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一話 転生した件について

 最初なので短いですすみません!許してください!なんd

 ワイ、イッチ。

 突然だが異世界に転生したった。何を言っているか分からないと思うがワイも何故こうなったのか把握していないので説明しようがない。

 ひとまず現在に至るまでの経緯を話すから、退屈かもしれんが聞いてくれ。



  ◆◇◆◇◆



 まずはワイのスペックを話すぞ。

 身長162センチで体重76キロ。顔はよくヒキガエルに似てると影で言われていた。年齢は41歳、高校中退以降一度も働かず親の金で生きている。

 趣味はネットサーフィンで動画サイト、掲示板を巡りに巡り過ごしている。


 両親はある程度の収入がありワイというお荷物を抱えた上で生活はかなり充実しているように思う。


 しかしまぁそんな暮らしが一生続く訳もなく、ワイを置いて遠出した両親が交通事故によって帰らぬ人となり、一人残されたワイはほぼ無いに等しい遺産を受け取りそれを消費して生きていた。


 しばらくは不自由なく過ごせていたものの消費するだけの生活で成り立つ道理など存在しておらず、いつしか遺産は付き、家を失い、親族には見向きもされず、路上を彷徨くだけのおっさんへと成り果てた。

 趣味としていたネットサーフィンももちろんできずろくな食事も取れない。どれだけ生きたのかは定かではないが、いつしかワイはどこかの橋の陰の隅の方で独り静かに息を引き取った。


 さて、本題はここからなんや。ワイの前世の生き死になんかどうでもよかろ?




 目を覚ました。正確には元から目は覚めていたのかもしれない。よくは分からないがとにかくそんな感覚を覚えワイの意識は浮上した。

 見渡す限りの白い空間。思わず目を細めてしまうような明るさのその場所にワイは立っていた。


 見れば服は無いが肉体はある。若干半透明ではあるが触れれば実体がある。なんとも不思議な体験だ。


 しばらく見渡すと、やや離れた場所に何かが落ちているのが見えた。一度死んだ身である以上何も怖がる必要も無くワイはそれに向けて歩みを進める。

 落ちていたのは一冊の分厚い本だった。革製の表紙に包まれた厳かな雰囲気すら感じるこの、いつの時代の物なんだと思わせる本をそっと無意識に撫で、一つページを捲った。


 大体の本は表紙である型紙を捲った際に真っ白なページが姿を見せると思う。この本もだいたい一緒ではあるが、真ん中に黒いインクでこう書かれていた。


『あなたのポイントの残りは100です』


 さてワイはここで気付く。これは恐らく転生の為の特典であると。おっさんでもサブカルチャーに触れていれば知識は付く。ワイ、転生します。


 ウキウキで本のページを捲れば1ページに1つずつ恐らく得られる能力の名前と詳細が書かれていた。

 ワイは必死に漁った。何時間、いや何日…何週間すら経ったかもしれない。膨大な量の情報が載ったその本を完全に読破したワイが最終的に選んだ能力構成をお見せする。

 これだ。



『顔が良くなる』


 比較的顔が良くなります。


 必要ポイント:100



 正直色々と言いたいことはあるが、なぜこんなポイント要求量が多いんや。

 参考までに『火魔法』という項目があった。これは火に関する魔法の知識を得た状態で生活が始まるようだ。これの要求ポイントはたったの5である。


 なぜこの場に神的な存在が居ないのだろうか。

 その真相を探るべく我々はジャングルの奥地へ行ける訳もなく、とりあえずどうやったら能力を選べるのか分からないので適当に『顔が良くなる』のページに指で触れてみた。


 その瞬間、貧血の時の立ちくらみのような感覚に襲われあっという間も無く視界が暗転したのだった。

 あっ、確認とかそういうの無いんやね…。



◆◆◆



 で、ワイことイッチが産まれたわけ。イッチっていうのは親がワイに付けてくれた名前だ。何の因果があってこんな名前になったかよく分からんがまぁヨシ!


