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詩音の訪問

龍斗の住んでいる部屋を18階から20階に変更しました!

 詩音と初めて電話した日から二日が経過した土曜日。今日は以前に約束していた詩音が家に来る日だ。


 詩音が家に来るということで、部屋の中を掃除機をかけて連絡を待つ。マンションの名前は伝えているのでマンションの下に着いたら連絡が来る予定なのだが……。


「連絡が来ないな」


 約束では今日の十二時に家に来るといったことなのだが、十二時を過ぎているにも関わらず詩音からの連絡は一向に来ない。


 ソファーに座って本を読みながら暇を潰していると電話がかかってくる。


『もしもし』


『ねぇ……冗談だよね?』


『なんのことだ?』


『今……というより、ちょっと前から龍斗くんに教えてもらったマンションの下にはいるんだけど……本当にマンションの名前あってるの?』


『着いているのか。それなら、今から下に行く』


 俺はそう言って、電話を切ってエレベーターに乗って下に降りてマンションを出ると周りをキョロキョロとしている詩音がいた。


 詩音は俺を見つけると何とも言えない表情になっている。顔が若干引きつっているのだが、どうかしたのだろうか?


「ねぇ、龍斗くん。一人暮らしをしているって言ってたよね?」


「言ったな」


「絶対にここ一人暮らしをするマンションじゃないよね!? どう考えてもおかしいよね!?」


「そうなのか? とりあえず、ここだと近所迷惑になるから中に入らないか?」


 詩音は渋々といった感じに俺に続いてマンションの中へと入ってくれる。それから、エレベーターに乗って最上階である二十階までくると詩音は青ざめている。


 それから、部屋のドアの鍵を開けて中に入るも詩音は中々部屋には入ってこない。自分から行きたいと言っていたのに、どうしたのだろうか?


「……本当にここに住んでるんだね」


「最初からそう言ってるだろ?」


「しかも、最上階ってどういうこと!? 龍斗くんって何者なの!?」


「何者って言われても、普通の高校生だが」


「絶対におかしいから! ありえないから!」


「騒ぐのはいいんだけど、部屋の中に入ってからにしてくれないか?」


 俺がそう言うとやっと部屋の中に入ってくれる。さっきから詩音の様子がおかしいのだが、今日はどうしたのだろうか?


 部屋の中に入ってからは、洗面所の場所を教えて詩音が手を洗っている間に昨日コンビニで買っておいたパックのアイスティーをコップに入れてソファーの前にあるテーブルの上に置いておく。


「ねぇ、龍斗くん。本当に龍斗くんって何者なの?」


「さっきも言っただろ? 普通の高校生だって」


「普通の高校生はタワマンの最上階で一人暮らしなんかしないから! 一人暮らしなのに部屋の数多くない!? こんなにあっても使わないでしょ!」


 詩音はかなり我慢をしていたのか、ソファーに座るなり言いたい放題になっていた。俺は黙ってたまに頷きながら詩音の言葉に耳を傾けていた。


 五分ほど言い続けたら少しは落ち着いたのか、肩で息をしながらテーブルに置いておいたアイスティーを一気に飲みほす。


「落ち着いたか?」


「落ち着いたけど……やっぱり、どう考えてもおかしいでしょ……」


「確かに俺も詩音の言う通り、一人暮らしにしては広すぎると思った。最上階だと下に降りるのも時間がかかるし」


 俺としてはもっと低い階で良かったのだが、俺がなにか言うまでもなく部屋は決められていたので諦めるしかない。


 父としても俺が社長の息子ということで、今いる地域だとある程度は有名なので俺の住む家にもかなり見栄を張っているのだろう。


 俺が古いアパートなんかに住んでいると周りからも『どうしたのだろうか?』といったことになるが、今の住んでいる家だと息子に一人暮らしをさせて若いうちから経験を積ませているとでも言えば周りもある程度は納得するだろうし、さすが社長のする事だなといった評価にも繋がる。


「龍斗くんの家って、もしかしなくてもお超金持ちだよね?」


「父さんは社長だしな。詩音も会社の名前は知ってるんじゃないか?」


 父の会社の名前を伝えると、「あぁ……あの有名企業の……」といった感じに納得してくれたようだ。さすがに社長の名前までは知らなかったようだが。


 会社名は知っていも社長の名前まで知れ渡ってる会社というのも少ないものなのだ。ましてや、高校生ならばそんなものだろう。


「でも、なんで一人暮らしをしてるの? 実家もここから近いんだよね?」


「父さんに追い出されたからだな」


「あっ……ごめん。聞いちゃダメなことだったよね……」


「いや、別に構わないぞ。俺が許嫁を解消されたことは詩音も知ってるだろ? そのことで、父さんはかなりプライドの高い人だから新川家の面汚しめって感じでだな」


「感じでだなって……普通ならかなり言い難いことだと思うよ?」


 実際には許嫁を決めるまでのやり取りであったりと色々あったのだが、これは別に詩音に話す必要も無いだろう。面白い話でもないし恋人といえど、他人に話すことでもない。


 それからは、詩音もこの家にだいぶ慣れてきたようで普段通りのテンションで色々と話してくれる。気が付けば詩音が家に来てから一時間以上が経過していた。


「あっ、そうだ! 今日はお昼ご飯を龍斗くんに作ってあげようと思ってたんだった! お昼ご飯はまだ食べてないよね?」


「食べてないな」


「それなら、今から一緒に買い物に行くよ! 買ってから来ようとも思ってたんだけど、勝手にキッチンとか使っていいのか分からなかったから……使っても大丈夫?」


「聞く順番が明らかに逆だとは思うけど、好きに使ってくれて構わないぞ」


「ありがと! それじゃあ、さっそく行こっか!」


 詩音に促されて財布と家の鍵だけ持ってマンションを出る。どうやら、新しい家に来て五日目にして初めて家でコンビニ弁当以外を食べられるようだ。

 

 

ブックマークが400達成! 総合評価1500pt達成!

本当に早すぎて正直かなりビビってます……笑

でも、たくさんの人に読んでもらえて評価をしていただいてるのは本当に嬉しく感じております! なろう作家冥利に尽きるというものです!笑 本当にありがとうございます! 

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