を張った。コウが猫族に、大地に他の猫族はもう居ない事を伝えると、それでも大地に残るという者と亜空間での暮らしを望む者に分かれた。


 亜空間での暮らしを望む者は荷物を纏め、残る者と別れを惜しんだ。みんな涙は溢れたが、笑顔で別れた。ニーナとジャンの空間魔法でネオコルムと亜空間を繋いだ。シロは疲れ果てて泉に戻って眠ってしまった。


 コウとクロは大地に残る猫族との話し合いに来ていた。シロが張った結界はもう消えていた。もし大地で猫族が暮らせなくなった時どうするかが問題になった。


「わしはあの山にいいねぐらを見つけた。この大地で紅と碧が眠りから覚めるのを待つつもりだ。大地で暮らすのが辛くなったら、わしに会いに来るがいい。亜空間に送ってやる。」


 コウが連れてきたゾーイとドニも、大地で暮らす事を選んだ猫族との別れを惜しんだ。最後は猫族秘伝の諸々を渡していた。大地を行く猫族はお礼を言ってネオコルムから出て行った。世界中を旅したいそうだ。


 コウとクロはネオコルムの建物を破壊した。ゾーイとドニは農園や果樹園をニーナとジャンの空間魔法を利用して亜空間に移す。ユーエラニアの人々が食べ物に困らないように半分残すことになった。その他のネオコルムだった事がわかるものは全てなくなった。


 ニーナは楽しく暮らした日々を思い出した。大好きな街が跡形もない。あたたかく育んでくれた猫族と街の景色が浮かんでは消えた。

「今までありがとう。」

亜空間で咲いていた花をたくさん転移させた。花は大地の風を受けて揺れた。


「ニーナ。」

眠りから覚めたシロがニーナを迎えに来た。

「随分短い睡眠ですんだな。」

クロとコウが来た。

「やっぱり結界三つは負担だったみたいだ。それにあの龍玉を使っていたやつが居なくなったのが大きいかも。」

「随分美しくなっていましたからね。王太后が歳を重ねるにつれ、シロさまの負担が大きくなっていたのかもしれません。」

「ジャンの言う通りかも。」


「クロ、何かあったら呼んでくれ。」

「何もないだろうが、その時はそうする。ああ、猫族の事もあるからな。」

「俺かシロが行くから安心しろ。ゾーイとドニが何か渡していたし、大丈夫だとは思うが。ロウも残るんだな。」

「心配はしてない。ロウはわしの眷族だからな。ではまた会おう。」

クロがねぐらに決めた山へ飛んで行くのを見ながらシロは伸びをした。

「さあ、帰ろう。」


 ニーナは、ジャン、ニーナ、ドニの順でしっかりお腹に抱きついて龍型のシロに乗った。ジャンはシロにしっかり掴まる。ニーナはドニのもふもふに包まれた。あたたかい。


「シロ、最後にユーエラニアを見たいわ。上を回ってほしいの。お願いできるかしら。」

「できるよ。」

シロは浮かび上がった。ニーナはパルニア家を探した。上から王城を見つけた。周囲の人々は手を挙げて動いていて、喜んでいるように見えた。


 パルニアの屋敷を外から見たのは二回くらいしかなかったので、どれか分からなかった。

「シロ、ありがと。」

シロはどんどん大地から離れた。雲に近づいていく。コウが追いついてきた。凄い速さでシロたちを追い抜いていく。背中にはゾーイがいて、何か叫んでいるようだった。コウが魔法を使った。空は虹色に染まった。

 





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