 現在ワイは5歳の誕生日を迎えている。それまでにももちろん転生者としてバブってオギャって必死に生きていた訳だがその話は割愛させてもらう。許してクレメンス。


 さて、何はともあれ異世界である。自身の能力をレベルやスキルのようなものに当て嵌め可視化するシステムは存在するものの、ゲームのようなウィンドウで表示される訳でもなく、ある程度の大きさを誇る街であれば建っている神殿に行って教えてもらう事ができるらしい。


 是非とも自分の能力を見てみたいものだが生憎今暮らすこの場所は辺境にある小さな村。いずれ見れる見れる。


 能力は見られないが、能力を上げる方法は既に知識として手に入れてある。その方法なのだが、討伐した魔物の肉を食べるというものである。

 どうやらこの世界では魔物の肉を食すとその肉に宿る魔力が少しずつ少しずつ肉体へ馴染み、より強固な肉体へと変化していくらしい。目に見えた成長はなかなか見込めないが、少しずつ着実に能力が上昇するようだ。


 この話はパッパから聞いた。パッパは昔、冒険者として名を馳せていたという。マッマとの出会いは、依頼を受けこの村に立ち寄ったパッパがマッマの姿を一目見、惚れ込んだようでそこから依頼を受けない日は毎日のようにこの村へ訪れていたのだという。


 閑話休題。

 先程話した方法でレベリングのような事ができるのだが、肉体がやや変質するということもあり幼すぎる子供にとって負担でしか無いようで、それが解禁されるのが今日この日、5歳の誕生日であった。


 時間は恐らく夕方7時程。ワイ、パッパ、マッマが卓を囲み豪華なディナーと洒落込むところである。


 さぁ回想も終わりだ。始めよう、ワイの第二の人生を。



  ◆◇◆◇◆



「イッチ、お前が初めて食べる魔物はオーク、っていう名前なんだぞ」

「オーク…?」


 パッパがニコニコと笑顔で語り掛けてきたのにワイは首を傾げ反応した。興味ありげなその姿にパッパは更に笑みを深め説明してくれた。


「オークっていうのはな、パパよりもずぅっと大きい豚の魔物なんだぞぉ!この村でオークをやっつけられるのはパパと、村長さんの息子さんくらいなんだからな!」

「わぁー!パパすごい!」


 キャッキャと手放しで喜ぶワイの姿にマッマも微笑みながら話し出す。


「パパは昔、すっごく強かったのよ。この村の近くに危ない魔物が出てきた時にパパがやってきて、あっという間に倒しちゃったんだから」

「すごいすごい!!」


 何度聞かされたのか分からないその話にももちろん大喜びで応えるワイ。なんて親想いの子供なんや。

 パッパは仕切り直すかのようにさて、と言い、左手で軽く拳を作りそれを右手で包むような形を見せた。ワイとマッマもそれに続く。


「神に、命に感謝を」

「「神に、命に感謝を」」


 パッパが言い、残り2人が続けて同じ文言を口にする。これは前世での「いただきます」のような物で、この世界の神への祈りでもあるようだ。


 いよいよ食事が始まる。食卓には金属製の皿に乗ったとんでもなく大きな肉と、それに付ける為のソースが何種か、そして人数分の木皿に盛られたサラダにパンの入ったカゴが一つ。

 普段の食卓では見られないような光景が目の前にはあった。


 パッパが肉塊の表面をナイフで削ぎ落とし、ワイの皿に何切れか置いてくれた。


 特に目が肥えている訳でも無いが目の前に置かれたこの肉が、その豊富な脂によって一目見ただけで上等な物である事が分かるような輝きを放っていた。


「さ、たくさん食べろよイッチ。これを食べたら将来はパパと同じくらい強くなるかもな!ははは!」

「うん!」


 フォークで肉を刺し、口元に運ぶ。この時、口に入れたこの瞬間の感動は恐らく一生忘れないだろう。

 口の中で溢れる肉汁、しかしくどさを感じずあっさりとしており、歯応えを感じつつも噛み切れない訳でもなくとにかく食べやすい。前世での最高級の肉なんかもこんな美味いんやろか?


「おいしい…」


 自然と溢れたその言葉は両親の求めていた物のようで、2人揃って微笑みを浮かべながら必死に肉を頬張るワイを見つつ自分達も食事を開始したのだった。


 とまぁ、そんなこんなで今のところ幸せな生活をしているなと感じる今日この頃である。

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